バイきんぐ単独ライヴ クイーン 2015年7月2日 北沢タウンホール お笑いライヴを観に来るお客さんは圧倒的に女性客が多い。公演によってはわずかばかりの男性客は肩身の狭い思いをすることがある。しかしこの、バイきんぐのライヴに限っては男女比の逆転現象が起こっていた。客席を見渡してみると、どうやら男性客の方が多い。なぜだろうと考えると、そう思いたくはないのだが、バイきんぐのふたりのルックスなのかも。突っ込みの小峠はハゲ頭にガリガリの身体。ボケの西村は太り気味だし、ふたりともイケメンという概念からは外れている。しかしコントの質に関しては、決してほかのコンビと見劣りがするとは思えない。あるいは男性のお笑い好きは、小峠の歯切れのいい、至極まっとうなことを言う突っ込みに気持ちよさを感じて観に来ているのだろうか? 新作コント9本。どれも4分程度の尺で、テレビ向けのサイズと言えそう。まあ、小峠があのテンションで突っ込み続けるとなると、どのコントもそれほど長く続けられないということもあるのかもしれない。コントとコントの間はビデオで繋いでいく。 『工事現場』 小峠が削岩機ドリルで地面を掘り起こしている。あまりの騒音に声が聞こえないことをいいことに、横で作業している西村は小峠に顔を向け、「ばーか」「はーげ」と言い続けているらしいのは口の開き方でわかる。いらつく小峠だが、やがて口の開き方に変化があると・・・。 『面接』 面接官の小峠。面接に来た西村は明らかにカツラを被って面接にやってきたと思われる。バカにしているのかと怒り出す小峠。ハゲとヅラの醜い戦いが始まるかと思うと・・・。 『ラーメン屋』 小峠のラーメン屋に、ライターの西村が取材にやってくる。出されたラーメンを前に、いちいち感想を述べながらメモを書いていく西村に小峠がキレる。 『忌引き』 青森での身内の葬式から戻り出社した西村。上司の小峠に空港で買ったというマカデミアナッツをお土産だと渡す。同僚に渡すお金を集めていると小峠に言われるとポケットから出してきた札はドル。青森に行ったはずなのに西村は顔が日焼けしている。小峠は西村は実はハワイに遊びに行ったんだなと疑いだす。 『コンパ』 合コンに現れた西村はミリタリールック。そんな恰好をしていたら女子は引くだろうと言いだす小峠。しかしその小峠もわずかにミリタリー柄の服を着ている。 『拷問』 椅子に縛り付けられ、西村に拷問を受けている小峠。西村は小声で「俺は秘密警察だ。周りがいなくなるまでしばらく我慢しろ」と言いながらも暴行を続ける。しかし周りに誰もいなくなって暴行は止まない。 『定食屋』 西村の定食屋で食事を終えた小峠。会計してもらおうとすると、6500円だと言われる。あんまり高いので内訳を教えてくれというと、とんかつ定食1000円、ビール500円、納豆2000円。それにテーブルチャージ3000円。ボッタリだと騒ぎ出すと、西村は歌舞伎町のキャバクラでボったくられた穴埋めだと言いだす。 『葬式』 小峠の親族の葬式。しかし小峠は西村のことを知らない。どなたでしたっけと問いかけると、自分はまったく故人とは縁のない葬式マニアだと言いだす。 『マキガミ』 小峠がカフェにいると西村が「マキガミさんでしょ」と話しかけてくる。どうやら小峠は知らない有名人と間違えているらしい。否定しても信用してくれないので・・・。 最初にバイきんぐのコントをテレビで観たときに小峠の突っ込みはキツすぎて笑えないと感じていたのだが、だんだん彼の突っ込みに小気味よさを感じるようになってきた。今の世の中、理不尽なことが多いが、そのまともでないことに、きっちりとものを言うという小峠のコントは、聴いていて爽快な感じになってくる。また、突っ込みを入れながらもボケまでかますというこのスタイルを作り上げたのは、お笑い界でも革命的なコンビだと思う。 7月3日記 静かなお喋り 7月2日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |