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蕎麦湯ぶれいく

伊豆長岡葛城山

2014年9月12日

 夜中、1時と3寺半に目が覚めて、また大浴場へ行く。誰もいない夜中の大浴場って好きだ。露天に浸かると、もうすっかり秋だなぁと感じる。

 7時前にも一度起きて、また大浴場。朝の風呂がまた格別。今日は快晴。空が青い。どうやら雨の心配はなさそうだ。やはり関東北部へ行く予定を変更して、急遽、伊豆にして正解だったようだ。

 風呂から上がって部屋へ戻り、また惰眠をむさぼる。この瞬間がまた気持ちいいんだ。

 旅館やホテルって、チェックインするとすぐに翌日の朝食時間の希望を訊かれることがある。そんな事言われたって、まだ翌朝の予定なんて決まっていないことも多いし、目が覚めた具合でお腹が減ったら食べたいってこともある。ましてや翌日の観光スケジュールが決まっているならともかく、せっかく旅行に出たのだから「のんびりしたいなぁ」という人間にとっては、朝食の時間を前日に決めろと言われても困ってしまう。その点、ここ[香湯楼井川]の方式はうれしかった。朝食は、7:30〜9:30の間に食事処に、好きな時間にいらしてくださいというもの。あるいは、簡略化された食事を部屋まで届けてくれるというのである。これはうれしいなぁ。

 私は、8:30に食事処に行くことにした。

 朝食は冷たいハーブティーをまず一杯。選べる干物(鯵、金目鯛、カマス)、玉子焼き、サラダ(わさびドレッシング)、納豆。それにご飯に合うおかずがちょっとずつ。そう、朝食ってご飯がおいしいのだけど、塩分の強いおかずが並ぶから、あとで喉が渇いてしまったりするんだよね。ちょびっとずつでいいんだ。明太子に塩辛にシラスに梅干しに海苔の佃煮、わさび漬け・・・。利用者の事わかってるよねぇ。

 10:30頃にロビーに降りてチェックアウトの手続き。ロビーではコーヒーが飲めるようになっていた。朝はやはりコーヒーを飲まないと始まらない。

 宿の人の笑顔に送られて出発。今日は、伊豆の国パノラマパークがある葛城山を目指す。一般的にはロープウェイを利用して昇るところだが、これを歩いて登ろうという計画。宿の人に言われた道を歩いて行ったら、目の前にロープウェイが見えてきた。切符売り場の人に登山道入り口はどこか尋ねると、ここから離れたところにある、[小坂みかん園]の脇の道から登山道があると教えられる。

 この[小坂みかん園]は思っていたよりも遠かった。ところどころで土地の人に道案内をしてもらい、結局、国道414号線を狩野川まで行って、大門橋の手前を右折。川沿いに歩いて行ったところに、[小坂みかん園]はあった。

 北海道で買った熊ベルを腰につけて出発。右手にみかん畑を見ながら軽トラ一台分くらいの広さの道を登って行く。この夏はとにかく無理をしないで、熱中症から身を守るために、あまり長時間歩くという事をしなかったもので、身体が鈍っていた。少し登っただけで息切れがしてくる。大分涼しくなってきたから、またウォーキングをして身体を鍛え直さなければ。

 この山道には彼岸花(曼珠沙華)が多い。どうやらイノシシ避けらしい。この時期はきれいだなぁ。この花を見るたびに、私は山口百恵の『曼珠沙華』が頭をよぎる。阿木耀子作詞、宇崎竜童作曲。不倫相手の女性の心情を歌った歌。最近、宇崎竜童のコンサートでも、宇崎自身が歌っていた。
♪あなたへの手紙 最期の一行 思いつかない どこでけじめをつけましょ
 というところが、とくに頭の中でプレイバックしてしまうんだよなぁ。

 しばらく歩いているうちに、ロープウェイの真下を通る道に出た。こうやって歩いて登るなんて人間、ほとんどいない。ロープウェイから見下ろしている人も、「なんて物好きな人がいるもんだ」と思っているんだろうなぁ。

