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客席放浪記

夢の三競演2014 三枚看板大看板金看板

2014年12月27日
赤坂ACTシアター

 文珍、南光、鶴瓶の三人が大阪でやっている会。11年目の今年は東京でもやろうということになっての開催。大きなホールだが立見まで出ている。

 まずは口上。三人が並んで座って挨拶。大阪弁で話そうという縛りを決めたらしいのだが、三人とも大阪の人間だというのに、なぜか大阪弁がぎこちなくなってる。改まった形で挨拶しようとするとなると、大阪弁は似合わないのかもしれない。鶴瓶は、今年の正月にハワイでゴルフをやったらオバマ大統領に合ったこと。吉永小百合と映画で共演したことと、なんとも自慢話に終始して、「何が言いたい」と二人に突っ込まれていた。よっぽどうれしかったんだろう。

 まずは桂吉坊の高座。大阪の落語家は東京と大阪の違いを話題にするのが好きだね。「駅ではしゃいでいる子供を注意するとき、東京では『怪我しますよ』って言いますな。これが大阪だともっと直接的。なんて言うかと申しますと『死んでもしらんで』」。ドライだね(笑)。『元犬』は上方と東京ではサゲが違うと聞いていたが、これは初めて聴くサゲ。人間になったシロが寝ているのを見て、「これは人間じゃない。犬だ。大の字になって寝ていて枕が点になってる」。

 笑福亭鶴瓶は、マネージャーとのあれこれをマクラにして、私落語『琵琶を弾く観音』。これ、どこまで実際にあった話なのかしらないが、やたら可笑しい。知らない女性からもらった瓶詰を、マネージャーのカバンにそっと忍び込ませるというイタズラをしたことが発端の、鶴瓶とマネージャーの闘いの日々のオハナシ。師匠と弟子では絶対に起こりえない、タレント業をやっていて初めて生まれた噺だね。これは普通の落語家には作れないわ。

 「古道具屋に入ったら落語家の色紙が置いてありましてね。立川談志、先代柳家小さん、三遊亭円生、みんな二万円。一万円という噺家もいて、これはまだ生きている人。死ぬと二万円になるらしい。私、米朝師匠の色紙持ってるんですわ。死んだらいくらで売れるか・・・」。桂南光『はてなの茶碗』をキッチリと。こういう噺はやはり上方。お金のことをこうくどく話すのは東京落語には似合わないもの。

 桂文珍は、葬式や寺のことを話し始めたのだが、なんともブラック。まさかと思ったがどうも実際に体験したことらしい。なんの噺になるのかと思ったら『お血脈』。石川五右衛門の居場所を探すのにもタブレット端末を使ったり、なかなか現代的。さすが文珍落語。

 最後に、三人が、大太鼓、締め太鼓、鐘の前に立って、しころ。鶴瓶には一番難しそうな締め太鼓を廻され、嫌がっていたけれど、なんだかぎこちないバチさばきなれど、なんとかクリア。三本締めではなく大阪締めで締めていた。

12月28日記

静かなお喋り 12月27日

静かなお喋り

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