身延山 2014年4月9日 [慶雲館]はベッドを置いていなかった。最近は、和風旅館でもベッドを置くところが多くなった。これも宿泊客の高齢化に対応したものだろうと思う。私も、ついつい和洋室なんていう部屋で、ベッドがある部屋があると、そういう部屋を指定してしまったりする。もっとも私が普段の生活でベッドを使うようになったのは、ここ3年ほど。それまでは、床に布団を敷いて寝ていた。だから畳の上に敷かれた布団で寝るのには抵抗は無い。むしろ、なんだかホッとした気分になったり。 布団で寝た今朝は、清々しい目覚め。6時過ぎに露天風呂へ行く。朝方はちょっぴり冷えるけど、やはり朝の露天風呂は気持ちがいい。空気もきれいだし。今日も昨日に続き、いい天気になりそうだ。 7:30朝食。その場で火にかけて作る湯葉豆腐や薬膳雑炊。鱒塩焼き、刺身こんにゃく、山菜、トロロ、サラダ、焼き海苔、シジミのみそ汁、ブドウジュース、フルーツ入りヨーグルトなど、もうお腹いっぱい。 洗面を済ませ、チェックアウト前に、もうひとっ風呂。ここの温泉は本当に気に入ったなぁ。この一週間ばかり、軽い腰痛があったのがスッキリしてる。 売店でお土産などを買って、9:50に帰りの送迎車が出るので、早めにチェックアウトの手続きをする。今日も、昨日同乗した4人組の高齢者の女性が一緒だから、あまりギリギリになると悪い。そうしたら、私よりも早くロビーに4人組の姿が。早めに支度してよかった。 9:50出発の予定が、全員揃ったので9:45に出発。これがあとあといい結果に繋がった。 昨日来た道をまた戻る。昨日よりさらに車の通りが少ない。スイスイと走って身延駅。「どうもお疲れ様でした」。運転手さんにお礼を言って、お別れ。同乗の4人組は、また東海道線ルートで、このまま帰るらしく駅舎に入って行った。 私は今日はこれから身延山へ向かう。身延山に行くには、駅前からバスかタクシーだが、見ると、ちょうど身延山行きのバスが来ていて、乗客の長い列が動き始めている。これは送迎車がいつも通り9:50出発だったら間に合わなかったことで、まさにラッキー。それでもバスの車内は満員。座ることは出来ず、立っていかなくてはならなかった。とはいえ、車内の乗客のほとんどは私より年上の高齢者。みなさんに座っていただきましょう。それに乗車時間だって10分くらいらしい。 バスは身延橋を渡り、やがて総門をくぐり、終着のバス停へ。 バスを降り、門前町を通り抜ける。湯葉を材料にした料理を食べさせる店多し。中には、しだれ桜の苗木を売る店もあった。値段も手ごろだし、いいなと思ったが、うちには庭ないものねぇ。 三門に到着。なんと、もう散ってしまっているだろうと思っていたしだれ桜が、いっぱい花を付けているではないの! 近くにいた人が「インターネットをずっとチェックしていて、今日が一番の見頃だというので来たんですよ」と言っている。ええっ! それじゃあ、たまたま今日私が来たというのは、きわめてラッキーだったということではないか! ついてるなぁ。 三門を潜ると、その前には急勾配の石段がそびえ立っていた。この石段、287段あり、高低差は104m。この階段の横には、男坂、女坂もあり、何が何でも石段を上らなくてはならないというわけでもないらしい。さて、どうするか。正攻法で石段にチャレンジするか、それともひよって坂道を登るか。幸い、頑丈そうな手すりも付いているので石段にチャレンジすることに決めた。・・・しかし、登り始めて後悔。この石段、結構一段一段の高さが高く、しかも急な作りになっている。去年は手すりも無い大山の男坂の石段を上った私ではあるが、最初に男坂と合流する地点でギブアップ。男坂の傾斜に切り替える。ううっ、なんと情けない! 久遠寺の境内に入り、報恩閣の前に行くと、樹齢400年といわれるしだれ桜が、まさに満開! こういうめぐり合わせって、そうそう無いよなぁ。早い年は3月下旬で満開になり、4月には散ってしまうとのこと。今年は寒かったという事なんだろう。山にはまだ雪が残っているところもあるしなぁ。 奥へ進んでロープウェイ乗り場へ。ここも凄い列になっている。やはり今日が見頃と知った近隣の人たちがやって来たのかもしれない。片道切符を購入。満員のゴンドラで出発。これでも増発しているらしいのだが、おっつかないらしい。7分で山頂へ。 降りたところが東側展望台。ここから富士山が見えるはずなのだが・・・見えた! 雪を被った富士山のアタマが山の向こうに見えている! 今回の旅は桜もたくさん見られたし、富士山も見られるという、実に贅沢な旅になった。フジとサクラと言えば、日本の代表的なフィルム会社。今やフィルムはあまり生産していないようだけど、ちゃーんとデジタルでサクラもフジも撮影したもんね。続いて南側展望台へ回ってみたら、ここからも富士山が見える! 奥之院と北側展望台を見て、帰りは、ハイキング西コースを下ろうというのが、今回の計画。ロープウェイの乗り場に戻り、自販機でペットボトルの水を購入。さあ、出発だ。西コースは東コースより坂が緩やかだとインターネットに出ていたが、なるほどこちらのコースは自動車も通れる幅の広い道。と言っても、車なんてまるで走ってやしないが。ところどころ舗装されているのは、自動車が通り難い個所をアスファルトにしたものらしい。 ロープウェイの添乗員さんが解説していた、ミツマタと呼ばれる黄色い花が、道にたくさん咲いている。それと何と言っても素晴らしいのは山桜。人工的に植えられた桜並木もきれいだが、自然に生えている桜が実に山の景観を晴れやかにしている。こういう道をあるくのって最高の贅沢ってものだろう。 千本杉といわれる場所を通過する。ここは鬱蒼としたい杉並木だ。 松樹庵まで来ると、久遠時の本堂と五重塔が見えた。ここまでくればもう一息という気がしてくる。 どんどん下って、気が付くと三門の前に戻っていた。山頂から2時間半かかるとインターネットの地図に出ていたが、まさに2時間半で下までたどり着いた。実は14:45のバスで身延駅に行かれれば、中央線廻りの特急の乗り継ぎがベストだったのだ。現在14:30を回ったところ。これなら14:45のバスに間に合うなとバス停に向かう。おっ、バスが来ている。バスに乗り込むと、14:45発のはずが14:40に出発。どうやら、久遠寺のしだれ桜見物のお客さんが多いためにダイヤを変更しているらしい。いや、それにしても助かった。 身延駅の窓口で15:07の甲府行き特急と、甲府16:10発新宿までの特急かいじの指定席を買う。これで、今回の旅も終わりに近づいた。 桜に富士山が見れたこと。西暦705年開業の歴史ある旅館に泊まれたこと。今回の旅は、様々な幸運にも恵まれ、まっこと満足のいくものだった。 4月11日記 |