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蕎麦湯ぶれいく

海賊船特別船室

2014年12月10日

 何度目かで目が覚めてみれば窓から陽の光が射している。家ではカーテンを閉めて寝るから、目が覚めてもいつも暗いまま。カーテンを開けたまま寝ても外から誰にも見られることが無いっていいものだ。起きたときに、朝だってことを実感できるって贅沢。

 時計を見たら7時。さっそく部屋の露天風呂に入る。外は寒いけど湯船に入れば温かくて気持ちがいい。それに何より空気がおいしい。宿の朝は二日酔いでない限り爽やかだ。

 天気は良さそうだけれど富士山は見えるだろうか? この時期は空気が澄んで富士山がよく見えると聞いたことがあって、それが目的の旅行でもある。うまくいって海賊船や箱根町から富士山が見えるといいな。

 8時朝食。オーヴェルジュの朝食だから朝食も凝っている。野菜をギュッと濃縮したジュース、サラダ、フルーツ入りヨーグルト、野菜スープ、ハムにテリーヌ。三種類のパン。フレンチトーストもある。フレンチトーストって嫌いだったのだけど、ここのは今までのフレンチトーストの概念を越えている。これはおいしい。部屋にコーヒーメイカーがあって飲んできたので紅茶にしてもらう。これがまた色が薄いのだがしっかり紅茶の香りが立っていておいしい。こういうのを飲むと、やたら色ばかり濃い紅茶って信用できなくなるね。

 チェックアウトは11時だけど。仕度をして9時過ぎに精算してもらって[フォンティヌ・ブロー仙石停]を出発。とりあえず仙石高原まで戻ることにする。昨日は仙石高原から歩いてきてしまったが、ここは自動車道なので歩くのは怖い。バスで移動することにする。箱根カントリー入口のバス停に着いたら、ちょうどバスがやってきた。この路線は15分置きにバスが通過するので便利だ。

 バスに乗ること数分で仙石高原。ここで降りて、1km先の箱根湿生花園に行くことにする。ところが着いてみると閉まっていた。「あれ? 休園日かな?」とよく見ると12月から冬期期間中は休園とある。しまった!

 昨日歩いてきた、遊歩道、サイクリングロードを逆に歩く。反対方向に歩くとまた景色の見え方が変わって楽しい。昨日、しばし佇んでしまった橋の上から、かっぱえびせんを魚に投げてあげる。食べにくそうにしているのは、えびせんが魚には大きすぎるんだということに気が付き、半分にして放ってあげる。魚は喜んで取り合いをするようにえびせんを食べている。えびせんは猫も魚も鳥も、みんな喜んで食べてくれるので、常に持ち歩くようになってしまった。もちろん人間も食べるんだけどね。

 昨日も書いたように、この道はゴルフ場の横を通っている。ホールからティー・ショットの音が聞こえてきた。ビュッとドライバーが振られる音がしたと思ったら、カーンとボールに当たった音。そして「ナイスショット!」の声。そうかと思うと打った音の後に、「アチャー」とか「アー」とかの呟き声。どうやら会心のショットだったのはひとりだけのようだ。

 12時、桃源台着。海賊船の次の出航は12時40分だというので湖畔で暇を潰す。三年前にここに来た時には猫がたくさんいたのだけれど、今はまったくいなくなってしまって寂しい。処分されちゃったのかなぁ。懐っこくてカワイイ奴らだったのに。

 12時35分に乗船開始。見事に外国人観光客ばっかり。主に中国人。日本人の姿はほとんどない。そんな時代になったんだな。桃源台から元箱根への運賃は1000円。よく考えないで普通船室のキップを買ってしまったが、この海賊船、もう500円払うと特別船室に乗れる。500円ならケチることないなと考えが変わる。特別船室の前にいた係の女性にもう500円払って特別船室に換えてもらった。この500円はそれ以上の価値があることに気が付くことになる。特別船室は船の前方に位置する。窓からは進行方向正面が見えるようになっていて、これは楽しい。デッキも専用デッキ。甲板に見張り台のようなものも立っていて、ここに登ることも可能。そして何と言ってもこの特別船室、利用者が少ない。後方のデッキは人で溢れていたが、こっちは余裕だ。500円の差額なら断然特別船室の方がいい。

 ただひとつ残念だったのは、昼前から雲が出てきて富士山が見られなかったこと。こればかりはしょーがないんだけど。

 元箱根で下船。土産物などを買い込み、いよいよ石畳の箱根旧街道へ入る。ここを通るのは三回目。前回は三年前の入院前のことだった。あれからもう三年の月日が経ったとは早いものだ。この石畳、昔の人はわらじで歩いたようだが、おそらくスニーカーなんかよりもわらじの方が歩きやすいに違いない。最悪なのは革靴。ここは革靴では歩けない場所だ。その石畳も落葉で埋め尽くされている。足元が見にくくて、ちょっと怖い。

 2時間ほどで畑宿。3年前はここからさらに箱根湯本まで歩いてしまったのだが、今回はここを終点にした。バスを15分ほど待って乗る。畑宿→湯本間は歩道が無くて怖いし、けっこうな距離があってダレてしまうのだ。

 湯本から小田原まではいつもはバスに乗るのだが、なんだかこの路線も飽きてしまって小田急線で小田原。しかしこの区間は単線なものだから駅で下り電車の待ち合わせがあったりして、これも時間がかかるなぁ。バスの方が良かったかも。

 今回も、伊豆箱根方面の帰りにいつも立ち寄る、小田原駅のビルの中にある[魚國]で一杯。今回は赤ムツの煮物、天ぷら盛り合わせ、そして的鯛の刺身。赤ムツは別名のどぐろ。脂が乗っておいしかった。天ぷらはエピ、アジ、イカ、キス、それに野菜いろいろ。一番おいしいと思ったのがえのき。えのきの天ぷらって初めて食べたが香ばしくておいしいものですねぇ。的鯛は昨夜はフレンチで食べたけれど刺身もいける。これも独特の甘みがあっておいしい。

 ビールのあとは燗酒を飲んでいい気持ち。帰りはいつもどうり、こだまでサッと東京へ。本日歩行、三万二千歩だった。

12月12日記





















静かなお喋り 12月10日

静かなお喋り

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