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蕎麦湯ぶれいく

龍王峡自然研究路行き止まりの旅@

2015年4月15日

 4月も中旬。どうやら花粉症シーズンも落ち着いたようなので、近場の温泉&ウォーキングの旅を再開することにした。桜の季節はもう終わってしまったろうけれど、北へ向かえば、まだ残っている桜もありそう。

 今回選んだのは鬼怒川。東武鉄道を使って日光に行ったことは何回もあるが、鬼怒川温泉に泊まったことは、15年くらい前に一度あっただけ。そう、あれは2001年だった。アメリカで、9.11同時多発テロ事件があった直後に鬼怒川に一泊旅行に出かけ、東武ワールドスクエアに寄った。ニューヨークの建物の模型が置かれている場所ではツインタワービルも、そのままの形で残っていて、施設の管理者から、追悼の文章と、ツインタワービルの模型も残したままで展示している旨の断り書きがあった。あれからあの模型はどうなっただろうか? もし時間があったら東武ワールドスクエアにまた行ってみるのもいいな。あそこは広いから一周廻るだけでも、いいウォーキングになるし。

 とりあえず今回の目的は龍王峡まで行って、そこから川治湯元まで約6Kmの自然研究路を歩いてみようというもの。ただ、インターネットの情報だと現在はこのコースに落石があり、川治方面への通り抜けは出来ないとある。この情報が正しいのかどうか、まあとりあえず現地まで行ってみて、その通りだったら、そこから引き返すしかないか。

 日光へ行くときに毎度利用しているのは、けごん1号だが、今日は鬼怒川へ出て、そこからさらに乗り換えて龍王峡まで行くから、きぬ103号。北千住まで日比谷線で出て、スペーシアの発車する特急専用ホームに移動。この乗り換えにも、すっかり慣れてきた。

 8時12分発のきぬ103号。日光行きのけごんに比べると空いている。そうだよなぁ、鬼怒川方面に遊びに行く人は、こんなに朝早くから出かける人は少ないんだろう。車内販売のワゴンが回って来たので、ミックスサンドイッチとコーヒーを買う。サンドイッチはこれが最後の一個だって。もう少し積んで来ればいいのに。朝はコーヒーとサンドイッチの組み合わせは売れそうに思うけれどなぁ。通路を挟んだ席に座っているでっぷりしたオヤジさんは幕の内弁当とペットボトルのお茶を買って食べ始めた。大荷物を持って、どうやらバッグの中身はカメラ機材がたっぷり入っている様子。ご苦労様です。私はいつものとおりコンパクトカメラが一台ポケットに入っているのみ。私の目的は写真は二の次。楽しく歩くには軽装備が一番。写真はインターネットに記録としてアップできれば、それでいいの。

 終点鬼怒川で下車。向かい側のホームに停まっている会津若松行きに乗り換える。ここから会津若松までは二時間かかるようだが、いつか会津若松にも行ってみたい。上野から新幹線に乗った方が速いかな?

 十数分で龍王峡着。この駅で降りたのは他には男性客ひとり。降りた電車の前に回って写真を撮っていたから撮り鉄か、やっぱり写真マニアかな。この人も一眼レフの高価そうなカメラ持ってる。

 階段を登って地上へ。駅前には広い駐車スペースがあった。龍王峡は観光地だから自動車で乗りつけて、ピンポイントの観光をする人も多いのだろう。茶屋も数軒ある。渓谷を見に坂を下っている人に向かって、川魚を炭火で焼いているオジサンが「帰りに寄って行ってくださいよー」と声をかけてくる。

 龍王峡は写真で見たことはあるが美しい渓谷美が味わえるスポット。虹見の滝、五龍王神社では宮司さんがお祈りを上げていた。私もこれからの旅が無事でありますようにと祈る。そこから虹見橋へとさらに下る。ここからの眺めが有名だ。まだ新緑には間があり、今の季節は色彩的には物足りないかな。新緑や紅葉の時期はさぞかしもっときれいな景色となるんだろうなぁ。

 コースは虹見橋の手前でむささび橋へ向かう道と、対岸の道を歩いてむささび橋へ向かう道とがある。対岸の道を歩くことにする。木道の場所が多い。このところ天気が悪かったし昨日も雨だったから地面は濡れていて、この木道はありがたい。しばらく歩いていると沼のあるところに出た。カエルの声が聞こえる。ありゃ、沼地にカエルの姿が。春ですねぇ。そろそろ繁殖期かな。

