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客席放浪記

三遊亭白鳥・桃月庵白酒二人会
3月のホワテト・デー


2018年3月1日
シアター1010

 オープニングトークが始まるやいなや、「北千住なんて昔はスラム街ですよ」といきなり白鳥が爆弾。現地でそんなこと言っちゃダメでしょと思うんだけど口に出しちゃうんだよな、この人。でもお客さんたちは大笑い。ここまで遠くから観に来ている人もたくさんいるからね。スラム街はオーバーとしても、山谷と刑務所のある小菅に挟まれて、東京の外れにある土地という感のある場所ではあるけれどね。
 白酒のフォローで、いまや「住みたい街」の上位になっているとかで話を盛り返していくと、「オレたちもこんな立派なホールでやるようになったんだよな」と感慨もひとしおの様子。700人規模のホールはいっぱいの人が入っている。

 一席目は桃月庵白酒。劇場の椅子の肘掛の取り合いで隣同士が喧嘩している人がいるというマクラから『喧嘩長屋』
 劇場の椅子の肘掛は肘掛と呼ぶには細すぎるもので、あれはあくまで「境界線」だと思うな。あそこに肘を乗せようなんて思わない方がいい。あそこから隣に自分の体が出ないようにするためた゜けのもの。それがマナーだと思うけれど。

 三遊亭白鳥『豊志賀ちゃん』。[浅草演芸ホール]でトリを取るときにしかやらないネタだそうで、そういえばこの噺には[浅草演芸ホール]が重要な意味を持って出てくる。もちろん『真景累ヶ淵』が元ネタだが、怪談というよりは、笑えて楽しい噺。怪談を笑いにしてしまう白鳥はお化けの呪いなんかも気にしないんだろう。もう怖いものなしの人だから。

 白鳥のもう一席は『老人前座じじ太郎』。こちらも[浅草演芸ホール]が舞台。北千住は浅草始発の東武線の駅だからこの二席を持ってきたのだろうか? しかし受けてるね〜。

 トリの白酒は『寝床』。今、誰の『寝床』が好きだって、白酒のものが一番好き。CDがあったら欲しいのだが、なぜか今のところ出ていないようだ。
 白酒をよく毒舌だという人がいるが、あれは毒舌ではなくて、他人をからかって遊んでいるんだと思う。それが噺の形でうまく表現できているのが『寝床』。冒頭で義太夫の発声練習している旦那の前に金盥を出すやつがいる。「別に気持ちが悪いわけじゃないんだ」。
 繁蔵が、長屋を回って店子や店の者が誰も来られないというのを、ひとりひとり説明するのも、どうも楽しんでいる節がある。旦那がへそを曲げて「店だてだ」と騒ぎだしてから、慌てて「どうかひとつ」ということになって繁蔵がご機嫌を取りに行ってからのやり取りの可笑しさは白酒に敵う人はいないだろう。あの旦那と繁蔵の駆け引き。完全に繁蔵の方が上手で、旦那をからかって遊んでいる。

3月2日記

静かなお喋り 3月1日

静かなお喋り

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