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客席放浪記

第二回上原寄席

2016年2月2日
Musicasa(ムジカーサ)

 代々木上原の音楽用ホールで始まった落語会。その第二回目は会場の利点を生かして、落語とブルースのジョイント。桃月庵白酒と内田勘太郎という組み合わせ。思い出すのは私も15年ほど前に『翁庵寄席』の二回目として企画したのが、落語とブルースとのジョイントたった。しかもあのときも、まだ二ツ目だった白酒(当時は五街道喜助)だから、奇しき因縁ともいえる。ミュージシャンはライブハウスで、めきめき注目され始めたコージ大内。思い出しますなぁ。

 開口一番前座さんは桃月庵ひしもち『道灌』。前座修業頑張ってね。

 桃月庵白酒の一席目は『替り目』をサゲまで。ここまでやるのとやらないのとでは、やはり噺の印象が変わってくる。寄席では後半をカットするのが普通だが、この後半まで入れようとすると少し長くなってしまう。かといって最後までやってもどこか時間は中途半端だし、トリのネタとしても軽いからなのだろうか、あまり出会うことがない。この酔っ払いは演るひとによってはかなり嫌なやつになるのだが、白酒がやると、これもどこか憎めないかわいらしい男になる。そこがこの人の不思議なところ。

 仲入りで高座を移動させて、ステージ作り。
 内田勘太郎の登場。憂歌団ではひたすら凄いギターの腕を聞かせ続けるだけの、サングラスをかけた怖い印象の人だったのが、ソロでは楽しいトークを交えながらのリラックスしたステージ。一曲ごとに機械で確認しながらチューニングを繰り返す。昔は正確なチューニングは不可能だったのでいい加減だったけれど、こういう機械ができてしまうとどうしてもチューニング時間が長くなると言っていた。ブルースから映画音楽、そして現在住んでいる沖縄の音楽まで40分ほどのステージ。内田勘太郎を観たくても、なかなか機会がないのだが、こんな目の前で、しかも明るい照明で見られたのはうれしかった。

 桃月庵白酒の二席目は、『翁庵寄席』の時と同じく『寝床』。ズブの素人の旦那が周りの者に魏太夫を聴かせようという理不尽な噺で、これは一緒に出るミュージシャンが実力ある人間でないとできない。共演者がへたっぴの素人では皮肉になってしまうから。
 白酒版は、何といっても繁蔵が可笑しい。へそを曲げている旦那が、本当は義太夫をやりたいのに、「また次の機会にやりなおすことにしよう」と言うと、「では今日はなしということで」と繁蔵は喜んで早合点する。ところが旦那は今すぐにでもやりたくて、「そこをなんとか」というもうひと押しを待っているという構図。これがなんとも可笑しいだなぁ。

 せっかくの音響設備の整ったホール、落語と音楽のジョイント企画、これからも続けて行ってほしいものだ。

2月5日記

静かなお喋り 2月2日

静かなお喋り

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