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客席放浪記

2012年7月14日JINBOCHOトーク・ウーマンラッシュアワー(神保町花月)

 去年あたりから妙に気になっていたウーマンラッシュアワー。テレビで観たカリスマ・バイトリーダーのネタがやけに面白い。居酒屋で新人女性バイト店員(中川)が客の対応に困って、バイトリーダー(村本)を呼ぶと、凄い早口でその対処法を教えてくれる。このパターンが何回も続くのだが、そのスピーディに繰り出される言葉の洪水に驚いてしまった。よく作られているホンだし、それを間違えずに早口で喋る村本の凄さに度肝を抜かれた思い。

 これは面白いコンビが現れたと思っていたら、年末の『THE MANZAI』に出て来て、またあの例のカリスマ・バイトリーダーのネタをやってくれた。私は病院のベッドでこれを見てた。人によって何が面白い、何がつまらないはあるだろうが、予選Dブロックで千鳥に敗れてしまったのが私には解せない。私にとっては千鳥を明らかに凌駕していたと思う。

 単独ライヴでもあれば行こうと思っていながら予定が組めず、このトークショウのチケットを購入した。

 定員135名の小さな劇場。この濃密な空間がうれしい。池袋演芸場程度のキャパというのは、こういう演芸には一番いいのではないか。

 すぐにトークに入るのかと思ったら、ネタが始まる。これがうれしかった。それも2本。ストレス解消のために八つ当たりする男のネタと、漁師のネタ。どちらも基本はカリスマ・バイトリーダーと変わっていない。
 村本が凄い早口で喋る、漫才というよりはコント。そのスピード、台詞の長さ、多さ。そしてなによりボキャブラリーの豊富さ。おそらく村本が中心になってネタを書いていると思われるが、村本という男、かなり頭がいい。
 今の若い人の会話を聞いていると、あまりのボキャブラリーの少なさに、イライラしてくることが多いのだが、このコンビは言葉が洪水のように溢れ出てくる。その情報量の多さに、こちらがどんどんハイになってくる。このあたかも言葉の麻薬に酔っているような感覚が気持ちいい。

 ネタは20分ほどで終わり、このあと1時間ちょっと、トークになる。内容はテレビ番組に出た時の中川の対応の仕方が悪いという村本のボヤキに終始した。テレビでは今や、ネタ番組が皆無に近くなり、お笑いタレントはバラエティ番組で、ちょっと気の効いたコメントを入れたり、他の出演者に対してリアクションを入れたり、あるいは番組をまとめたりもする。そこで要求されるのは瞬発力。一瞬にして、どう面白い事をするか、言うか、が要求される。
 そういう意味では、こういうトークショウというのも、今やお笑い芸人の芸の一部なのかもしれない。

 お客さんは、こういうところでは当たり前みたいになっているが、若い女性がほとんど。男性はごくわずかで、しかも若い人。私のような者は浮いてしまっている。しかしこの日、最後列に高齢者の男性3人組が入っていたようで、そのことも話題になった。
 本当に笑いを愛する人たちというのは存在する。面白いと思ったら、何処にでも行く。それが本当なんじゃないか? ねえ、評論家先生。

7月16日記

静かなお喋り 7月14日

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