February.23,2008 ランナーよ走れ、私よ歩け

        先月あたりから近所の歩道を数人ずつの集団が走っているのを目撃していて、ランニングがまたブームなのかなあと思ったりしたのだが、はっと気がついた。この道路は東京マラソンのコースの一部だったのだ。そう、コースの確認をするために事前に走っている人達だったのだ。

        去年から始まった東京マラソン。第一回だというのに雨に祟られてかわいそうだったが、今年は晴天に恵まれて、最適のマラソン日和。東京のシティ・マラソンというと、国道1号線を使っていたので、私には関係なかったのだが、去年からの東京マラソンは、東京の繁華街を走るコース設定。テレビで観ていても東京の観光名所がつぎつぎと写るので楽しい。が、一方、住民にしてみるとこういうイベントは市民生活が不便になってしまうのだ。私の住むところだと、永代橋通り、新大橋通り、清洲橋通りが分断されてしまうという事態に陥ってしまうことになる。マラソンコースになってしまった道路は横断禁止。いつも利用しているスーパーは新大橋通りを渡ったところにあるのだが、これも渡れなくなってしまう。このスーパーに行くには、水天宮の地下鉄の地下通路を使うか、東日本橋の陸橋を渡るしかするしかない。どちらにしても大回りになるし、自転車は使えない。まっ、しょーがないか。普段は陸橋なんてメンドウだなあと思っていたのだが、こういうときは重宝だ。

        この日、スーパーへ行くのに東日本橋の陸橋を使うことにした。近くに25K地点の標識があるところで立ち止まってランナーを応援する。手を振ると余裕のあるランナーは手を振り返してくれたり、手にタッチして走っていったりする。一生懸命走っている姿を見ると、こっちが少々不便な思いをしても、こういう行事はいいなあと思えてくる。自分は走ろうとは思わないけれど(笑)。



        この清洲橋通りは往路にも復路にも使われている。浅草へ向う集団と浅草から帰ってくる集団があって、7時間の制限時間中、ほとんどいつでも人が走っていることになる。東日本橋の陸橋からこの様子を写真に撮ろうとしたら、陸橋の上に係員がいて、「立ち止まらないでください」 「写真は下で撮ってください」と注意している。でもせっかくだからと一枚だけ撮ってきた。



        ぐるーっと大回りしてスーパーで買物をして、帰りは水天宮の地下道を使って帰宅。なにしろこのスーパー、この期間中に3週間のスタンプラリーをしていて、パーフェクトに毎日スタンプを押してもらうと多くのポイントがもらえるのだ。たいへんだったけど、ランナーはもっとたいへんだったろう。


February.5,2008 旅のガイドブックを信用しすぎるな

        弘前のブルースマンOthumさんが書いているのを読んで同感したのだけれど、旅行のガイドブックに載せられているレストランは信用ならない。いや、もちろんそんな中にも、ガイドブックのお薦めに従って行って良かったという店はある。そうだなあ、当りとはずれの確率は半々くらいというのが私の経験だろうか。そうなんです。私は結構今までガイドブックに載った店というのを頼りにして旅行をしていた時期があった。

        それがどうやらガイドブックはアテにならないと気がついたのが10年ほど前(遅いよ!)。Othumさんは以前、函館に行くのにガイドブックを読んで、そこに載っていたお店に入ったら失望したということを書かれている。実は私もそう、函館に行ったときにガイドブックを読んで行ったのだった。そこに載っていて是非行ってみたいと思ったのは蟹料理のお店。現地に着いて、古くからの知り合いに会って旧交を温めて、「じゃあ、また」と別れようとした時、「ところで、今夜はどこへ食事に行くの?」と聞かれた。私は得意になってガイドブックを見せ、「ここに行こうと思うんだけど」と言うと、相手の顔色が変わった。「ほんとうにそこへ行くの?」 「うん、おいしそうじゃない」 「いや、行くのは人の自由だけど、そこは止めた方がいいと思うなあ。高いし、あまりおいしくないよ」 そう言われてしまうと私は急に落ち込んでしまった。

        知り合いはしばらく迷っていたが、「しょーがないなあ。今夜は仕事休んで別の店、連れてってやるよ」と言うのだ。夜になってクルマで現れた知り合いは、「何? シーフードが食べたいの?」と聞いてくる。「ああ、せっかく函館に来たのだから、おいしい魚介類が食べたいなあ」と答えると、クルマを出した。クルマは繁華街をどんどん離れていく。やがて着いたところは大きな通りを曲がった人通りもほとんどないところ。そこにポツンと一軒の寿司屋があった。見た目はかなりショボい作りの小さな店だ。肩を押されるようにして入ったその店は他に誰もお客さんがいなかった。カウンター前の冷蔵ケースを見てみても何一つ魚の切り身など入っていない。不安な顔をする私を座敷に座らせ、知り合いは店の主人と何か話している。「好き嫌いは無かったよね。注文しといたから」と言われても半信半疑の気持ちになった。

        とりあえず刺身を頼んだらしいのだが、そのうちに知り合いと話が弾んでしまい、食事のことは頭から離れていっていた。そのときだった、カウンターの向こうでバシャバシャと音がするではないか。そう、水槽に入っていた魚を取り出して捌く音だった。カウンターの前のガラスの冷蔵ケースに何も入れられてなかった理由がわかった。ここは、お客さんの注文があってから初めて魚を水槽から出して捌くのだった。そのあと次々と出てくる刺身、そして寿司の旨かったこと!

        旅行先に旨いものが食べたかったら、その土地の人に聞くのが一番なのだ。あるいは自分の嗅覚でおいしい店を見つけ出すこと。それがオリジナルの旅ってものではないだろうか。ガイドブック通りに行く旅なんて、他のどこかの誰かさんもやっているマニュアルのような旅でしかないのですよ。


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