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蕎麦湯ぶれいく

江差

2016年7月6日

 はやぶさが新函館北斗駅に到着したのは10時58分。10分後の11時8分、江差行のバスに乗り換える必要がある。なんだかギリギリだけど大丈夫だろうか。

 終着駅新函館北斗で降りた乗客のほとんどは、函館ライナーに乗り換えるために在来線ホームへ向かって行く。出口方面へ向かう人は、ほとんどいなかった。改札を抜けると、どうやらバスツアーの出迎えらしき紙を持った人が数人いた。その横をすり抜けて階段を下る。

 乗ってきた新幹線からの車窓は途中から雨になっていた。新函館北斗駅の外に出ると、さして強くないものの小雨。ロータリーのバス乗り場に駐車しているバスは一台だけ。運転席に座っている運転手さんに「江差行は、何番の乗り場から乗ればいいんですか?」と尋ねたら、「1番」だと教えてくれた。1番の乗り場へ移動。幸い乗り場には屋根があった。

 それにしても、雨が降っているとはいえ、寒い。乗り場でバスを待っている女性に話しかけたら、地元の方で、今日は特別に寒いとのこと。気温は16度くらいしかないらしい。ウインドブレイカーを用意してきて正解だった。これだからこの時期の北海道はわからないのだ。

 定刻通りバスがやってきたので乗り込む。江差に向かう観光客はほかに誰もいない。江差に向かいたい人は路線バスに乗らないでレンタカーを利用するんだろう。北海道の風景といえば、広い大地に畑や牧場が広がっているというイメージだが、江差へ向かう道路はなにやら山の中を突っ切っていく感じ。北海道らしい風景は見られない。これでは北海道に来たという感動に乏しく、「つまんないなぁ」と車窓を見ながら思う。しかも小雨がとまらない。

 バスはときどき時間調整で駐ったりしながら、やがて江差の街に入って行った。おそらく江差で一番大きいであろう総合病院の前で停まったあとは、右手に海岸線が広がる道を走っていく。今日の海は穏やかだ。雨もいつの間にかやんでいた。

 今夜予約した宿からはメールで、「姥神町フェリー前」の停留所で降りるようにと連絡を貰った。一時間半くらい乗ったから千円以上かかったろう。表示を見たら、1,880円。今までに私が乗った路線バスとしては一番高い金額だと思う。

 さあて、江差に着いたものの、まったく見当もつかない。まずは今夜の宿の場所を確かめることから始めるとしますか。地図を見たのだが、なんだかよくわからない。とりあえずフェリー乗り場へ行ってみれば、そこの人に教えてもらえるだろう。ところが行ってみれば誰もいない。このフェリーは奥尻島との間を結ぶフェリー。一日に何便もなく、時間外には誰もいなくなってしまうらしい。

 こうなったら、とにかく歩いてこの街の地理を把握するしかない。ウロウロ歩いているうちに街の地図が載っているボードを発見。そこから今夜の宿の場所がわかった。行ってみると、なにやら不思議な建物。外を眺めていると、どうやら宿のスタッフと思しき人が近づいてきた。今夜の予約客だと告げる。現在13治。チェックインは15時だから、まだ2時間ある。「14時にはご案内できると思います」とのことで、それまで暇をつぶすことに。

 とりあえず近くの、海の駅「海陽丸」へ行く。土産物などを眺め、それでは、その先の、かもめ島に行こうとしたら、また雨が降り出した。それも傘を差さないと嫌な雨。雨がやむまでこの建物で雨宿りと決めた。椅子に座って、「ついてないな」と外の雨を眺めて過ごす。せっかくだから、売店でソフトクリームを買う。北海道に来たら、なんたってソフトクリーム。

 14時になったので宿へ行ってチェックイン。と同時に皮肉なもので雨がやんだ。ならば宿にいるよりも外に出よう。かもめ島観光に行くことにした。

 かもめ島は江差の沖にある島で、地続きで行くことができる。島の高さもそれほどではないが、そこからの眺めは絶景。沖の彼方には奥尻島の島影も見える。また、反対側、江差の港も一望できる。こんな素敵な散歩コースは、なかなかない。いつまでいても飽きない。気が付いたら、この島だけで2時間も歩き回っていた。

 いにしえ街道と名付けられた街並みも探索。昔の街並みを再現したような場所。道路を横断する黒猫さんの姿を見たり、姥神大神宮の、こいのぼりならぬ、にしんのぼりを見たり。道で出遭う街の人たちもも、人懐こくて親切な人ばかりだなぁという印象だった。

7月9日記





















静かなお喋り 7月6日

静かなお喋り

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