December.15,2007 無神経としか思えないラジオCM

        毎朝午前4時に起きて仕事をしている。外は日の昇っている時間の長い夏だろうと、まだ真っ暗だ。別に好き好んでこんなに早く起きているわけではない。仕事の段取りを考えると、4時に起きないと間に合わないのである。パソコンでこんなホームページを作っている7時から8時の間をカットすれば、もう1時間寝ていられるのだが、これは私の数少ない楽しみのひとつだがら仕方ない。お昼時はセッセと商売に励み、午後に軽い昼寝をして、夜はまた商売だ。閉店して、夜のうちにやっておかねばならない翌日の仕込み、後片付けを終えると午後9時30分。お客さんがなかなか帰らなかったりすると午後10時近くなる。これから帳簿のチェックをして風呂に入ると軽く午後10時30分を回っている。布団に入り焼酎の水割りなんかを飲みながら本を読んでいたりすると、あっという間に11時である。これから4時までの5時間の睡眠に入る。

        8時間眠れる人はうらやましいなあと思うのだが、こういう人生を選択してしまったのだから仕方ない。目覚まし時計以外に、タイマーの付いたラジオを持っていて、これをセットしてから寝るようにしている。午前4時。目覚まし時計とラジオが同時に鳴る。目覚まし時計は枕元にあるから布団から手を伸ばして止める。だがラジオは起き上がらないと手に届かない位置にあり。目を擦りながら起き上がり着替えをして、部屋を出るときに止める。いつも60年代、70年代のヒット曲(洋楽、邦楽)を流してくれる局を聴いている。この局、以前は日替わりでお笑いタレントがパーソナリティになっていて、そのあまりのつまらなさに辟易していたのだが、このスタイルになってからは俄然、お気に入りの局になった。ということはこの時間帯、私と同じように年頃の人が聴いているということなのだろうか。このスタイルになる前は仕方なく別の局を聴いていたのだが、ここは演歌ばっかりだった。トラックの運転手が対象らしいのだが、ゲストで出てくる歌手がインタビューに答えて、「一生懸命頑張ります」 「心を込めて歌いたいと思います」 「みなさまの応援に答えて頑張りたい」と、毎朝誰もが「一生懸命」だの「頑張る」だのばかり同じことを言うのでイライラしてくるのだった。演歌なんかに興味がない私は、勝手にしてくれとしか思えなかった。着替えて仕事場に下りるとやはりラジオのスイッチを入れて仕事をする。やたら力ばかり入った演歌が流れてくる。それでも聴いていたのは、早朝にひとりでラジオから流れてくる放送でも聴きながらでもなければ、こんな生活が虚しくなるからでしかないから。

        先日目が覚めて鳴っていたのは、いつもの放送局ではなく、演歌の方の放送局だった。どうやら前日の夜に聴いていた放送局を、いつもの局に変えずに寝てしまったらしい。どうせ5分ほどで着替えてしまうのだからいいやと思って、この局を聴きながら着替えに入った。するとラジオCMが流れてきた。広告主は政党まで持っている某巨大新興宗教団体である。そのメッセージに驚いてしまった。「時間がないなどと言わないで、いつもより1時間早く起きてみませんか」 おいおい、睡眠時間を削って働いているオレの立場ってどうなるんだよ。睡眠時間を5時間から4時間にしろとでも言うのかよ。まあおそらくたっぷり睡眠時間のある人向けに作ったCMであるのだろうけど、放送時間帯が午前4時ってどうゆうこと? なかには午後7時とか午後8時とかに寝て、午前4時に布団の中でヌクヌクしている人もいるのかも知れないけど、午前4時に起きていてラジオを聞いている人はほとんど仕方なく起きて働いている人か、前日から徹夜で仕事している人でしょ。そういう人たちに「いつもより1時間早く起きてみませんか」というメッセージを流すという無神経さに腹がたってくるのだ。どこぞの巨大新興宗教団体の広報担当者様はさぞかしたっぷり睡眠をお取りになっている健康的な生活をなさっていることでしょうよ。


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