十勝定期観光バス午前コース 2015年7月7日 十勝旅行2日目。 昨夜はカーテンを閉めないで寝てしまったので、5時に目が覚めたときには明るい光が窓から差し込んでいた。やはりこの時期の旅行は、早くから陽が昇るから気持ちがいい。昨夜泊まった[帯広ガーデンズホテル]の大浴場に入れるのは6時から。まだ時間があるので、ベッドに入ったままでローカル局のテレビをぼんやりと眺める。旅行に出ると東京では見られないローカル番組を見ることにしている。先月、砂川市で起きた交通事故の続報を伝えている。全国的にも大きく伝えられたニュースだが、やはり地元北海道では、続報も大きく扱われているよう。確かに、ほとんんどクルマも走っていない道路を見せられると、飲酒運転で猛スピードで飛ばしたくなる気持ちも理解できなくないと思ってしまうところが怖い。 6時になったので大浴場。先客は一人だけだったが、湯船に浸かっているうちに次々と泊り客がやってきた。みなさん考えることは同じだね。身体があったまったところで湯から上がる。 6時45分朝食。最近は朝食付きのビジネスホテルが多いが、そのほとんどがビュッフェ形式。ビュッフェってなんだか落ち着かないから好きになれないのだが、この[帯広ガーデンズホテル]は、珍しく一人前の定食形式。和食と洋食から選べる。私は断然、洋食派。食堂でチケットを渡すとき、おそらくアメリカン・ブレックファーストのようなものがでてくるのであろうと予想していた私は、運ばれてきたものに驚いた。玉子料理とソーセージはわかるとして、大きな皿にミネストローネスープ、グラタン、マリネ、三種類のパン。ほかに果物やサラダやドリンクはビュッフェになっていた。朝から豪華だな〜。ビュッフェからは思わず、お汁粉をよそってきてしまった。帯広は豆の産地とあって、あずきもたくさん採れる。私は甘いものにはあまり興味がない方だから、こんな時でもないかぎり、お汁粉は食べないものな〜。 十勝定期観光バス午前コースの出発は8時。昨日の午後コースは17〜8人の参加者がいたが、今日は8人。最初の目的地は、今夜宿泊することになる十勝川温泉にある十勝が丘公園。ここには直径18メートルの巨大な花時計があり、これが観光スポットになっている。定期観光バスが到着する前に、ほかの団体が来ていたが、その団体も去って行って、だだっ広い公園に私らだけが残された形。この先に十勝が丘展望台があるとのことだったが、そこに行く時間はない。午後にもう一度、宿に着いたらば展望台まで歩いてみようと思う。 その次に訪れたのは、十勝牧場の横にある白樺並木。ここは映画やドラマのロケによく使われる場所でNHKの朝ドラ『マッさん』でも使われたのだとか。ひたすらまっすぐ続く並木道で、思わず全部歩き通したくなってしまったが、滞在時間の関係でそれは無理。しかし、ただただおんなじ風景が続いているだけだから意味はないのかも。北海道はやっぱり桁が違うな〜。 柳月スイートピアガーデンは、スイーツのメーカー、柳月の工場。甘いものに興味のない私は知らなかったが、ここの三方六というバウムクーヘンは有名で、北海道土産にする人も多いそうだ。三階から工場内が見下ろせるようになっていて、製造工程がわかる。まず丸い木の切り株の形のバームクーヘンを作り、それをまた木材加工用みたいな機械でまるで薪を作るように裁断して行くのが面白かった。一階に降りると、そこは大きなショップになっている。せっかく来たことでもあるから、三方六の小割をひとつ買い、無料のコーヒーをいただいて食べる。これは確かにおいしいや。柳月は三方六以外にも、たくさんのスイーツを作っていて、どれも気になったのだけど、インターネットでも通販しているそうで、まっ、どうしても欲しくなったらインターネットを使えばいいか。 最後は十勝の畑ガイドツアー。柳月スイートピアガーデンからほど近い、江崎農場さんにお邪魔して、十勝の農業が実際にどのように行われているのかをガイドさんに案内してもらおうという企画。広大な農地をたったひとりで管理している持ち主の畑にお邪魔して説明を聞く。とにかく十勝は農業王国だ。バスに乗って走っていると、景色はいつまでたっても畑ばかりと言える。牧畜はほとんどなされていなくて農業一色。外の景色を眺めているうちに飽きてきてしまうほど。