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客席放浪記

2012年4月21日よってたかって春らくご’12 21世紀スペシャル寄席ONEDAY昼の部(よみうりホール)

 開口一番、前座さんは柳亭市助『手紙無筆』。頑張ってね。

 柳家三三『雛鍔』。落語に出てくる子供は一筋縄じゃない。お客さんが来ている所で、わざわざ親にこずかいをねだる。やらないと、「部屋の隅に行って、肩を震わせ、口を震わせするんだから」。これでは、お客さん、いたたまれなくなってお金を出しちゃう。

 瀧川鯉昇は、このあと落語芸術協会の真打披露パーティが、よみうりホールの近くの東京會館である。弟子の瀧川鯉橋が真打に昇進することもあって、このあとそちらに回るようだ。実は私もそちらに回るのだが。「通りすがりではございますが、一席」と、『長屋の花見』に。鯉昇版はブレンド・ウイスキーを持って行くところがユニーク。ブレンド・ウイスキーと言っても、醤油と水のブレンド。すっぱく漬かってしまった蒲鉾ならぬ大根のしんこに、酸味を抑えるためにこのブレンド・ウイスキーをかける。「10円出して6円の買い物をしたようなものだよ」「なんだい、それ」「よえん」

 三遊亭兼好のカエルの交尾に関するマクラが気持ち悪いけれどおかしい。喬太郎をカエルに例えているのだが、なんだか喬太郎の体型がカエルを思わせて、笑ってしまう。
 ネタは『権助魚』。この噺、お妾さんを囲っている旦那。それを見つめる権助の冷めた目が落語なんだ。「うれしそうな男の後ろ姿って、みっともねえなあ」

 柳家喬太郎が兼好のマクラを受けて軽くいなす。青森の味噌カレー牛乳ラーメン(バター入り)の話を面白おかしく語るマクラはまさに話術だなあ。「おいしいんですよ」と言う喬太郎だが、私はちょっと遠慮したいところ。Othumさんのブログで存在は知ってたけどね。もっとも喬太郎も行きがかり上無理矢理に食べさせられて「おいしい」と思ったそうだから、案外おいしいかも。
 ネタは『竹の水仙』。もう喬太郎鉄板のネタ。聴くたびに、心に残るフレーズが見つかるのが、この噺の凄いところ。「ワッショイワッシヨイ胴上げされて、落ちたときは、もっとキズが深えんだよなあ」 わかるよなあ、こういうの。
 「おいしいよ」ってさんざん持ち上げられた味噌カレー牛乳ラーメンを食べて、おいしくなかったときは、キズが深かったりするかも知れないからなあ。やめときますか、やっぱり。

4月22日記

静かなお喋り 4月21日

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