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蕎麦湯ぶれいく

2012年7月11日美し森

 このホテルの大浴場は24時間開いているわけではなく、夜は1時までで、朝は5時から。朝一番で入ろうと思って寝たら、本当に自然と4時56分に目が覚めた。ベッドからガバッと飛び起きて大浴場へ行く。やったぜ、一番乗り!
 霧の中、露天でひとりボンヤリと入浴。
 前日、夕食前に脱衣所の体重計で測ったら52.8Kgになっていた。入院前は64Kgくらいあったのが、二ヶ月後の退院時には58Kg。それからも徐々に体重は下がり続けてきた。それがまさか以前より10Kg以上減るとは。
 スティーヴン・キングの『痩せゆく男』を思い出す。変な呪いにかけられていなければいいのだが。あるいは、何か別の病気があるのか。
 恐る恐る体重計に乗ってみる。53.6Kg。きのうより800g増えている。夕食で体重が増えたようだ。よかった。変な呪いはかけられていなかったようだ。
 食欲不振の副作用があるワーファリンを先週まで飲んでいたのも原因かもしれない。もうワーファリンは飲まなくてよくなったから、これからはそう心配することもなさそうだ。

 部屋に戻る前に屋上へ上がってみる。あたり一面、霧で何も見えず。東京で霧なんてまずありえないから、こういう風景も新鮮だ。霧っていうと、どうしてもスティーヴン・キングの『霧』を思い出してしまう。あの霧の中に何か化け物がいるんではないか。
 どうも偏った読書をしているなあ。

 部屋に戻ったら、いい気持ちになって二度寝してしまう。長い夢を見る。
 私の夢は、なにか急いでどこかへ行くために街の中を走っているというのが多い。今朝のは初対面の人から名刺を渡され、こちらも名刺を出そうとするが、生憎切らしている。「ちょっと待っててください。すぐ近くに私の家がありますから」と走りだすのだが、走り出し時は、徒歩1分くらいのところだったはずなのだが、なぜか遠くの街を走っている。
 いつもこんなシチュエーションが多いのだが、今朝の夢の中では、走っていると、チロル風のコスプレを着た長身の若い女性が追走してくる。どうやら新規開店したレストランの宣伝らしくて、チラシを渡される。彼女は「ブリッュセル、ブリュッセル」と店名らしいものを連呼している。「ブリュッセル、ブリュッセル、ヨーロッパの爽やかな風、ブリュッセル。家族揃ってブリュッセル。一家団欒ブリュッセル」
 ブリュッセルって、どこだっけ。ヨーロッパの都市の名前には違いないが。あとで調べてみたら、ああ、ベルギーの首都かあ。
 なんで突然、夢の中でブリュッセルなんていう地名が出てきたのかは不明。まったく縁の無い地名だし。ベルギー料理のレストランの宣伝だったらしい。これは近々、ベルギー料理を食べに行かなくてはならないかな。

 八ヶ岳ロイヤルホテルは大型宿泊施設。朝食はバイキング。学生の団体さんが泊っているとかで、8時までは混雑すると言われていたので、8時を待って食堂に行く。朝食バイキングなんて何年ぶりだろう。なんだかズラリと並んだ食べ物を見ていたら、それだけでお腹がいっぱいになってしまいそう。牛乳がおいしくて、お代りする。こういう牛乳は東京のスーパーなどでは手に入らない。

 今日は天気が崩れるという予報だったが、よく晴れている。
 こういったところを観光するには、クルマが便利なのだが、緑内障で視野の一部が欠けてしまったのを機に運転免許の更新を止めてしまった。レンタカーでも使えば移動は楽だが、視野が欠けた状態でクルマを運転するのは怖い。他のドライバーに迷惑をかけることにもなりかねない。
 清里地区を循環するピクニックバスというものが走っていて、それを利用することにする。ホテル前に9時20分に来るバスに乗る。バスは昨日行った八ヶ岳高原大橋を渡って清里へ向かう。運転手さんが景色の解説をしてくれるのも楽しい。右の窓から遠く微かに富士山が見える。こういうのは言われないとわからないし、運転しながらだと脇見はできない。
 このピクニックバス、トラックを改装したもので客室部分は荷台だったそう。座り心地のいいソファになっている椅子などなく、木のベンチに布団が敷いてあるだけ。長時間の乗車はキツイかも。
 緑の高原ルートを走り抜け清里へ。そこからバスは美し森方面へ向かう。ルートマップを見るとハイランドパークまで行くようだったが、運転手さんに確かめると、平日はその手前の美し森までしか行かないとのこと。土日祝と夏休み期間はハイランドパークまで行くとの事。ここでも平日旅行のデメリットが。まあ仕方ないか。
 それで、美し森で降りて歩く事にする。健康のためもあるし、もともと歩くの好きだし。

