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蕎麦湯ぶれいく

ワイン城再訪

2015年7月8日

 十勝旅行3日目。最終日。「せっかく北海道まで行くんだから、たった2泊3日ではもったいないではないか」と言われそうだが、私にとってはこれが限界。それ以上だと疲れてしまって、翌日から何もできなくなる。「無職なんだから寝てればいい」とも言われそうだが、そんなに疲れる旅行なら、もう行きたくもなくなっちゃうだろうなぁ。身体に無理なく旅行する。それが一番いい。2泊3日が限界となると、海外旅行はもう無理かもな〜。別にそれほど行きたくもなくなっちっゃたんだけれどね。海外旅行の方が国内旅行より、はるかに疲れるだろうし。こんなこと書いていると「お前のスケジュールの立て方が悪いんだ」という声も聞こえてきそう。そう、旅先で動き回らないでのんびりすればいいんだけど、そういうのは性に合わないんだな。それに明らかに歩きすぎだってことはわかってる。でも歩かないと旅行に行った気にならないという困った性格でもあるんだよな〜。

 6時に起きて大浴場。だ〜れも入っていない。露天を含めて三つの湯船。もったいないくらい。十勝川温泉の湯はモール泉といわれる珍しいもの。色は薄い茶色。この温泉、長いこと入っていても、それほど疲労感を感じない。それじゃあ効能は薄いのかというと、とても肌に良い事だけは確か。肌がツヤツヤになる。入ったあと、いかにも薬用効果がありそうなガツンとくる温泉もいいけれど、こういう優しく肌にいいという温泉もいいものだ。部屋に戻って、また部屋のベランダにある露天風呂にも浸かる。昨夜見た満天の星空も素敵だったが、真っ青な空もまた気持ちいい。最終日、この三日間の中では一番よい天気になった。東京ではこの三日間ずっと雨らしい。十勝に来てよかった。

 8時朝食。今日も和食と洋食から選べるので洋食。
 まず目に飛び込んできたのはコーンスープ。トウモロコシの自然の甘さが際立ってるね〜。
 玉子はオムレツにしてもらった。付いてきたトマトケチャップがまたおいしい〜。
 ソーセージ、ハム、ベーコンは鹿追町の[草原の風]製。あまり塩辛くなくておいしい。インターネットで通販もしているそうだ。
 温野菜。鶏肉、ブロッコリー、人参、大根など、薄味に茹でられているけど、中でもこのじゃがいも、何だろう? すっごくおいしい。
 サラダはスモークサーモンサラダ。ドレッシングもいいね〜。
 パンは音更町の[あさねぼうのベッカライ]製の天然酵母のパン。噛めば噛むほど味わい深いおいしいパンだ。バターもいちごジャムもおいしかったが、私が気に入ってしまったのはラズベリーとグレープフルーツのミックスジャム。全部舐めちゃいたいくらい。
 ほかにもビュッフェ形式でジュースや牛乳が置かれていた。ここのトマトジュースは感動的においしいな〜。カレーもあったので少しいただく。
 デザートのような金時豆の入ったさつまいもクリームをいただいてご馳走様でした。

 今日の午前中の予定は、十勝川沿いにある十勝エコロジーパークへ行くこと。どうもこれまたとてつもなく広大な公園のようで歩いて行って、くまなく歩き回るとなると三時間くらいかかるらしい。それで9時に[三余庵]を出発することにする。荷物は預かってもらって身軽になって出かけることにした。[三余庵]を出て、一旦十勝川に向かう。十勝川温泉第一ホテルの前から、河川敷に降りる狭い道があり、ここを通って河川敷。この河川敷に作られた道の気持ちいいこと。一応、サイクリングロードということになっているらしいが、自転車も一台も走っていない。しばらく歩いた所で緑が多くなりエコロジーパークに入った。一昨日は定期観光バスでガーデンめぐりをしたが、どうもどこも、ここエコロジーパークには大きさの点で敵わないかもしれない。自然そのものを公園の形にしたという場所。まったく北海道というところには恐れ入らざるを得ない。園内をウロウロしているだけで、あっという間に二時間がたっていた。場所によっては森の中にシダが自生していて、まさにジュラシックパークの趣き。Tレックスやコンピーが出てきてもおかしくないほど。

 [三余庵]の前のバス停、12時9分の路線バスで帯広駅に向うので、少し早めに[三余庵]に戻り、ロビーでコーヒーを淹れてもらう。コーヒーを飲みながら広い庭を眺めていると、名前も知らない鳥がやってきたりして、ここはバードウォッチングもできそうだ。今回の旅行で一番リラックスできたのは、この瞬間だったのかもしれない。

 というのも、この日、このあとの展開が、結構バタバタしてしまったから。12時9分の路線バスに乗って帯広駅に着く予定時刻は12時39分。そこから12時44分発のJRに乗って池田まで行く。乗り換えに5分。ギリギリの余裕しかない。はたしてうまくいくかという不安があった。

