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客席放浪記

2012年5月22日 柳の家の三人会(板橋区立文化会館)

 開口一番、前座さんは柳家圭花『道潅』。頑張ってね。

 柳家三三。昨日の金冠日食に触れ、その前の、月が地球に一番近付いたスーパームーンの話になる。「ウチの師匠(小三治)が、『おい、今日はスーパームーンだってよ』って言うんですよ。『何かあるな』って。ありました。師匠、落語をとトチった。しかもマクラが短かった」。
 ネタは『ろくろ首』。こういう軽い噺でも、きっちりと時間をかけて演るのが三三らしい。
 お屋敷で、お嬢さんが目の前の廊下を通り過ぎるのがお見合い。松公、最初は「お嬢さんより、猫の方がいいもん」と猫を抱いてイタズラしていたが、お嬢さんを見た途端、「きれいなお嬢さん!」と猫を放り投げる。

 仲入り後、柳家喬太郎。ネタは酒の噺らしく、酒飲みのマクラを振っているのだが、客席にひとり、場の空気を読めないお客さんがいて、話の腰を折るような拍手を入れる人がいる。それこそ酔っているのか、それとも素面なのか、はたまた意識してか、せずか、周りの空気を読んでいない。喬太郎もやりにくそうだし、他のお客さんも迷惑。見ると、年配の男性だ。係員からも注意されている。こういう年寄りにはならないようにしようよ。
 ネタは『禁酒番屋』。途中、先代小さんのよく言っていた言葉に「万事素直」というのがあるというのを挟んでいたが、注意されたら素直に聞ける老人になりたいね。

 なんだか、噺の世界に入れないまま喬太郎の高座が終わり、トリは柳家花緑。三遊亭竜楽に教わったという『中村仲蔵』を、柳家のアレンジで演ると言う。なるほど、ところどころ柳家らしい演出があり、サゲも花緑が考えたと言う、とぼけた味わいのサゲになっていた。
 花緑は最近よく、サゲを変えてくる。「ほほーっ」と思う事が多くて、私は秘かに楽しみにしている。もっともっと落語って自由でいいと思う。

5月24日記

静かなお喋り 5月22日

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