 道はやがて葛城山へ向かう山道への分岐点に着いた。ここからが本格的な山道。狭く急な山道が頂上まで続いている。ここ数日、雨の日が多かったせいもあって、足元はぬかるんでいるところも。一歩一歩用心しながら登る。帰りも歩いて下山しようかと思ったが、これは登りより下りの方がキツそうだ。帰りはロープウェイで降りてしまおう。

 [小坂みかん園]から葛城山山頂までは60分という表示が出ていたが、もともとペースが遅いのと、休み休み登るので、山頂までは80分かかってしまった。全身汗まみれ。富士山が見えるというロープウェイ山頂駅に移動。生憎、富士山は雲がかかっていて見えず。まっ、この時期はあまり期待していなかったからしょーがない。

 茶屋で、夏季限定の富士山かき氷を食べる。結構な量があるなぁ。雪に見立てた練乳が上に乗っていて、雲に見立てたアイスクリームが脇に乗っている。火照った身体から汗がスーッと引いていく。下界を眺めながらのかき氷。エアコンなんていらない。これぞ自然な冷熱。ロープウェイで登ってきてしまっては、この快感は味わえなかったかもしれない。

 この山頂付近は、前にも書いたように、ちょっとした観光施設になっている。ところどころに眺めのよい展望台があり、遊歩道がある。ただ、私の目的は、ここにある百体地蔵尊という石仏群。石仏好きの友人Utamさんに先駆けて偵察に行って来ようというわけだ。実際には105体あるという石仏は一ヶ所に積み上げられている形。上の方にある石仏は光の具合によっては、よく見えない。しかし、この石仏群、いいお顔をしているものが多く、Utamさんに見せるために何枚か撮影。いつの日か、Utamさんに腰を据えて撮影してもらいたいと思う。

 帰りはロープウェイを使って降りる。片道は800円。往復だと1400円だから、600円得したことになるが、ほとんどの人は、もう600円払っても、歩いて登るのは嫌だと思うだろうなぁ。

 地上に降りて、伊豆長岡駅方向に戻る。今夜は駅の反対側にある、[反射炉ビア 蔵屋鳴沢]で地ビールを飲む予定だが、まだお腹が空いてこない。そこでしばらく散歩して時間を潰すことにする。駅近くの千歳橋まで行き、手前を左折。狩野川沿いを松原橋まで歩いて対岸に渡り、千歳橋まで戻って来ることにした。観光用の地図を見て決めたことなのだが、やはり縮尺が正確なものではなく、かなりの時間歩いてしまった。千歳橋に戻って来た時にはヘトヘト。そこからタクシーに乗ればいいのに、さらに[蔵屋鳴沢]を目指して歩く。1.7km。ビールが待っていなければ挫折していたところだ。

 レストランの椅子に倒れ込むようにして着席。地ビール4種お試しセット。それに目の前の網で炭火を使って焼く、和牛特選カルビ、ホタテ、キャベツ、たまねぎ。それにお茶ふりフライドポテトを注文。ビール4種お試しセットは、時期によってラインナップが変わる。現在のものは、レイトサマーエール、IPWメロン、農民スチーム、太郎左衛門。左から右に行くに従って、エールらしくなっていく。エールが比較的苦手な私は、爽やかな味わいのレイトサマーエール、夕張メロンのようなフルーティさがあるIPWメロンが気に入った。焼肉を食べるのは久しぶりだなぁ。火力を少し弱めてもらって、じっくり焼いて、ややナマくらいのところで食べるのがおいしい。

 タクシーを呼んでもらって伊豆長岡駅へ。普通列車で三島へ出て、こだまに乗り換えて東京へ。今日は六時間くらい歩いていたことになる。歩数計は三万歩を越えていた。

9月15日記





















静かなお喋り 9月12日

静かなお喋り

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