April.21,2005 ゾンビ猫
先月のこのコーナーで書いたように、春のお墓参りに行って、また石材屋さんの前で猫に遭遇したのだが、墓参りを済ませて霊園を出ようとしたら、入口のところに猫がたくさんいるのに気がついた。みんな懐っこいやつらばかりで、人間に対して警戒心というものがあまり無い。東京の中心部にいる猫たちは人間に対してピリピリしていて、近づいていくと警戒心丸出しにして、怯えた表情をしたり、こちらをキッと睨みつけたりしてくる。やはり郊外の猫の方が人間に対して警戒心が少ないのかもしれない。
そんな猫たちの中でも、向こうの方から寄って来たやつがいた。ゴミ箱の横から顔を出して、こちらに向かって、さかんに「ニャー、ニャー」と存在を訴えかけている。「おいで、おいで」と言ったら、飛んできて身体をこすり付けてくる。さらには、人の指をカミカミカミカミカミと噛み付き始めた。おいおい、人間を喰うなよ!
ジョージ・A・ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』というホラー映画をご存知だろうか? ゾンビ映画の傑作といっていいだろう。この映画のファースト・シーンは、墓地で墓参りしているところに、突然にゾンビが現れ、人を襲うところから始まる。思わず、この猫にはゾンビ猫という名前をつけた。
どうもこいつらは野良猫で、墓参りに来た人から餌を貰っているらしく、それで懐っこいようだ。私のバッグをさかんに気にしていて、バッグからカメラを取り出そうとすると、バッグの中に鼻を突っ込んでくる。
どうも仕事がら、私からは鰹節の匂いがするらしく、猫や犬が寄ってくることが多い。「わかった、わかった。今日は何も食べ物を持ってないけど、秋の墓参りのときには、鰹節を持ってきてやるからな」と言って、今回は勘弁してもらった。
最近、やや面倒だなあと思っていた、墓参りもこれで楽しみが出来た。秋には鰹節をたくさん用意して霊園に行くことにしよう。