September.26,2002 ありがとうございました

        本日、明治座千秋楽。今月は北大路欣也座長公演『佐渡島他吉の生涯』(織田作之助『わが町』より)でした。左とん平様、曾我廼家文童様、頭師佳孝様、入江加奈子様、魏涼子様、村上理子様、河村奈奈様、スズキマリ様、松下京子様他の皆様から御注文をいただき、楽屋まで出前させていただきました。ありがとうございます。


September.20,2002 新手の解錠泥棒が出て

        3年前にマンションを買ってしばらくしてから、ピッキング犯罪の報道がなされた。さっそく調べてみたが、幸いに我がマンションの鍵はピッキングに強いものとわかり、ホッとしたものだった。

        ところが、ここにきて新手の解錠の手口があるのが報道された。ある種の鍵は、錠前の鍵の差し込み口のシリンダーの突起部とドア面に3mm程度の隙間ができるために、特殊な工具をその隙間に入れれば、ほんの数秒で開けられてしまうという。どうやら、インターネットなどを通じてこの工具は売られているらしい。さっそく調べてみたら、私のマンションのドアは、この鍵に該当している。

        鍵屋に連絡したら、すぐに来てくれた。対策としては、隙間ができないようなリングの座金を入れればいいというので、さっそく入れてもらった。工事はあっという間に終了。工事費5000円也を請求された。扉の前で工事をしてもらっていると、同じマンションの住人が通りかかり、「それなら、うちも」と何軒かから、その場で注文をされていた。私の住むマンションは60戸あり、このマンション全部の鍵にリングを入れる作業をすれば30万円の売上げだ。それも、小さなリングを入れるだけの手間。最近、私の街には続々とマンションが出来たから、その戸数はたいへんな数に上る。ひとつのマンションは全て同じタイプの鍵を使っているのだから、問題のある鍵を使っているマンションは全ての戸数から需要が生じることになる。これって、鍵屋さんのぼろ儲けじゃないの?

        別に鍵屋さんを悪く言うつもりはない。鍵と泥棒の解錠手口は、いたちごっこみたいなものだ。また新しい手口が考えられていくのだろう。どんな錠前も完全ではないということである。まあ、ようするに取られては困るほど金目のものは持っていない方がいいということだ。落語に『水屋の富』という噺がある。水屋さんが富くじで千両当る。泥棒に見つからないように、どこに隠そうかと思案したあげく縁の下に隠すことにする。仕事に出て帰ってくると、長い竿を縁の下に入れて、こつんと当ると、やれやれ大丈夫だったと安心する。水屋さん、お金のことが心配で仕事に手がつかないし、夜も眠れない。ある日、仕事から帰ってきて縁の下に竿を入れて振ってみると、小判に当らない。ああ盗まれてしまったんだと気がついた水屋さん。落胆のあとに、「ああ、これでぐっすり眠れる」。お金なんて、ほどほどに持っているというのがいいようだ。あまり持ちすぎると苦労が絶えない。使いましょう、使いましょう。そして、コツコツと真面目に働きましょう。


September,3.2002 乗り越し料金自動精算機

        列に並ぶのが嫌だ。人気のラーメン屋さんなどの長蛇の列を見ただけでうんざりして、どんなに美味しいであろうと言われているラーメンでも、食べるのを諦めてしまう。全席自由席の劇場。いい席を取るためには早くから並ばなければならないとしたら・・・。こんな時も複数の人間で行くときはともかく、自分ひとりだったなら、まあ別に特別にいい席でなくてもいいやという気持ちが先に立って、早くから並ぶなどということはしない。あるいはチケットピアでの発売日、早くから並んでまで取ろうという気が無い。10時の発売開始ギリギリに行って並ぶ。取れなければ取れないで、諦めてしまう。

        諦めてしまえるものなら、それでもかまわないのだが、世の中、どうしても列に並ばなければならないということがある。混んでいるスーパーやコンビニのレジなんかがそうだ。ここを通過しないと商品を外に持ち出せないから仕方なく並ぶ。劇場での休憩時間のトイレ。ここでトイレに入っておかないと、また数時間は入れないから仕方なく並ぶ。

        コンビニなどでムッとするのは、一度レジに並んで会計を始めたあとで、さらに買い足そうと、また売り場に戻って行く人。その間、ズラリと人が並んでいるレジはストップしてしまう。買い忘れたものを思いついたなら、一度会計を済ませてレジを離れ、その商品を手にして、もう一度レジに並びなおすのが礼儀だろうと思うのだが、こんなことをする人は少ない。

        電車の切符は目的地まで買うのが作法だが、そうもいかないことがある。乗っている途中で行き先を変更することもある。そういうときにお世話になるのが、乗り越し料金自動精算機。私は営団地下鉄の土休券というのを愛用している。これは、利用できるのが土、日、祝祭日に限られるのだが、私が地下鉄を利用するのは休日がほとんどなので、これは便利だ。しかも10枚分の料金で14枚貰える。休日に出歩くことが多い私には実に重宝な回数券なのだ。160円の土休券を月に2〜3回買うことになる。

        私の最寄駅から目的駅までは、たいてい160円で行けるが、ときに190円の区間まで乗らなければならないことがある。そこで、目的駅に着いてから30円の精算をしなければならない。乗り越し料金自動精算機は便利な機械である。この機械が登場する前は、駅員のところへ行って精算していた。だが、疑うわけではないが、あれでは私が支払った乗り越し料金を駅員が不正にポケットに入れてしまってもわからない。何か釈然としない気持ちがしたものだ。そこへ行くと機械は信用ができる。

        当初、あの機械が登場したときは、使い方に少々戸惑ったが、すぐに慣れた。切符を機械に入れると、乗り越し料金を表示してくれる。その金額を機械に入れるだけ。精算キップを受け取って、自動改札をぬける。

        乗り越し料金自動精算機が各駅に置かれてから、もうずいぶんと経つと思うのだが、いまだに慣れない人もいるようだ。それも仕方ない。ただ、長い列が出来た場合、ある程度使い方を憶えた人は、すみやかに利用するコツをつかんで欲しいのだ。列が出来ていて待っている間にお金の用意くらいはしておいて欲しい。機械の前に来ておもむろに財布を取り出す人がいる。中にはバッグの中をゴソゴソと掻き回して財布を捜している人もいる。もっとサッサと進まないものだろうか?

        機械の前に立って、キップを入れる。表示された料金を機械に入れる。精算キップを受け取る。ここまでで何秒かかるものだろうと自分でやってみた。約12秒あれば済むことがわかった。それから、列につくと前の人の秒数を計る習慣がついてしまった。ほとんどの人が20秒くらいかかっている。長い人だと40秒。1分以上かかる人には、さすがにイライラが起こる。歳をとったせいだろうか、私はどうも、せっかちになっているようだ。

        12秒を切れないものだろうかと、挑戦したことがある。列に並んで、左手に切符、右手に10円玉3枚を握り、前の人が終わったところで、すばやく機械の前へ。切符を突っ込んだ。すると、ちょっとの間があって機械は私の投入した切符を吐き出してきやがった。切符は勢いよく飛び出てきて2m近くすっ飛んで床の上に落下。「あっ、すいません、すいません」と拾い上げて、再び投入。前の人の精算がすんで、しばらくは機械の中での調整の時間が必要らしい。でもさあ、何も、気に入らないからって切符を勢いよく吐き出すことはないよなあ。


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