March.13,2002 猫とテレビ
猫はテレビの上が大好きなようだ。ちょっと高くなっているのがいいのだろうし、暖かいというのもその好む理由に違いない。猫がテレビの上で寝そべって、尻尾がテレンと画面に垂れ下がってしまって、テレビを見ている人の邪魔をするというのは、猫を飼った経験のある人なら誰でも経験しているに違いない。猫の方としては、なぜだか人間が自分の方を見ているから安心感もあるのだろう。
若いころのチェリーは、あまりテレビの画面に興味を示さなかった。ところがなぜかアニメには興味があるようだった。アニメが映っているとジーッと見つめていた。
パソコンなどというものがあまりまだ普及していなかったころ、私はアップルUというパソコンを買った。目的はただ一つ、ゲームがやりたかったのだ。今でこそ、日本のゲームソフト・メーカーは世界に誇るゲームを量産しているが、当時は日本のゲーム業界は遅れていた。私はアップルのゲームソフトをいろいろと買い込み、毎晩夢中になってやっていた。アドベンチャー・ゲーム、シミュレーション・ゲーム、ロールプレイング・ゲーム、英語の辞書と首っ引きでやっていたものだ。もちろんアクション・ゲーム、パズル・ゲームもやった。中でも好きだったのが、パックマンに似たゲームで、迷路のような中を敵のクルマに捕まらないようにしてゴールを目指すゲーム。これを始めるとチェリーがモニターの前に近づいてくる。クルクル動くクルマの動きを見て、そのクルマを捕まえようとして画面に手(前足)を出してくる。後にファミコンを始めたら、今度は格闘ゲームに反応した。闘っているふたりに加わって、手(前足の肉球)をバシッと画面に叩きつける。
歳をとってから、あまり外に出なくなるとテレビに異常に興味を持ち出した。特に好きだったのが、やっぱりアニメと、動物の出てくるドキュメンタリー。犬や猫が出てくるのはもちろん、ライオン、キリン、カバ、猿、蛇、ミミズ、何にでも反応した。競馬中継など私と並んで見ていた。まったく、チェリーがどの馬に賭けているのか訊いてみたいくらいだった。
ある夜、私は石井隆が監督した『死んでもいい』という映画を見ていた。この映画はクライマックスに長回しのシーンがある。永瀬正敏が、大竹しのぶの夫という設定の室田日出男を浴室で殺害する場面だ。ここで、それまで寝ていたチェリーがムクリと起き上がって、テレビの前に行くと、永瀬正敏を肉球でバシッ、バシッと叩き始めたのだ。あれは、永瀬正敏のやったことが許せなかったのだろうか・・・。