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蕎麦湯ぶれいく

誕生寺〜行川アイランド跡ウォーク

2013年2月5日6日

 南房総に一泊してくることにした。

 JRを使うつもりだったが、予約を入れた宿から送られてきたパンフレットを見て気が変わった。鴨川・小湊温泉協会が出しているシャトルバスだと、片道1000円で行かれる。交通費が安く抑えられるのはやはり魅力的。さっそく予約を入れた。

 往路のシャトルバスは、10時に浜松町のバスターミナルから出発する。9時20分に家を出て都営浅草線で大門。そこからバスターミナルへ。

 平日ということもあって乗客はあまりいない。全員で十数名といったところか。

 定刻出発。首都高に乗ってレインボーブリッジを渡り、東京湾アクアラインを通って海ほたるで15分間のトイレ休憩。海ほたるに来たのは初めて。何年か前に木更津からの帰りに高速バスに乗ってアクアラインを通ったことがあるが、あのときは海ほたるには寄ってもらえなかった。せっかく海ほたるに来たのだから、ゆっくり海を眺め、売店で買い物や食事をしたいと思ったのだが、15分間は短い。展望デッキで海をチラッと見て、バスまで戻るのが精いっぱいというところだった。名物の有名なメロンパン食べたかったなぁ。あさりまん、あさりピザも食べたかったよぅ。

 バスは木更津側に抜け、房総半島の中央部を突っ切るようにして鴨川に向かう。途中、中央分離帯も無いような狭い道路もグングン進み、予定よりも早く最初の停車地、潮騒市場へ到着。ここから何か所か、降りる人の希望する停車地を巡っていく。私は終点の、うおポートの前まで乗る。

 うおポートは、いわば、お土産屋さんの施設。大きな水槽もあり、生きた高足カニや伊勢海老、平目、貝類なんかも扱っている。塩辛の瓶詰や、ぴーにゃんつ人形グッズにも惹かれたが荷物になるので断念。

 うおポートからちょっと歩いた所に誕生寺があった。誕生寺には十代の頃立ち寄った記憶があったのだが、この誕生寺を見た途端、いや、そのあとにもここには一度来たことがあるぞ、と思い出した。そうだ、誕生寺のすぐ近くにある大きな旅館に泊まりに来たことが一度ある。あれはいつだったろうか? 20年くらい前になるのだろうか? 最近は記憶が、とんと思い出せないことがある。

 誕生寺を参拝して、海岸線を歩き、大弁天、小弁天を見に行く。なんだか発音すると、嫌なイメージだねぇ。

 そこから丘に登り、誕生寺の裏手に抜けて、自動車道を先に進む。ところがこの道、ほとんど自動車が通らない。この広い道を右手に海岸線を見ながら歩く。とても気持ちのいい道だ。小高くなっているから雄大な太平洋を見下ろす感じになる。潮騒が聞え、空にはトンビが舞っている。これはいいなぁ。道は途中で交通量の多い幹線道路に合流してしまった。

 長いトンネルを抜ける。笹子トンネルの崩落事故のことが頭をよぎり、不安感を覚え、足がすくむ。息を止めるようにして足早に歩くが出口は遠い。年を取って、ただでさえ臆病になっているのに、あのトンネル事故を思うと最近は閉所恐怖症ぎみだ。

 トンネルを抜けると、そこは行川。すぐ左前方に行川アイランド駅が見えた。

 行川アイランドは、そう、10代のときに来たなぁ。しかし2001年に閉園。今は廃墟のようになっている。入場券売り場の迹や、入口のトンネルを見て回る。思い出すなぁ。ここでフラミンゴのショウを観たんだ。もちろん今は鉄格子が嵌められていて中には入れない。

 今はもう行川アイランドは無いのに、行川アイランド駅だけは存在する。今は無人駅だ。駅で時刻表を見て下り列車の発車時刻を確認する。次の電車は14時59分。まだ30分近くある。

 トンネルのところまで戻り、脇に入って、おせんころがしの碑を見に行く。断崖絶壁のちょっと足がすくむ光景。高所恐怖症も始まっているので早々に退散。行川アイランド駅で電車を待つ。

 一駅戻る形で、安房小湊駅へ。今夜の宿は[緑水亭]。山側に2kmほど行ったところにあるらしい。送迎車を頼むかタクシーに乗ってもいいのだが、まだ時刻は早い。ブラブラ歩いて行くか。緩やかな坂の自動車道を歩く。両脇は田圃や畑、まばらに民家などもある道。歩くことが好きではない人には退屈かもしれないが、私はこういう知らない道を歩くの大好き。

 15時45分ごろ[緑水亭]到着。玄関前で女将さんや仲居さんたちが出迎えてくれる。さっそく部屋へ案内される。廊下がビニールの畳張りのようになっている。スリッパは置いてなくて靴下のまんま歩く。これだと滑らないし歩きやすいし冷たくもない。いいなぁ、これ。

