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蕎麦湯ぶれいく


地蔵堂〜金時山〜公時神社ハイキング

2014年5月7日

 これまでは、旅行を兼ねて、ついでにハイキングなんていうこともやってきたが、山を歩くにはやはりスニーカーではなく、ちゃんとした登山靴でなくてはと思い始めていた。4月から消費税がアップされることから、駆け込み需要で、思い切って登山靴を買った。こうなると、俄然山に行きたくなってきた。以前から行ってみたいと憧れていたのは金時山。山頂からの眺望は素晴らしく、富士山も拝めるらしい。よし、せっかく登山靴も買ったことだし、この機会に、金時山へ行ってみよう。

 最近は怠惰な生活になってしまって起きるのが7時、あるいは8時。夜更かしなんてしてしまうと9時なんていう日もあったが、今日は目覚ましで、きっちり5時半に起きる。余裕を持って仕度して、6時半に家を出る。

 日比谷で千代田線に乗り換え、代々木上原で小田急線の急行に乗る。去年11月に大山に行くのに伊勢原まで乗ったのと同じルート。この路線、下りになるというのに、通勤通学の人たちで満員。それもまだ7時台。これから勉強に行ったり仕事に行ったりという人には申し訳ない気がしてしまう。しかし、新宿まで出てロマンスカーに乗り、満員電車を車窓から眺めながら行楽気分というのも、これまた申し訳ない気がする。第一、そのルートを使うのと、こうやって乗り継いで急行で行くのと、時間的にあまり差が無い。ロマンスカーの特急料金を払うのも、なんかなぁという気がしてきてしまう。それでも通勤電車で旅行というのも旅行気分がしないな、とかなんとか勝手なことを考えながらも、目的駅の新松田へ到着。急行だと小田原の一つ手前。代々木上原から新松田までの運賃720円。今回の旅行は交通費が格安だ。

 新松田、8時30分着。駅前に地蔵堂行のバスが停まっていた。8時45分発車。街中を抜け、やがて山の方へと入っていく。乗客はハイカー以外にも路線バスとして使っている利用者が多く、ところどころで停車しては乗り降りがある。

 車内で朝食。昨日のうちにコンビニで買っておいたサンドイッチ。サークルKサンクスの、とりたまサンド。てりやき風の鶏肉と半熟卵が入っている。これ、おいしい。また食べたくなる味。

 ハイカーらしき乗客の大半は矢倉沢で降りてしまった。みなさん矢倉岳経由で足柄峠、金時山へ向かうに違いない。私は初心者みたいなものだから、もっと短めのコースにして、このバスの終点、地蔵堂まで行く。

 地蔵堂で降り、まずはせっかくだから夕日の滝を見に行く。
 コンクリートのゆるやかな道を歩くこと15分ほど。キャンプ場の先の朱色の橋を渡った先に金太郎の歌碑があり、かわいい金太郎の像が乗っかっていた。そのとなりの、くまさん、おさるさん、うさぎさんも、かっわいい〜。
 そこから川上に向って歩き、木立を抜けたところに・・・あった! これが夕日の滝かぁ。落差23m。修行僧の滝行にも使われるのかも。でも23mの滝から落ちてくる水はキツいだろうなぁ。

 ここから足柄峠に向かう道もあったが、一旦地蔵堂まで戻り、自動車道と並行したコンクリート道を歩く。ひょっとすると、こちらは旧道で、自動車が頻繁に走っているのは新しく作った道なのかもしれない。その旧道らしきものも途中でおしまい。そこからは自動車も走っている道路を行くことになったが、ところどころ足柄古道という狭い山道が現れて、そちらを辿って行く。

 足柄関所跡到着。通行手形も黄門様の印籠も持ってなかったけれど、なんのこともなく通過。そこからまたしばらく歩くと金時山方面へ向かう分岐に到着。道を左にとって歩き出す。道は自動車も走れる広い道。本当にこの道でいいのかなと不安になり、前から歩いてくる人に尋ねると、間違いなくこの道でいいとのこと。坂もゆるやかだし、あまりハイキングをしていると言う感じでもない。こんなんでいいのかなと思っていると、目の前に、金時山の姿が現れた。車が入れるのはここまでというところに至る。

 ここからいよいよ本格的な登山になる。鋭く切り立った山。これからがキツそうだ。ちょっとメゲそうになる。それでも気合を入れて坂に取り付く。急な坂道を登る。ところどころ手すりの付いた階段があり、とても狭い。上から降りてきた人とすれ違うのは困難。それでも今の季節は暑くないから助かる。じっとりと汗はかくものの、吹き出る汗を手で拭うというほどにはならない。息を整えながら一歩一歩登る。