 むささび橋から眺める景色も虹見橋からのものと負けずにきれい。ちょっと時間がある人なら、ついでにここまで足を延ばすといいと思う。さて、この先だが、インターネットに書かれていたように、去年の7月に白岩付近で大規模な落石があって通行止め。川治温泉方面には通り抜けできないと札が出ている。せっかくここまで来たことだし、ここで引返すのも癪だ。白岩まではまだしばらく歩けそうなので、通行止めのところまで歩いてみることにする。

 川を左に見ながら、あまりアップダウンの無い道を進む。ところどころに山の植物が見られ、ときどき立ち止まって確認して行く。まだ蕾だけど、もうしばらくしたら咲きそうな花もたくさん。この辺に住んでいて、毎日のように歩いていれば、次々といろいろな植物を見ることができるんだろう。そんな生活もいいなと、チラッと思ってみたり。

 白石のバス停がある国道へ登る道との分岐点で、川治方面への道は通行止めになっていた。致し方ない。明日は、また出直して、川治から白岩までの道を歩いてみることにしよう。さて、ここからバスで戻るという手もあるが、まだ時間は早い。今来た道も気持ちよかったので歩いて戻ることにする。

 道を戻っていると天候が悪くなってきた。むささび橋の手前までくるとポツポツと雨が降り出した。天気予報では午後から天気が崩れるかもしれないとも言っていた。レインウェアのズボンを穿き、ウインドブイカーのフードを被る。むささび橋の先は今度は来た時とは反対側の道を行く。こちらの方が歩きやすいということがわかった。しばらく歩いていたら雨は上がってしまった。にわか雨だったらしい。虹見橋への分岐まで来たが、何の気なしに直進してしまう。後で気が付いたらこの道は龍王峡駅までのショートカット。目の前に龍王峡駅のホームが見えた。ちょうど下り電車が発車する所で、写真をパチリ。にわか撮り鉄だもんね。

 龍王峡駅まで戻って来たものの、まだ12時ちょっと過ぎ。あまり空模様はよくないから、早めに鬼怒川温泉の宿にチェックインしたいところだが、チェックインできるのは14時から。もう少し時間を稼ぎたいところ。隣の駅の新藤原駅まで歩いてしまうことにする。渓谷沿いの道をしばらく行ったらば今度は左下に線路を見ながら歩く道になり、やがて大きな農道、そして自動車が走る国道へ出てしまった。そこに突如[ハイセイコー食堂]なる店が見えた。あとからインターネットで調べてみたら、競馬好きのご主人がハイセイコーで儲けた金を元手に始めたとある。人間、地道にやるのが一番です。

 国道を歩いていると北の方から雷の音が聞こえてきた。北は嫌な雲がかかっている。これはまたひと雨来そうだ。しかもさっきのような大した雨ではなく、土砂降りになりそうな予感。足を速めて新藤原の駅を目指す。雷雲と追っかけっこのような形で、なんとか駅舎に飛び込んだのが12時55分。次の上り電車は13時37分。40分以上の時間があるが、一時間に一本程度では致し方ない。雷の音はだんだん近づいてきて、13時10分には大粒の雨が降り出した。外を眺めたら雹まで降っている。なんとか濡れずに済んでよかった。これも龍王峡の五龍王神社に、旅の安全をお願いしたおかげかもしれない。もっともこれも夕立のようなもので15分ほどで上がる。

 会津方面から来た野岩鉄道は、新藤原で東武線と車両接続して浅草行きとなった。これに乗り込んで鬼怒川温泉へ。所要10分ほどで鬼怒川温泉。駅へ着くと外はまた雨。今夜の宿、[鬼怒川金谷ホテル]は駅からそれほど遠くは無いと聞いていたが、雨の中を歩くいて探すのも嫌。駅のタクシー乗り場からタクシーに乗る。と、[鬼怒川金谷ホテル]は本当にすぐそば。タクシーを使うほどのことも無かった。でもまあ由緒あるホテルだからタクシーで乗りつけるのが正しいのかも。

