直線上に配置

客席放浪記

Wホワイト16

2016年4月6日
北沢タウンホール

 三遊亭白鳥、桃月庵白酒の二人会。まずはふたりの挨拶から。
 なにしろ厳しい上下関係の落語界。白鳥は先輩との関係を綱渡りみたいにして、すり抜けて生きてきているだろうことは、よく感じられる人物。そんな先輩との関係で「嫌な汗をかいたことはあるか」と、某先輩たちの名前を出して白酒に振ると、白酒が「ツイッターなどに書かないように」と言ってから、まさに嫌〜な汗をかきそうな現場での話を語りだした。こういう裏話がダダ漏れになるのだから落語界って面白い。

 桃月庵白酒の一席目。前の挨拶での発言に続けて、先輩たちをしくじっても「破門だ」にはならない。自分の師匠をしくじらなければいいんだと付け加える。アハハハハ。師匠の五街道雲助ならば、よっぽどのことがない限り破門ということにはなりそうにないし。
 その雲助からもらった、『夕立勘五郎』の浪曲部分を森の石松三十石船に変えた『新版三十石』

 三遊亭白鳥『ラーメン千本桜』。これはちょうど二年前のヨチヨチSWANで聴いたことがある。グルメ漫画の世界を落語に持ち込んだもの。もちろんタイトルからもわかるとおり、『義経千本桜』も仕込まれている。私は今回、最近少しずつ読んでいる『将太の寿司』に近いものを感じた。大会での相手側の妨害工作やら、そこから一発逆転のアイデアを考え付くとか、さらには後出し必勝の法則とか。とにかく寄席のトリのサイズにも収まらない長い噺だから、こんなときでないと聴くことができない。先日は国立演芸場で舞台効果まで駆使して口演されたそうで、観に行けばよかったかな。

 白鳥は長講だったので一席だけ。仲入りを挟んで、白酒のもう一席は『井戸の茶碗』。白酒で聴くのはこれで三度目かな? あまりにいい人ばかり出てくる噺で、最近はちょっと飽きてきていたのだが、白酒版はところどころ毒も入っているし、千代田卜斎の娘と高木佐久左衛門の関係がスッキリと整理されているので、聴いていて飽きが来ない。「「昼はソドムとゴモラ、夜はバイブル」は、やっぱり傑作だよな。

4月7日記

静かなお喋り 4月6日

静かなお喋り

このコーナーの表紙に戻る

トップ アイコンふりだしに戻る
直線上に配置