July.26,2001 捨て猫・野良猫

        先日テレビを見ていたら、猫を10匹以上飼っているという人が出てきた。それが、全て別の種類の猫たち。アメリカン・ショートヘアあり、ペルシャあり、アビシニアンありといった状態。みーんな血統書つきの純血種。別に人が何を飼おうが関係ないのだけれど、世の中の猫のほとんどは雑種だ。純血種もいいのだけれど、こうも全て純血種ばかり集めている人を見ると、なんだかブランド・マニアめいていて、嫌だなあと思ってしまう。

        我家では、過去4匹の猫を飼ったことになるが、全て雑種。最初の1匹は貰い物で、あとの3匹は、それぞれ捨て猫の運命を辿って、ウチに住みついてしまったやつらだ。何で、動物を捨てるなどという可哀想なことをするのだろう。捨てる人の了見がわからなかった。3匹の猫は、ついつい可哀想に思ってウチで飼ってあげることになってしまったのだった。

        捨て犬というのは、最終的に飼ってやろうという人が現れないと、保健所あたりで捕獲されてしまうのだろうから、野良犬になることは少ない。一方、捨て猫というのは、飼ってやろうという人が現れないと、そのまま死んでしまうと思い込んでいたのだが、どうやら、かなりの数の猫が野良猫としてたくましく生きているのだから、猫というのは生命力がある。

        公園や路地裏などで野良猫たちは、どこかの猫好きの人からエサを貰い、生きつづけている。猫というのは、寒がりやだと思うのだが、それでもいったいどこで暖をとるのか、ひと冬を平気で越してしまう。ウチで、寒いと文句ばかりたれていた猫たちは何だったのだろう。

        エサが確保できないときもあるだろう。雨に降られるときもあるだろう。寒さに凍えるときもあるだろう。子供にいたずらの対象にされるときもあるだろう。犬に追いかけられるときもあるだろう。でも野良猫たちは、そんな運命をうらんだりしていない。当然のごとく、そんな事態を受け止め、平然と生きていっている。私はもう猫を飼うことは止めた。捨て猫を見つけても、可哀想だと飼ってやることは止めた。生命力を持っている猫ならば、どうやってでも生きていく。猫を捨てる人達よ、だからといって、あなたたちの行為は最低だ。けっして許されることではない。野良猫として生きつづけていられる猫は、ごく少数だと思っていい。あんたら、猫を捨てる前に一度、ホームレスにでもなってみることだね。

        沖縄での2泊3日の滞在中、一度も猫の姿を見かけなかった。タクシーの運転手さんに訊いてみたら、「沖縄では犬や猫を飼っている人は少ないんですよ」とのことだった。そういえば犬を散歩させている人の姿も、あんまり見かけなかった。「それでもねえ、もちろん飼っている人はいるんですよ。中には、本島の北部ヤンバル地区という自然の多いところに猫を捨てる人がいましてね、野良猫にヤンバルクイナが襲われるという事態になっているんです。ご存知でしょ、ヤンバルクイナって、飛べない鳥なんです。野良猫のいい標的にされてしまう。絶滅寸前の鳥ですからねえ、問題になっているのですよ」 う〜ん、猫はたくましいなあ。沖縄で猫を捨てる人よ、あなたたちは、猫に可哀想なことをする上に、ヤンバルクイナまで滅ぼそうとしているのか!

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