 宿泊カードに記入し、抹茶とお菓子のサービスを受けながら仲居さんの説明を聴く。食事のこと、風呂の事など笑顔でわかりやすく教えてくれる。ちなみに明日は天気予報で大雪の恐れがあるとのことで、復路のシャトルバスは運休になったとのこと。とすると、JRで帰るしかないか。

 内風呂もあるが、さっそく大浴場に行くことにする。タオルなどは大浴場にも用意があるから何も持たないで行っていいというので、作務衣に着替えて出かける。浴衣も用意されていたが、作務衣の方が楽だ。いい湯加減の風呂。露天もある。アメニティーの類もたくさん用意されていて、身体を入念に洗う。浴槽にのんびりと浸かり、すっかり長風呂をしてしまった。風呂から出るとお休み処があり、ジュース、スポーツドリンク、麦茶、生ビールが自由に飲めるようになっていた。これもうれしい。

 夕食はお食事処で。個室になっていて、時間を見計らって少しずつ料理を持ってきてくれる。最初にドーンとすべての料理を出されてあとは自由にというシステムより、こちらの方がいい。

 鱈の白子の土瓶蒸しもおいしかったが、なんといってもお造りがいい。鮮度が抜群で厚めに切ってある。金目鯛、スズキ、太刀魚、それに鮪のトロ。もう幸せ。よくやたらと大根のかつら剥きを大量に盛り付けてくるところがあるが、ここのは海草や野菜。きれいだしおいしい。

 メイン料理は何種類かの中から選べるようになっていて、私はここの名物、伊勢海老の雲丹焼きにした。雲丹が想像していたよりたっぷり乗っていてびっくり。海老も思わず殻まで齧ってしまった。

 みつせ鶏を薄味の出汁で煮たものもおいしかった。そしてもっと驚いたのが、箸休めに出てきた柚子シャーベットのあとに出てきた金目鯛の酒蒸し。これが予想もしなかった味。野菜や牡蠣も入っていて、上にパルミジャーノ・チーズが乗っている。そしてこのソースはなんだ? まるでフレンチ。ここにパンでもあればこのソースにつけて食べたいくらいだし白ワインが欲しいくらい。

 野菜の煮物が出てもうお腹いっぱい。もうご飯はいらないなと思っていたところに出てきた、煎り奈茶漬けなるものを一口食べたら、あまりにおいしいので夢中で完食してしまった。

 デザートのフルーツには苺のケーキがアクセントで添えられ、これまた豪華。

 二時間かけてゆっくり食事したあとは、もう一風呂浴びて、部屋でお休み処で貸し出していたDVDを観て過ごす。テレビがまた大きな画面で迫力あるの。

 今夜から雪だとの天気予報なので、窓の外をときどき気にしていたが、どうも降り出す気配がない。明日はどうしよう。当初の予定では天気がよければ、今度は鴨川方向に歩いて行って、気が向いたら鴨川シーワールドに寄ってみようと思っていたが、雪じゃなぁ。

 翌朝、5時30分に目が覚める.大浴場は5時からだというので行ってみる。外はまだ暗くて見えないが、どうやら雪ではなく雨が降っているらしい。露天に行ってみると、確かに雨だ。ただそんなに強くない。さて、どうしようか。

 部屋に戻ると、また眠くなり二度寝してしまう。次に目が覚めたのが8時。外を見ると強い雨が降っている。雪にはならなかったが、この雨の中を歩き回るのは嫌だな。

 朝食がまた豪華だった。二十数種類のオカズがあった。さあて、全部憶えているかなぁ。干物、湯豆腐、風呂吹き大根、茶碗蒸し、ヨーグルト、サラダ、こんにゃく煮、焼き海苔、納豆、シラスおろし、辛子明太子、いくら、お浸し、ひじき、酒盗、海苔佃煮、とろろ、オクラ、いかそうめん、タコのヌタ、四種の漬物、みそ汁、ご飯、食後のコーヒー。まだあったような気がするが憶えていない。ヨーグルトは岩泉ヨーグルトだそうで、この濃厚さがたまらない。干物は五択から選ぶ。アジ、サンマ、エボ鯛、カマス、赤穂鯛。朝からお腹いっぱい。

 チェックアウトの11時まで部屋でニュースを見て東京の様子をうかがう。予想されていたほどの雪にはならず、どうやらこのまま積もることもなく雨に変わったようだ。しかしこの天気ではこのまま房総にいてもしょうがない。今回はこのまま大人しく東京へ帰ることにした。

 チェックアウトして、安房小湊の駅までクルマで送ってもらう。

 11時46分の特急の指定券を買おうとしたら、11時46分の特急は運休だと告げられた。11時8分の普通列車が間もなく来るから、それに乗ってほしいとのこと。この時点で11時6分。慌てて陸橋を渡って上り線ホームに向かう。

 千葉で乗り換え。東京には15時前に到着。雨の中、家まで歩いて帰る。房総をもっと歩きたかったが、それはまた次の機会にしますか。

2月6日記





















静かなお喋り 2月5日

静かなお喋り

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