 途中、桜のような花を見かける。これは、マメザクラというのだそうだ。富士箱根方面で見られ、五月上旬まで咲いているという。ちょうど今が終わりのころだね。

 やったー! 山頂だぁ! ここは展望がいいことで有名だが、ちょっと曇っている。期待していた富士山は見えない。どうやら富士山が見えやすいのは秋から冬にかけての方が確率が高いと聞かされる。またいつか秋にでも来てみよう。有名な金時茶屋で、きのこの味噌汁を頼む。注文するとひとつひとつ作ってくれるらしい。しばし待たされて出てきたのは、きのことねぎがたっぷり入った丼入りの味噌汁。400円。こんな山の頂上で味噌汁が飲めるということだけでありがたいが、400円は安い。
 もう一軒の金太郎茶屋のまさカリーうどんも食べたかったなぁ。

 頂上でしばし休憩後、仙石原方面と下る。この坂がけっこう急で難所多し。地面も湿っていて滑りやすい。つくづく登山靴にしてよかったと思う。スニーカーじゃあ、この難所は無理だったろう。若い人がどんどん抜いていく。いや、私より年上のハイカーもどんどん抜いていく。それでも私はマイペースだ。それにしても感じるのは若い時は下りは楽だったのに、年を取ると下りがキツくなるということ。まず、足腰が若い頃のようにはいかない。脚に踏ん張りが利かない。さらにバランス感覚が衰えている。ヨロッとよろけると立ち直ることができず転倒してしまう。さらには目が悪くなっている。そういえば、以前はできた階段を駆け下りるということができなくなっている。階段は一歩一歩確かめながらでなければ降りられない。それが山道を下りる時にも同じになってしまった。地図に載っているコースタイムは、若い人やベテラン用。私の場合は、その五割増しだと思って間違いない。

 予定時刻五割増しで公時神社到着。ここから今夜予約した宿のある強羅までバスで行き、強羅駅に送迎車に迎えに来てもらうことにする。今の時刻が15時25分。次の強羅行のバスはと見ると、15時44分。少し待つことになるなぁ。宿に電話してみると、それじゃあ、公時神社入口のバス停まで迎えに行きますとのこと。助かったぁ。親切だこと!

 10分ほどで送迎車到着。疲れた脚をようやく持ち上げて車内に入る。10分で到着したから、それほど遠くないのだろうと思ったが、結構な距離がある。どうやら電話してすぐに迎いに来てくれたらしい。

 今宵の宿は、[Elecasa エレカーサ]。イタリアンのオーヴェルジュだ。宮城野を山の中に入ったところにある素敵な建物。ロビーに入ると、さっそくウェルカムドリンクのスパークリングワイン。クーッ、疲れた身体に効くわぁ。署名して部屋へ案内される。窓からは、早雲山がドーンと眺められる雄大な景色。こりゃいいなぁ。

 まずはさっそく温泉。熱くなくぬるくなく、ちょうどいい。それほど大きくない風呂だが、ホテル自体客室数も少なく、これで十分だろう。一晩中入れるというのもいい。

 風呂から上がって、竹林の庭に出て缶ビール。部屋の冷蔵庫には、缶のビールとジュース、お茶。それにミネラルウォーターが入っていて、すべて無料なんだそうだ。

 18時夕食。レストランからは富士山が見えると言われていたが、今日は金時山からも見えなかった。と、ちょうど富士山の横に夕日が沈むところだった。富士山のシルエットがくっきり。金時山で富士山が拝めなかったときはがっかりしたが、一日の最後に来て願いが叶った。

 ライスコロッケ、スズキとマダイとマトウダイのカルパッチョ、サクラエビのパスタ、サクラマスのポワレ、サーロインステーキ。どれもおいしかったぁ〜。最後にデザート。食後のコーヒーはベランダに出て、強羅の夜景を楽しみながら。冬場寒いだろうけど、こういうサービスもうれしいね。

 ほかに誰も食事をしていないので、訊いてみたら、なんと今夜は珍しく泊り客はほかにいないんだそうだ。ただ、これから夕食を食べにくる15名の団体客が入っているとかで、せっせと用意が始まっていた。それで私も部屋に退散。

 夜中に2回ほど目が覚め、温泉に入りに行く。ほかに誰も泊り客がいないので、誰とも逢わず。貸切気分という贅沢を味わう。一日よく歩いたご褒美。なんだか日帰りハイキングは、こういうのに慣れちゃうと虚しい。健康のためにハイキングもいいけど、ご褒美がなくちゃ。って、我ながら言いたいこと言ってるね。

5月9日記





















静かなお喋り 5月7日

静かなお喋り

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