しかしよその土地から来た者にとって、十勝の農業の実態は、通り過ぎただけではわからない。それを畑に入って教えてもらえるのだから、こんな貴重な経験はちょっとない。しかも私ときたら東京生まれの東京育ち。農業に関してはまったく知らないと言っていい。女性のガイドさんに付いて、まず小麦畑に入った。秋撒きの小麦で、もうだいぶ実を付けている。小麦がなっている畑に入れたというだけでいい体験ができた。それに小麦の実に触れたのも初めて。今日のツアー参加者の中には道内の人も混じっていたし、静岡からやってきたやはり農業に詳しい人も。熱心に話を聞いて、ときどき、ちょっと専門的な質問をしたりする。なかなか有意義なツアーだ。ただひとりだけ中国からの一人旅らしい男の人が混じっていて、日本語はさっぱりだったらしく、やや退屈そうにしていたのはかわいそうだったが。でもこの人はツアー中ひたすらスマホを使った自撮りに夢中だった人。自撮りマニアらしくて、ひたすら自撮り。お疲れ様です。この農場はほかにもじゃがいもや砂糖の原料になるビート、りんごやぶどう、なしなども栽培していた。じゃがいもの一部はカルビーにもおろしているそうで、私が食べたポテトチップスも、この農場のものだったかも。 これで本日の午前コースはすべて終了。バスターミナルに12時前に到着。これから今夜の宿の送迎車が帯広の駅前まで迎えに来るまで三時間近くある。それでまた緑ヶ丘公園まで歩いて行って、昨日行かれなかった、おびひろ動物園に行ってみることにした。緑ヶ丘公園までは徒歩約25分だが、それから動物園まではさらに距離があった。 おびひろ動物園は入場料420円。入口で入場料を払い、中に入ってみると、思ったより広そう。地図を見ながら動物の檻を見て歩く。代表的な動物はほぼ揃っている。ライオン、トラ、カバ、アシカ、ゾウ、キリン、シマウマ、アメリカパイソン、カンガルー、キツネ、タヌキ、アライグマ、チンパンジー、リスザル、さらには小鳥やらリスといった小動物まで。これらの動物が実に優しくて、いい目をしている。どの動物もリラックスしている様子が感じ取れる。入場者数も少ないということがあって静かだということも影響しているのかもしれないし、飼育員との関係もおそらく上手くいっているに違いない。北海道の動物園というとどうしても旭川の旭山動物園が人気だが、三年前に行ってみて、とにかく人が多くて、あそこはヘトヘトになってしまったという印象。そこにいくとここは静かに落ち着いて動物が見られる。まるで動く美術館だ。動物の数では負けるけど上野動物園の入場料600円、旭山動物園の入場料820円のことを考えたら、私はこのおびひろ動物園の420円に軍配を上げたい。中でも一番気に入っていつまでも眺めていたのはリスザルの檻。こいつらみんな疲れを知らない小猫とおんなじ! ほぼ園内を一周したところで、そろそろ戻らなくてはならない時間になった。駅までまた元来た道を帰る。 今夜の宿、十勝川温泉[三余庵]の送迎車は14時40分に帯広の駅に来るというので送迎を申し込んでおいた。14時30分に帯広の駅前のベンチに座って待つ。14時40分を少し回った頃、一台のマイクロバスが入って来た。ボディに十勝川温泉第一ホテルとあったので、別の送迎車かと思ったら、その下に三余庵の文字。どうやら二軒分の送迎車らしい。送迎車には十数人の人間が乗り込み、ほぼ満席。その大部分の人が中国人の家族。話している言葉は広東語だ。とすると香港からの旅行者だろう。とにかくもう騒がしい。送迎車は午前中に定期観光バスが通ったのと同じ道を通り、十勝川にかかる十勝大橋を抜けて十勝川温泉に入った。送迎車は国道沿いの旅館に入って行く。ここが[三余庵]だ。ほかの乗客はみんな十勝川第一ホテルの泊り客だったようで、車に残り、ここから出て行ってしまった。 [三余庵]の仲居さんが出迎えてくれてロビーへ。椅子に座るとお茶が出された。宿帳に記入。目の前は大きな庭が広がっている。パークゴルフの設備もある。芝が目に鮮やか。パークゴルフというものは初めて知った。どうやら本格的なゴルフとパターゴルフの中間みたいなものらしい。今度一度、やり方を憶えて挑戦してみたいものだ。お茶を飲み終えたところで部屋に案内された。