 板が敷いてある道を展望台を目指して登る。展望がいい道で、ときどき立ち止って休憩を入れては、登って来た下の方を振り返る。フウフウ言っているが、登って来た成果を見るのは楽しい。

 15分ほどで展望台に到着。小学校低学年の遠足らしい団体がいる。子供は元気だ。このくらいの上り坂、ものともしないらしい。

 先へ進む。幅の広い山道を歩いて、美し森ファームへ。ここはキャンプ場だが、ロールケーキが名物らしい。一本買って帰りたいが、一人暮らしだと、この量は持て余すからなあ。

 美し森ファームから、さらにその上のハイランドパークまで歩く。途中、道路脇の森でガサガサッと音がしたと思うと、鹿が二頭、目の前の道路を横切る。野生の鹿をこんなに近くで目撃したのは初めて。

 ハイランドパークでリフトに乗り、標高1900mの頂上へ。絶景、絶景。冬はスキー場になるらしい。美し森からここまで歩いてきただけで、もう疲れているようでは、スキーなんてもう無理かなあ。

 帰りも同じルートを辿って美し森ファームへ。観光バスがたくさん停まっている。ロールケーキの入った袋を持った観光客がゾロゾロ出てくる。どうやら名所になっているらしい。

 美し森ファームから寄り道をして羽衣池へ。道は整備されているものの、ところどころに水たまりが。上り坂が続き、途中で挫折しそうになるが、やがて展望が開け羽衣池に到着。この先は本格的なハイキングコースになるが、これはさすがにパス。情けない事にそれだけの体力が無い。

 美し森展望台に戻る途中で、「九輪草入口」と書いた立て札が目に着いた。九輪草って何だ?と思って行ってみると、そこは湿地帯で、赤い花が咲いていた。ここは高山植物九輪草の群生地なのだった。

 美し森展望台へ戻ると、また小学生の遠足らしき団体がいた。今度は行きに見かけた子供たちより、やや上級生か。みんな元気だなあ。
 展望台で休憩することにする。売店で牛乳を注文すると、奥からヤカンを持ってきた。「?」と思ったら、そこからコップに牛乳を入れてくれる。冷たくて、濃くておいしい。今朝も朝食バイキングで牛乳を二杯飲んでしまったが、こと牛乳に関しては、もう東京からこっちに引っ越したくなるくらいだ。

 元気を取り戻して山を下り、次の目的地、東沢大橋まで歩く。歩いてみると、けっこう距離があった。こんな酔狂な観光客も少ないだろうなあ。

 東沢大橋は、八ヶ岳高原大橋に比べると小さい。全長90m。八ヶ岳高原大橋は490mあったから見劣りするが、赤く塗られた橋は一面の緑の中でよく映えている。紅葉の季節が美しいそうだが、この新緑の季節もなかなかのものだ。

 さらに歩いて清泉寮へ。今日はもうさすがに歩き疲れて、ここでギブアップ。
 名物、日本一おいしいというソフトクリームを買う。ズラーッと列が出来ているのに並ぶ。日本一だかどうだかは何ともいえないが、おいしいことは確か。
 ピクニックバスが回って来るまで、やまねミュージアムで暇を潰し、バス停の椅子にへたり込んでバスを待つ。

 バスは農場などを回り、先ほどの東沢大橋を渡り、ロイヤルホテル前に到着。清泉寮にいたころから、空模様が怪しくなり始めたが、なんとか天気も持ってくれて雨は降らなかった。

 ひとっ風呂浴びると疲れがドッと出て、ベッドに倒れこんだら、そのまま眠ってしまった。

 18時30分夕食。二日目は洋食。こちらも料理少なめのコースにしてもらう。

鯛のエスカベッシュ・サラダ
コーンポタージュスープ
サーモンのポワレ
チキンの香草焼き、カレーソース
パン
紅茶
デザート

 これでもお腹いっぱい。迷ったが、お薦めだという、野菜鍋というのをプラスする。これがおいしかった。地元の農園で採れたという野菜だけを使った料理で、野菜の甘さが口いっぱいに広がる。

 今夜はさすがに空は曇っていて天体観測は出来ない。
 地酒を少し飲みながらテレビを観ているうちに、昼間の疲れが出て眠ってしまう。

7月14日記

静かなお喋り 7月11日

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