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蕎麦湯ぶれいく

芦ノ湖東岸縦断

2012年12月20日

 目が覚めて窓の外を見ると、そこは雪景色。昨夜は思ったより雪が降ったらしい。

 夜中に二回目が覚めて、二回とも部屋にある温泉に入った。大浴場は24時から6時まで使えないので、去年も泊まったこの風呂付の部屋にしたのだ。少々割高にはなるが一晩中温泉に入れるのはやはり魅力的。しかもこの浴槽がきれいで、大きすぎず小さすぎず、身体がスッポリ入る丁度いい大きさ。気持ちいいんだよなぁ、これが。しかも露天ではないのに外の景色がよく見える大きな窓がある。昼間、風呂に入りながら眺める芦ノ湖の景色は割高な料金を払っても十分にその価値がある。

 それが今朝ときたら、この雪景色だ。しかも、大きな庭のある[山のホテル]ならではの風景。四日ほど早いホワイトクリスマスだが、今まで東京に住んでいてこの時期に雪が積もったなんてことは無かったような気がする。豪雪地帯の人はうんざりなのかもしれないが、雪って人の心をウキウキさせるものがある。

 せっかくの雪景色。庭を散策しないともったいない。服に着替えて庭に出る。木にも地面にも雪が積もっている。ホテルの外観を見ると、またもや『シャイニング』を思い出してしまう。雪の積もった庭を歩き、芦ノ湖を眺める。やはりこのホテルは、いいホテルだ。全ての点でリゾート・ホテルのいいところを兼ね備えている。

 寒くなったので朝食。トマトジュース、オムレツ、ベーコン、サラダ、パン、コーヒー。そしてなんといってもジャムがおいしかった。

 昨日は桃源台を出発地点に、左回り(時計反対回り)で芦ノ湖の西岸を踏破したが、今日はその続きで東岸を歩いて桃源台まで戻ろうという計画。チェックアウトは12時までにすればいいのだが、早く歩きたくてウズウズし始めた。

 このままホテルを出て歩き出してもいいのだが、元箱根まで戻って買い物がしたい。10時過ぎにチェックアウトして送迎バスで元箱根まで送ってもらう。

 コンビニで桃源台の猫にあげる餌を買う。昨日は土産品の蒲鉾を買ったので高くついてしまった。どうせ味わわないで飲み込んでしまう連中だから、そんな高級なものをあげる必要はない。また、急いで飲み込むと喉につかえてしまう危険性もあるから、硬いものは避けたい。結局カニカマにした。これなら安いし、安全だし、うちで飼っていた猫も大好物だったし。

 次に[腸詰屋]に行く。ここのソーセージは去年来た時に買って帰ったのだが、おいしかったので今回も買って帰ろうと思っていたもの。昨日通りかかって入ろうとしたら休みだったのだ。今日は店が開いていた。とにかくソーセージの種類が多くて、目移りしてしまう。ソーセージを二種類にレバーペーストを買う。軽井沢と鎌倉にも店があるらしい。近くに来たときは、また買いに入ろう。通販もできるけれど、こうやって店で買うのが楽しいんだよねぇ。

 購入した土産物をナップザックに入れて背負うと、いきなりも重くなった。それでもうれしい気持ちの方が大きくて、こんな重さは気にならないもんね。

 買い物も終えたので、芦ノ湖東岸を一路、桃源台へ向かって歩き出す。次の目的地は、駒ヶ岳ロープウェイ。湖岸の遊歩道を歩き、[山のホテル]の前を通過。この先は初めて歩くところ。石畳の道路だが、枯葉が落ちていて、足元が柔らかい。気持ちよく歩ける道だ。

 それにしても芦ノ湖というのは、どこから見ても画になる。昨日歩いた西岸は、自動車道がないから、あまり通る人がいないだろうが、あちらからの景色は対岸にある建物などが、いいアクセントになっていて、「西岸からの方が画になる」と思っていたが、やはり東岸からの景色も素晴らしい。どこでカメラを芦ノ湖に向けても様になる。こういう湖は、そうそう無いのではないかと思う。

 やがて遊歩道は途切れ、自動車道。ほとんどのところは歩道があるが、いくつかの場所は歩道が無い。そんなところは自動車が通ると、ちょっとヒヤヒヤする。

 やがて、駒ヶ岳ロープウェイ乗り場に到着。チケット売り場の人に「頂上は寒いですよ」と言われる。今年は六月に北海道旭岳のロープウェイに乗ったら頂上は雪が積もっていて寒かったし、十月に谷川岳ロープウェイに乗ったときは雪はなかったにしろ猛烈に寒かったし、先月三重の御在所ロープウェイに乗ったときも頂上は雪があった。少々のことでは驚かない。

 とは思ったが、駒ヶ岳頂上に着いてみると、その寒さにはさすがにびっくり。ヒートテック下着、暖パン、ダウンジャケット、手袋で防寒していても寒い! 昨夜の雪も残っていて寒々しい風景だ。山頂を急いで散策してロープウェイ山頂駅に戻る。また一時的に雪らしきものが舞い始める。ストーブにあたって暖を取る。ちょっとした高度で、これだけの差があるものだと自然の凄さに感じ入ることしきり。

 下に降りると日も差していて、やはり暖かい。なんなんだ、あの山頂は。晴れていると富士山もきれいに見えるらしいが、今日は曇っていて見えなかった。残念。

 再び歩き出す。ここから先は自動車道の山側に遊歩道が作られていた。自動車も通れる広い道なのだが、車両通行止めにしてあって安心して歩ける。道はだんだん山の中へ入っていく感じ。ところどころで左側に芦ノ湖が見える。これがまた実に画になるんだなぁ。ここも歩いている人が少ない。すれ違う人もほとんどいなかった。みんなクルマで来て、こんな道を歩く人は少ないんだろうなぁ。本格的なハイカーたちは山を登るんだろうし。でも、こういう楽な道を歩くのって一番楽しいと思うのだが。

 やがて湖尻へ出る。そこからまた自動車道の脇の歩道を歩いて桃源台到着。これで芦ノ湖を一周したことになる。

 猫たちのところへ行けば、おっ、今日は昨日よりも数が多い。昨日は子猫ばかりだったのだが、親猫までいる。総数二十数匹。カニカマを取り出して縦に細かく千切って放ってやると、そこをめがけて殺到する。二十数匹が相手だと、千切っているのが間に合わない。あげると丸飲みしちゃうから、すぐに次のを待ち望んでいるやつもいるし。モタモタしていると足元からジャンプしてくる子猫もいた。餌をあげているというより猫の大群に襲われている感じだ。

 用意したカニカマは、あっという間に無くなってしまった。こんなことならもっと大量に買ってきてあげればよかったなぁ。

 小田原行きの路線バスは15分間隔で出ていた。それに乗り、昨日と同じ道を逆にたどる。この路線は観光客も使うが地元の人たちも頻繁に利用しているらしい。ところどころで乗り降りがある。仙石原、宮ノ下、湯本を過ぎ小田原市内へ。

 去年も入った小田原駅の[海鮮茶屋 魚國]へ。考えた末に頼んだのが、刺身に、唐揚げ肴の野菜まぶしサラダ、カンパチのカマ焼きって、よく考えたら去年と同じじゃん。

 [山のホテル]に、徒歩旅行に、[腸詰屋]に、[魚國]。変わりない旅行とはいえ、こういうのが案外自分らしくてホッとしたりするんだなぁ。入院して生き延びて、去年とあまり変わらない旅行ができる。いや、こういう旅行ができてホントによかったってことなんだよね。

12月22日記





















静かなお喋り 12月20日

静かなお喋り

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