October.11,2002 猫の耳

        猫の顔というのは、限りなくまん丸に近い。犬の場合は、種類にもよるが、ほとんどが鼻が突き出していて、まん丸の顔を持っているのは少ない。猫の頭を掌で包むと野球のボールを持ったようにまん丸だ。毛だらけの球状の物体。それが妙に触っていて面白い。もっとも、こんなことを出来るのは、あくまでも自分の飼い猫だけ。余所の猫にやろうものなら、絶対に嫌われてしまう。

        このまん丸な顔にアクセントのように耳がふたつ、そそり立っているのが可愛くて可笑しい。人間の耳は顔の側面についているのに、猫や犬は頭のてっぺんに耳がついているって、なんだか可笑しくないですか? 特に猫の場合はまん丸な顔に突き立ったふたつの耳というのが、なんともユーモラスな気がするんですよ。江戸半太くんの飼い猫、耳が立ってないスコティッシュホールドも可愛いのだけど、やっぱり猫はあのふたつの耳がにょっきり立っている方が猫らしい。

        冬、猫がお散歩から帰ってくると、体が冷たくなっている。寒がりな猫は急いでコタツに潜り込む。一番冷たくなっちゃっているのは耳。その耳を掌で包む。冷たくなっていた耳が徐々に暖まっていく。猫の方は人間に耳をつかまれるのが嫌いらしく、一生懸命振りほどく。この薄っぺらい耳を触っているのは、とても気持ちいいのだが・・・。コタツの中でしばらく暖まっていると、やがて耳も暖かくなっていく。

        耳が頭の上についていて、なんだか前方の物音を一生懸命聞こうとしている格好なのって面白くありません? ちゃんと人の言う事を聞こうという態度を見せているような気がする。その実、人間の言うことなど、まったく聞く耳を持たないのが猫なんだけど。



        上の写真は、先月も載せた、イスタンブールのレストランで見かけた子猫なんだけど、猫って下を向くと耳も下向きになってしまう。あたりまえなんだけどね。この下向きになった耳というのが妙に可愛くありませんか? なにかジャレるものを見つけて、真剣な表情で下を向いてジャレているときの下向きの耳。下向きじゃなくて直向(ひたむき)って感じ。ついつい、そんな猫を見ると「お耳が可愛い」と思ってしまう私なのです。


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