 12時9分の路線バスは時間通りにバス停にやってきた。お客さんもそこそこ乗っている。途中、いくつかの停留所で乗り降りがあり、畑が続く車窓も、そのうちに帯広市内へと入って行った。帯広バスターミナル定刻12時39分到着。前の人に続いて降りようとしたら、前のオバサンが整理券を取り忘れたと運転手さんに相談を始めた。これを待っていては時間が無くなる。横をすり抜けて、整理券と[三余庵]からいただいた路線バス利用券を箱に入れ、バスから飛び出す。帯広の駅前は広い。早足で帯広駅構内に入る。自販機で池田までのキップを買う。自動改札を抜けた途端に、「釧路行12時44分発の列車は、間もなく発車です。お急ぎください」のアナウンス。エスカレーターを駆け上がる。ホームに上がって愕然としてしまった。帯広駅というのは、池田を経由して釧路に向かう下り線ホームと、新得に向かう上り線ホームは別なのだということに初めて気が付いた。反対側のホームに行くには、一旦エスカレーターを下って、自動改札を抜けて、反対側の自動改札抜けて、またエスカレーターを駆け上がる必要がある。こっち側のホームにも、あっち側のホームにも電車が止まっている。いったい下り線ホームはどっちだ!? もう時間がない。次に私がとった行動はエスカレーターを駆け下りること。自動改札の隣のブースにいる駅員さんに、「池田まで行くんですけど、下り線ホームは、あっちですか?」と尋ねた。駅員さん曰く「下りはこっちでいいんです。もう発車しますよ」。またエスカレーターを駆け上がる。発車のベルが鳴っている。これを逃すと14時まで電車はない。東京では駆け込み乗車はしないようにしている私だが、ここはそんなことは言っていられない。発車間際の電車に飛び乗る。ふぅ〜。火事場のなんとか。普段は走るなんていうことはまったくしなくなってしまった私だが、いざとなったら走れるものですね〜。

 池田12時23分着。池田といえばワイン。午後の目的はワイン城に行くこと。今から30年前、私はオートバイで北海道を一周したことがある。フェリーで苫小牧に着いた初日は、とにかく走ることが楽しくて、そのまま海岸線を走って襟裳岬を回り、その日の目的地は釧路。釧路の手前の池田に出て、ワイン城に立ち寄った。あの時、ワイン城のレストランで食べたタンシチューがおいしくて、今回もワイン城見学と、30年ぶりにあのタンシチューを食べようという計画。あのときはオートバイだったからワインは飲めなかったけれど、今回は電車だからワインも飲める。

 ワイン城は小高い丘に建っている。駅からもその建物は見える。懐かしいな〜、あれから30年。このへんの景色は、あのときとほとんど変わってないように思える。坂を登ってワイン城。受付で14時30分のガイドツアーの申し込みをする。このフロアは土産物なども売っているので時間つぶしに見て歩く。奥に試飲コーナーがあった。本日の試飲はミュラー・トゥルガウという白ワイン。フルーティーで飲みやすいワインで、ついつい二回もおかわりしてしまった。

 ブラブラ歩いていたら、ワイン城を訪れた有名人がボトルにサインしたものを展示しているガラスケースがあった。落語家も来ている。やはり全国的に顔を知られている人のものだ。ここのスタッフだって、そういう人しか気が付かないよな〜。三遊亭金馬。小金馬時代、『お笑い三人組』から全国的に名前が知られているものな〜。三遊亭好楽も『笑点』の効果絶大といったところか。そして立川談志。う〜ん、確かにこの人の顔は誰でも知ってるよなぁ。

 いい気持ちになったところで、ガイドツアーの時間。係の人にワインの貯蔵所に案内される。ズラリ並んだワインの樽を前にお話をうかがう。ワインの貯蔵に関して、スパークリングワインの作り方に関してなど、ただ漫然と施設内を見て回っただけではわからないことが、いろいろと聞けて楽しかったし、新しい知識を得ることもできて有意義なツアーだった。最後に赤ワインの試飲。銘柄は山幸というワイン。辛口でコクがあり、なかなか気に入ってしまった。今度、北海道展で見かけたら買おう。

 レストランでワインを飲みながら、タンシチューかビーフシチューを食べようと思って、施設内のレストランに行ってみたら、ステーキとハンバーグしかない。レストランの経営が、この30年の間に変わってしまったようだ。頭の中にステーキという考えがなかったので諦め、帯広で今回の旅の最期の締めくくりに何か食べることにしようと思って、ワイン城を出る。

 池田駅の前まで戻ってきたら、駅前にレストランがあることに気が付いた。半端な時間だし営業しているのだろうかと思いながら近づいてみると、どうやら営業中らしい。それになにやらテレビ取材が入っている最中らしくてカメラマンや機材を持ったスタッフが出入りしている。店頭にあったメニューを見ると、ここは池田牛を使った料理を出すところだと書いてある。池田牛は滅多に人の口に入らないと言われているもの。ビーフシチューもメニューにあるではないか。これは池田まで来て、ここに入らない訳にはいかない。十勝ワインとビーフシチュー、それにスモークサーモンを注文する。鍋に入れられて運ばれてきたビーフシチューはトロトロに煮込まれていて、おいしいのなんの。付け合せの野菜もさすが北海道というおいしさ。ゆったりとした気持ちで食事を楽しんだ。そんな中、隣の一角ではテレビ番組の収録中。レポーターが運ばれてきたステーキとワインの感想を、なかなか丁寧に伝えている。よくある食べタレの騒々しいものとは、ちょっと違っていて好感が持てるレポートをしていた。最後は、「池田町のワイン、今が旬で〜す」と言っているショットを何回か撮って終了。私もそろそろ帯広に帰る電車の時間が迫って来たので、代金を支払って外に出る。

 16時43分の上りで帯広。帯広からは、また定期観光バスで貰った、とかち帯広空港行きのキップとの引換券でキップをゲット。どうもありがとう、十勝バスさん。空港でお土産を買って、羽田行 19時10分の Air Do に乗る。窓からは雲海が見えていたが、やがて真っ暗になってしまった。

7月12日記





















静かなお喋り 7月8日

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