 ホテルに入ると、早速ラウンジに通されてウェルカムティーのサービス。ローズティーと桜のお菓子。バラとサクラなんて花づくしでいいではないか。

 部屋は露天風呂付き客室にした。ここの個室露天風呂はパウダールームを通って行くことになるのだが、このパウダールームが広くて明るくていい。しかも使用したタオルを乾かす電動の乾燥機が壁に付いているというのがなんともうれしい。さっそくこの部屋付の露天風呂に浸かる。いつしか雨も上がっていた。湯船が大きいのがまた魅力。大人二人が入っても余裕なくらいの大きさ。

 しかしこんなに早い時間に宿に入ってしまったのは珍しい。まだ15時前。夕食は18時と一番早い時間にしてもらったけれど、まだ時間がある。とりあえず雨も降ってないし、有名な鬼怒楯岩大吊橋を見に行ってくるかと、折り畳み傘を持って外出。ブラブラと下流に向って歩き出したら、やっぱり天候不順。ポツリポツリとまた雨が降り出してしまった。しょうがないので吊橋の手前でUターン。ホテルへ戻る途中で降りだしてしまった。折り畳み傘を開く。やっぱり宿で大人しくしていた方がよかったんだろうか? 宿に戻るとスタッフが待ち構えていて、傘を干しておくので預からせてくださいと言う。なるほど、そういうサービスまであるんだ。宿にも置き傘があるから、それを使えばよかったなと後悔する。

 では次に、大浴場に行ってみるか。大浴場は、四季の湯と古代檜の湯があり、男湯は夜中まで古代檜の湯で、その先は四季の湯に変わる。前者より後者の方が広いらしいが、どちらにしろ平日なら空いているのは確かだろう。古代檜の湯へ行ったら、先客はひとりだけだった。古代檜の湯はその名の通り、入った途端に檜の薫がプーンと漂ってくる。この空間は癒されるなぁ。隣接している露天風呂にも入ってみたが、雨がしっかり降っているので退散。そういえばこの宿のエレベーターは金属製なのに常に檜の香りがする。匂いに常に気を使っているんだなぁ。

 恒例、湯上りのビール。部屋の冷蔵庫の瓶ビール(中壜)。うれしい、缶ビールではなく瓶ビールだよ! ビールが身体に回り、疲れが出て眠ってしまいそう。

 夕食の時間が来たのでダイニングへ移動。驚いたのは外国のレストランでよくあるように、とりあえずラウンジで食前酒が供されたこと。アイスワインという珍しいお酒と、栃木名産の干瓢を使ったおつまみという取り合わせもグッド。

 様子を見計らってダイニングに通された。まずはジョンカナヤのおもてなしと題されたたくさんの前菜。一際目を引くのは名物金谷玉子。玉子の殻に玉子に出汁とウニを加えてトンブリを散らして蒸し上げた凝った料理。これはおいしい。これ目当てのリピーターも多いんだろうなぁ。ほかに、摘草山菜盛り合わせ、清流日光サーモン五穀米握り寿司、栃木野菜の美味なる集い、花吹雪桜豆腐銀餡かけ、合鴨と和三つ葉の山葵和え(山葵菜がいいアクセントになっている)、海老曙焼き(明太マヨネーズ)、蟹更紗焼き(蟹入り玉子焼き)、道明寺饅頭など、目にも舌にもうれしい品々。
 椀物。海老しんじょうと白魚の炙りなどが入った吸い物。白魚を炙るなんて手が込んでるなぁ。
 焼物は、朝どり竹の子の木の芽焼きと鮑バター炒め。鮑をウニソースで食べる贅沢さ!
 〆はとちぎ牛のビーフシチューかしゃぶゃぶ、あるいは魚のしゃぶしゃぶから選択。ビーフシチューの肉がトロトロでおいしかった。
 食事はこしひかりに、大きな蛤のお吸い物。ふきのとうの佃煮と、漬物もおいしくて完食。
 デザートとは、なんと、とちおとめのパフェ。う〜ん、お腹いっぱいだけど、やっぱり別腹って気持ちはわかる。

 寝る前に、もう一度、大浴場と部屋の露天風呂荷゜入って就寝。雨は降っているけれど明日は晴れの予報。晴れたらいいな。

4月17日記





















静かなお喋り 4月15日

静かなお喋り

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