February.25,2003 ありがとうございます

        本日明治座千秋楽。今月は萩本欽一座長公演『江戸の花嫁』でした。佐藤B作様、中田浄様、瀬戸陽一朗様他の皆様からご注文をいただき楽屋まで出前させていただきました。ありがとうございます。


February.11,2003 漠然とした不安(2)チェーン店、コンビニの進出

        私のお気に入りの本屋さん[栄松堂]が店を閉めたあとに、カレー屋さんが開店した。

        ずーっと昔、私はこの私の住んでいる町にカレー屋さんを作ったらどうだろうと真剣に考えたことがあった。カレーなら、ご飯を皿によそってルーをかけるだけでいい。人件費もあまりかからないし、いい商売だと思ったのである。しかし考えていただけで、今の仕事が忙し過ぎたこともあり、もう一店出すという気力も体力も暇もなかった。

        栄松堂の建物を壊すこともなく、本屋さんは某カレー・チェーンの一店に衣替えした。私の町では気がつくとカレー屋さんが数多く目につくようになっていた。大手のカレー・チェーンだけで3種類。某チェーンは大々的に乗り出してきていて、この狭い地域に数店存在する。また、個人経営のカレー屋もある。さらには本格的なインド料理を出す店も数店進出してきた。私の出番は無くなった。

        私も考えたように、カレーという料理はファースト・フードの代表的なものである。調理する方も手早く出せるし、食べる方もさっさと食べられる。しかし、私の町にまず最初に出来たのは牛丼の吉野家だった。これは、あっという間に数店が開店した。しばらくは、わが町でのファースト・フードというのは吉野家の独占状態であったと言っていい。郊外のちょっとした町ではハンバーガー・チェーンやケンタッキー・フライド・チキンやミスター・ドーナッツがどこでも見られた時期にである。何でわが町にハンバーガー屋が無いのか残念に思っていたものだった。

        やがて、マクドナルドが進出してきた。これは二店、あっという間に出来た。「マクドナルドよりもモスバーガーの方が好きなのになあ」と思っていたら、モスバーガーも出来た。

        そうこうするうちに、大手天丼屋チェーンの店舗が開店した。その前後には、その対抗勢力になるのではないかと思われた某天丼屋チェーンのひとつが、やはり開店している。某中華そば屋チェーン店が開店したのも早かった。数年前には某定食屋チェーン店が開店。牛丼屋も吉野家だけではなく松屋も出来た。

        わが町には出来ないだろうと思われたファミリー・レストランも、ここ数年で、気がつくと数店建っている。

        居酒屋チェーンも続々と進出してきた。以前は、養老の滝くらいしか無かったのだが、今ではチェーン展開の居酒屋だらけである。

        ドトールが進出してきたのも、比較的早かった。安くコーヒーが飲めるので、トドールの進出はうれしいものだった。こういった安いコーヒー・ショップはその後も、どんどん増え続けている。

        そして何と言っても、町を見渡して目に付くのはコンビニだ。もう町中がコンビニだらけと言っていいと思う。確かに便利だから歓迎ではあるのだが、こう多くなると、「何もこんなにはいらないのでは・・・」という気になってくる。

        今まで何を言いたくてここまで書いてきたのかというと、これらのチェーン店が増えたことによって、それまであった個人経営の店が次々と消えていったということである。小さくても細やかなサービスで店をやってきた本屋が大手本屋チェーンの進出で姿を消したように、味のあるコーヒーを出してくれていた喫茶店が消えてハンバーガー・チェーンや安いコーヒー・ショップ・チェーン店になる。珍しいお酒を取り揃えていてくれた酒屋さんがコンビニになる。

        コンビニやファースト・フードの店が増えることは、最初のうちはうれしかった。しかし、これだけ増えてしまうと、複雑な気分になってしまう。もう町中がどこの町にでもあるチェーン店だらけなのである。これでは、わが町という特徴がどんどん失われてしまうのではないかと・・・。もう、日本どこへ行ってもおんなじチェーン店が町に溢れかえっている。このままでいけば、日本はどこへ行っても同じ。まったく町並みというものは、おんなじ眺めになっていってしまうのではないか?

        しかも、これらの店が建った多くは、以前からわが町で営業してきた個人の独立経営の店舗だった跡地である。歴史が、文化が、消えて行こうとしている。

つづく


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