蕎麦湯ぶれいく

八方池

2016年9月9日

 八方バスターミナルを出て、ゴンドラ乗り場へ向かって歩く。宿泊施設やレストランが並んでいる通りを歩き、一旦国道に出て、長野オリンピックのモニュメントのところから脇の道に入る。森の中を切り開いたような広い道。大きなホテルも建っていたりする。
 いかにもアスリートといった体つきの男性ふたりが、並んで走りながら追い抜いて行った。それも談笑しながら。余裕だなぁ。こちとらもう、走ることすら無理だし、嫌だ。
 標識に従って、さらに道を曲がると、穏やかな風景のなかに入って行った。
 やがて前方に小さなゴンドラが、ひっきりなしに上から下、下から上へと行き交っているのが見えてきた。ここがゴンドラ乗り場だ。

 切符売場で、ゴンドラとリフト2本の往復セット券を買う。
 ゴンドラというだけあって、四人乗りのちっちゃなロープウェイ。それがひっきりなしに出ている。やたら大きな箱のロープウェイだと、運転間隔も長く、その上椅子も無く、大勢詰め込まれてストレスを感じてしまうが、これなら、まるで遊園地の観覧車にでも乗っている感覚。ちょっとしたプライベート空間が生まれて、これは楽しい。

 8分ほど乗って、兎平駅到着。
 ヤギやポニーのいる天空牧場を通り、展望テラスへ出た。ゴンドラで上がって来た地上が見える。8分ほど乗っただけでこの展望。ここで標高1400m。涼しい。ウインドブレイカーを着る。

 さらに五人乗りリフトに乗り換えて黒菱平へ。ここから先はだいぶ霧がかかりだした。
 黒菱平、標高1680m。霧で近くの山もほとんど見えず。湿原もあるようだったが、よく見えない。
 ここからさらにもう一度リフトに乗り換える。八方池山荘、標高1830m。
 ここまでの往復セット券で2,900円という値段は、決して高くないかもしれない。

 いよいよここからは、歩いて八方池を目指す。
 ところがリサーチ不足というのは困ったもので、どうやら道がふたつあるらしい。どっちを行けばいいのだろう? 左の道には何も書いてなくて、右の道には「登山道」の文字。こっちだろうと右の道を歩き出した。歩き出して途端に涙目。石がゴツゴツした急な登り道。「聞いてないよ〜!」。ヒーヒー言いながら登る。あとから知ったのだが、左の道は整備された登りやすい道とのこと。ただし、こっちの険しい道からは、天気が良ければ白馬三山が見えるらしい。しかし、今回は霧かかかって、さっぱり見えず。それなら左の道を行けばよかったなぁ。
 難所を抜けたら木道に出た。急に歩きやすくなって喜んだら、今度は雨がパラパラ。軟弱ハイカーの私は、この程度でもすぐにめげる。

 第2レルン手前のトイレの前のベンチで休憩。降りだしたと思った雨も止んだ。ここは標高2005m。ついに2000mを超えた。
 元気を出して、先に見えている八方ケルンを目指して登る。
 八方ケルン、標高2035m。ここまで来れば八方池はもうすぐだ。

 八方池、標高2060m。ここからの白馬三山の景色は素晴らしいの一言・・・らしいのだが雲がかかってしまっていて、ほとんど見えず。三脚に高級デジタル一眼レフカメラを準備して雲が切れるのを待っている写真マニアが何人かいる。空は晴れているのだが、惜しいことに白馬三山方向の雲は切れてくれそうにない。私はきれいさっぱり諦めた。どうやら、よっぽど運が良くないと見られない景色のような気がする。よく雑誌などで目にする、ここからの白馬三山の写真で満足。仮にきれいに晴れて白馬三山の写真が撮れたとしても、それって、世の中にいくらでも出回っている写真と、さして変わらないはず。写真マニアは、自分が撮ったということに満足するんだろうけれど、別に写真を撮ることが目的でない私には、どうでもいいことだ。ちなみに、晴れたらどんな景色かというと、このページの一番上の写真のようになる。これは、兎平のゴンドラ駅の建物のなかに飾られていたパネルを写したもの。写真ならこれでいいじゃん。

 八方池でしばらく休み、引き返す。
 第2ケルン近くで、微かに雲が切れて白馬三山の一部が見えた。もうこれで来た甲斐があったというもの。まったく見えないという日も多いらしいし。

9月12日記





















静かなお喋り 9月12日

静かなお喋り

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