仲居さんに話を聞くと、ここは十勝第一ホテルと経営が同じの11室だけの宿なんだそうだ。 宿に着いたばかりだが、どうしても午前中の定期観光バスツアーでは行かれなかった十勝が丘公園展望台に行ってみたかったので、荷物を置くとすぐにまた外に出る。宿から花時計まではすぐ先。そこから坂を登って行く。午前中は風が吹いていなかったのだが、この時になって、やけに風が強い。ときどき突風が吹く。花時計の先に大きなソーラーパネルがズラリと並んだ場所があった。どうやら太陽エネルギー発電所らしい。花時計もきっとここで作り出した電力で動いているんだろうな。展望台は花時計から20分ほど上ったところだった。十勝川温泉は一望のもとに眺められたが帯広の市内は遠すぎて、いまいちよく見えない。北海道をあなどっちゃいかんということですなぁ。ここで突風。被っていた帽子がすっ飛ばされてしまった。一瞬の出来事で、どこに飛ばされたのか探すことしばし。ようやく展望台の陰に私の帽子を発見。よかった〜。 宿に戻り温泉に入る。部屋にも浴室と露天風呂がある。まずは部屋の露天風呂。ベランダに設置された露天風呂は解放感たっぷり。立ち上がると十勝川大橋もしっかり見える。ついでに大浴場にも行ってみる。先客がひとり。11室しかない宿にしてはもったいないくらいの広さだ。 風呂から出て夕食までにまだ時間あるのでロビーのカウンターバーへ。ここは18時までは無料で飲み物がいただける。まだ外は明るいがスパークリングワインを一杯。さらに調子に乗って赤ワインも一杯。 経営が十勝川温泉第一ホテルと一緒とのことで、十勝川温泉第一ホテルとは通路で繋がっているとのことなので、そっちへ探検に出かける。な〜るほど、十勝川温泉第一ホテルの方は団体客も収容できる大きな設備が整っている。ちょうど夕食が始まったときで賑わっていた。ここの経営もいろいろなニーズに合わせられるように工夫がなされている感じ。お食事処にテープルを並べ会席やら鉄板焼きを提供しているかと思えば、ディナー・ビュッフェもある。いわゆる観光ホテル。安上がりに提供することも可能だし、離れの三余庵のように高級志向にも対応できる宿作りをしている。 通路を戻って三余庵へ帰る。18時半、夕食だ。 お食事処の席に案内され、ここは白ワインにするかと、シャブリ・プルミエ・クリュのハーフボトルを頼む。 まずは大きな器の中央に乗られたカクテルグラスに入った先付。クレソン、蕗のサラダ。それに帆立とあおり烏賊だそうだ。上にアクセントでいくら。シヤブリによく合う。 前菜。枝豆すりながし、自家製山わさびチーズ、時鮭の酒粕味噌漬け、ササミとホワイトアスパラの昆布〆梅ソース(写真)。山わさびチーズは売店で売っていたけれど、これ、おいしいな〜。ワインにぴったり。 凌ぎ。ちょっと腹に応える料理はいぶりがっこ飯の上に生ウニと赤帆立の炙りを乗せたもの。これをパリパリの海苔で巻いて食べる。おいしくない訳がないでしょ! 椀物。唐草豆腐と蟹真文の入った吸い物、柚子、ミニ大根入り。唐草豆腐は豆腐の中に海草が埋め込んであるという丁寧さ。 ここで北海道の酒、あたごのまつ彗星を貰う。 お造りは、メヌケに牡丹海老だが酢のゼリーで食べて欲しいとのこと。なるほど、さっぱりしておいしい。さらに別に雲丹を塩水漬けて出された。う〜ん、幸せ。 焼物。十勝牛の炙り蒸し。焼き玉葱と人参味噌漬け。牛肉は柔らかいし、野菜は信じられないくらい自然の甘さ。 口直しに出たのが、生姜のシャーベット! これで口の中スッキリ。 冷やし鉢。滝川産鴨、冬瓜、茄子、ミニトマト、オクラ。これを底に敷いてある胡麻ダレにようくまぶして食べる。お・い・し・い〜。 温物はキンキとタラバ蟹のスモーク。百合根ソースにレモンオリープオイルがかかって繊細な味に仕上がっている。 さらに酢の物。チーズ豆腐とは驚き。上にキャビアまで乗ってる。ワイン、残しておけばよかったな〜。 そしてお待ちかね、今日の〆は雲丹丼。これが食べたかったんだ! おいしいな〜。 デザートは苺のシャーベット。白花豆ソース。苺も乗っていて大満足。 部屋に戻り、部屋のベランダの露天風呂に入り上を見上げたら満天の星。明日はきっとまたいい天気に違いない。 夜食だという、小さなお稲荷さんをいただいて就寝。確実に食べ過ぎだが、胃がもたれないのが不思議。 7月10日記 |