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週末日記















2010年7月16日から19日

16日

 きょうは、毎月一度の『つくしの翁庵落語会』の日なので、夜まで営業。お客さんが切れたときに下で聴いていたら、『動物園』を演っていた。主人公を女性にして、本筋は変えずに、女性が演っても違和感のないものにすっかり作り変えていた。どうしても男性の演っている古典を女性がそのまま演ると違和感があるのだ。今、『お菊の墓』も女性を主人公にして演っているそうだ。これは是非聴いてみたい。

 『うぬぼれ刑事』第二回。マドンナ役は蒼井優。宮藤官九郎脚本とあって、大人計画繋がりで荒川良々がレギュラーで出ているが、今夜は皆川猿時が結婚詐欺の被害者役で出ていた。ラストのお約束、結婚届か逮捕状、指輪か手錠も楽しみになってきた。

17日
 明け方にTBSの落語研究会を観る。古今亭志ん輔で『包丁』。『包丁』といえば円生。志ん輔の口調にときどき円生を感じたりして。

 年に一度の健康診断の日。きのうの18時から何も食べないで病院へ。毎年この日が来ると、暴飲暴食は止めようと思うのだが、ついつい飲み過ぎ食べ過ぎになっちゃうんだよなあ。

 11時に検査が全て終わり、さあ腹減ったから食事に行こうと思ったら、母が足の痛みを訴える。土曜とあって病院は昼で終わってしまうので、すぐに病院へ連れて行く。

 帰れたのが13時。腹減ったあー。19時間ぶりの食事だ。すぐに食べられるところといえば回転寿司。近所の回転寿司屋に飛び込み、9皿食べる。いつもは6皿か、食べても7皿というところなのだが、いかんいかん、また暴食している。

 お腹がいっぱいになったら急に睡魔が襲ってきた。ちょっと昼寝。

 渋谷へ出て[ル・シネマ1]で『華麗なるアリバイ』。アガサ・クリスティの『ホロー荘の殺人』をフランスで映画化したもの。アガサ・クリスティは中学生のころによく読んだが、『ホロー荘の殺人』は読んでいない。もっとも、今回の映画化作品を観ると、この話はかなり大人のドラマで、はたして中学生が読んでどれだけ理解できたかは疑問。ダニエル・クレイグ版『カジノ・ロワイヤル』にボンド・ガールとして出ていたカテリーナ・ムリーノが出ている。あのときのカテリーナ・ムリーノは、好色そうな尻軽女って感じだったけれど、こちらもまあ似たような役。

 タワー・レコードで、ここ半年くらい迷い続けていた遠藤賢司の『実況録音大全第二巻1977−1986』を買う。CD9枚DVD1枚のボックスで15750円。amazon.co.jpで買えば12792円なのだが、タワー・レコードで買えばトート・バッグが付くのと、ポイントが貯まっているので、ポイント15000円分と現金750円で手に入るのだ。1977年から1986年といえば、私は結構遠藤賢司を聴きに行っている。このあとがエンケン・バンドの時代に突入するわけで、第三巻が出たらまた買ってしまうだろうなあ。タワー・レコードのポイントを貯めておかなくちゃ。

18日
 劇団フーダニット第10回公演『ホロー荘の殺人』ソワレへ行く。会場は、都営新宿線瑞江駅の近くにある東部フレンドホール。

 瑞江駅を出て、まだ時間があるので駅前の[MORIVA COFFEE]のテラスで時間を潰す。クラッシュエスプレッソモカ320円。

 入口で松坂健さんに挨拶して会場へ。松坂さんも来る人来る人に声をかけられて忙しそう。

 『ホロー荘の殺人』(The Hollow)。きのう観た『華麗なるアリバイ』と同じ原作によるもの。アガサ・クリスティが小説版に不満を感じて戯曲に作り直したもの。上演時間は正味3時間10分あった。こういうものを観せられると、映画版が薄っぺらに思えてしまうから驚く。もちろん犯人は同じなのだが、『華麗なるアリバイ』はいかにも映画用に作られていて、ラストはサスペンスたっぷり。しかし人間の愛情、感情の細かな機微は、この舞台版の方がはるかによく出来ている。ミステリとしても二丁の拳銃のトリックなどがうまく観客にわかるようになっている。

19日
 三連休最終日。午前中は翌日の仕込みやら買い出しやら。

 午後、NHK−BS2でつかこうへい追悼放送『熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン』を観る。つかこうへいは、学生時代からずっと見続けている。大阪や大分まで観に行ったりしたっけ。もちろんこれもナマで観ているのだが、山崎銀之丞いいんだよなあ。顔中を汗まみれにし熱演している。

「俺たち補欠選手の辛さがわかるかってんだよ! お前らはいいよな。ファースト・クラスだもんな。俺たちはよ、エコノミーにも乗せてもらえず家畜と一緒に荷物室にほうり込まれてよ、ロスまで15時間、牛はモーモーうるせえし、ブタはブーブーうるせえし、ニワトリだってコケッコケッ。外見たら朝になったり夜になったりするもんだから時差ボケでポンポンポンポン卵産むんだよ。うるさくて眠れなかったよ!」

「いくら俺たちでもオリンピックの候補選手なんだから、メシくらいはスチュワーデスが運んでくるかと思ったんだよ! ところがよ、ブタが蝶ネクタイして運んできたんだよ。『飲み物は飲み放題です』って水置いてって、そりゃ水くらい飲ませてもらわなきゃ俺たちだってやってられないんだよ!」

「でよ、間もなく飛行機はロスに着陸するってときによ、俺たちはシートベルトしようとしたんだよ。ところがよ、ねえんだよシートベルトが! 見るとよ、してんだよ、ブタがシートベルトを! よく見ると牛もしてんだよ! ニワトリもしてんだよ! 俺たちは家畜にも劣るのか!」

「ようやく飛行機がロスに着陸して、おめえら正選手は日章旗の出迎えの中タラップ降りて行った。俺たちゃよ、牧場主の出迎えの中、家畜と一緒に荷物室から運び出されたんだ! 臭くて臭くてたまんなかった。あんまり臭いもんだからよ、早くシャワー浴びようと思って、『あのー、すいません、僕たちのホテルどこですか?』って言ったら、『おめえらにホテルなんかあるかよ! これで好きなとこに行って寝な!』って、ゴザ渡されたよ!」

 見終わって、久しぶりに寄席の定席に行く。池袋演芸場夜の部。

『天失気』 柳亭市也
『熊の皮』 柳亭市江
『千早振る』 橘家文左衛門
津軽三味線 太田家元九郎
『ぜんざい公社』 橘家蔵之助
『笹野権三郎・海賊退治』 宝井琴柳
奇術 アサダ二世
『へっつい幽霊』 むかし家今松
『万病円』 柳家さん福
『代書屋』 柳家権太楼
漫才 ホームラン
『青菜』 柳亭市馬

 帰宅して、鯉の洗いとおひたしで柳影ではなく、スーパーで買ってきたジンギスカンを焼いてビール。やっぱり定席はいいなあ。

7月20日記

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