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客席放浪記

Wホワイト落語会17

2016年9月2日
北沢タウンホール

 まずは挨拶で出てきたふたり。先日のある会での具体的なギャラの額と、そのあとのウチアゲでの、これまた具体的な支払額をめぐってのやりとり。いくらのギャラでやっているものか興味があるが、これほどあからさまに語られると、この人たち、そんな額で大丈夫なんだろうかと心配になってしまう。アハハハハ。まあ稼げる場所では稼いでいるんだろうけれど。

 三遊亭白鳥の一席目は、ついに『落語辞典』にも載ったという『マキシム・ド・呑兵衛』。いまや多くの人が手掛けるようになった噺だが、作った本人は演るのは久しぶりなようで、タイトルにもなっている店の名前の仕込みを忘れたりして、そこがまたいかにも白鳥らしいし、それを悪びれた感じもない。そこがこの人の凄いところ。

 桃月庵白酒の一席目は『安兵衛狐』。幽霊を女房にした男と、狐を女房にした男。それでいて平然としている。どちらもほとんどマンガみたいだが、向かいの長屋の連中もあまり驚いていない。こんな世界がおかしくなく成立してしまうのは、白酒の落語って、出てくる人たちがみんなマンガチックだからだろう。

 桃月庵白酒二席目は『お茶汲み』。客に嘘をついて騙した女郎のところへ、別の男が同じ話をしに行く。それを平然と聞き流す女郎が肝が、据わっているというより、天然キャラという感じなのが、やはり白酒らしいマンガキャラ。白酒の落語に出てくる人物はだれひとりとして憎めない。

 三遊亭白鳥のトリは『落語の仮面第5話 恋する宮戸川』。これを聴くのは去年の暮の『ヨチヨチSWAN』以来。こんなに面白かったっけ。あのときはネタおろしだったから、あれから作り直しているのだろうけれど、それにしても面白い。内容は実在する落語家がたくさん登場して、かなり差しさわりがあるから書けないが(白酒も登場)、これを平然と演ってのけてしまう白鳥は怖いものなしだね。

9月3日記

静かなお喋り 9月2日

静かなお喋り

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