2012年7月10日八ヶ岳高原大橋 新宿を12時ちょうどに出発したスーパーあずさ15号は、小淵沢(こぶちざわ)に13時52分に到着した。 さあて、小海線(こうみせん)に乗り換えようとしたら、次の発車が15時5分だと知る。えっ! 待ち合わせに1時間15分近くあるではないか! まあ、調べて来なかったこっちが悪いのだが、連絡悪過ぎ。特急列車の到着に合わせてないなら、せっかく特急でここまで来た意味があまりない。 14時1分発が時刻表に載っているが、こちらは土曜、休日のみ。あとシーズンの8月は毎日だって。 うーん、ショック。平日旅行は空いているから、いいというメリットは、こういうところでデメリットもあるようだ。 このまま小海線を待っていいのだが、ここで1時間以上ボケッとしているのは時間の無駄だと思ってしまうのが貧乏根性が抜けていない証拠。今日の宿泊先、八ヶ岳ロイヤルホテルまでタクシーに乗ってしまうことにする。 小淵沢の駅の改札でキップを渡して出ようとすると、駅員さんから「甲斐大泉までのキップになっていますが、よろしいんですか?」と言われる。 「待ち合わせが長すぎるんでタクシーにします」 駅員さん、東京の人はせっかちだなと思ったかもしれない。 駅前からタクシーに乗る。どのくらいの距離があるのかわからないが、駅でボンヤリしているよりはいいだろう。甲斐大泉までの運賃230円も無駄になってしまったが仕方ない。 思っていたよりも早く八ヶ岳ロイヤルホテルに到着。チェックインは15時からになっていたが、部屋の用意は出来ているとのことで、さっそく部屋に入れてもらえる。 まだ日は高いし、明日になると天気も崩れるという予報もある。どこか近場で行かれる観光スポットは無いかとフロントで問い合わせると、30分ほど歩いたところに八ヶ岳高原大橋というのがあり、そこからの眺めが素晴らしいとのことで、出かけることにする。 部屋に荷物を置き、まずはホテルの屋上に上がってみる。北に八ヶ岳連峰が見える。そして反対側の南には、遠く南アルプスの山々。ここの展望は前に遮るものが無く、抜群といえるだろう。 ホテルを出て、貰った地図に沿って道路を歩く。シーズン前だし平日ということもあるのだろう。クルマはあまり走っていない。フロントで言われた通り30分ほどで橋に到着。全長490mだそうで、歩くとかなりの距離がある。 橋の中央付近に立ち止り、まわりを見回す。進行方向左下を覗くと100mほど下が谷底で川が流れている。思わず足がすくむ。目を上に上げて行くと一面の緑としかいいようがない。その緑は、私の小さなカメラではとても捉え切れない。右は遠く空が広がっている。やや上を見上げてグルッと回ってみれば、まあるい空が広がっている。こういう長い橋の遮蔽物のない場所は、私の大好きなところでもある。 橋の反対側まで歩き、今渡って来た橋を眺め、引き返す。 16時前にホテルの前に戻る。 このホテルの周りには森が広がっていて、<森の散策路>なるコースがある。ついでにこの道の中を歩く。奥へ入ってしまうと深い森になってしまいそう。ロープが張られた道を散歩する。森林浴とはよくいったもので、気持ちが洗われていくような感じがする。ホテルから遠くまで行かなくても、けっこう高原リゾートとして楽しめそう。 夕食前に、大浴場へ行く。大きなホテルだけあって風呂も大きい。露天風呂も隣接していて、露天のところだけ温泉だというので、そちらの方に入る。すぐ裏が森なので虫がたくさん飛んでくるが、これも露天ならでは。自然の中だなあ。 さっぱりして部屋で休み、18時夕食。ここは和食、洋食、中華のレストランがあり、一日目は中華にする。料理少なめコースにしてもらったが、これでも多いくらいだ。 前菜三種盛り合わせ 海老の冷製マヨネーズソース 麻婆豆腐 豚ロース肉の陶板焼き、豆板醤仕立て 水餃子と野菜の鍋、沙茶醤風味 白飯と梅ザーサイ 杏仁豆腐 中華といっても、どこか和の風合いがあって、さっぱりとして食べやすかった。 もっとも麻婆豆腐は、けっこう辛い。手術以来、喉が辛い物を受け付けなくなっていたので、一口食べてみたら、ジワジワと辛さが喉に来てむせてしまった。「こんなことで負けるか」と、麻婆豆腐はご飯にかけたら、案外食べられた。 ようやく辛いものも克服しつつある。 20時より天体観測のガイドがあるということで屋上に行ってみたが、天空が突然曇ってしまったとのことで中止。ロビーでスライドによる星の話をやっていた。 これは、昼間の温かい温度と、夜の冷気がぶつかって雲がかかってしまう現象とのことで、21時になったら雲も取れた。 改めて、屋上で天体のガイドに従って夏の夜空を見上げる。 北極星、北斗七星がくっきりと見える。星座もガイドさんの説明を聞いていると、そういう風に見えてくるから不思議だ。 天体ドームもあり、大きな天体望遠鏡で星を見せてくれる。土星を初めて見る事が出来たのもうれしかったが、アルビレオが見られたのには感激した。オレンジと青の光を放つこの星。宮沢賢治が『銀河鉄道の夜』で、サファイアとトパーズになぞらえているもの。宝石かどうかは別だが、きれいだったなあ。 にわか天文マニアになって、いい気持ちで眠りに就く。 7月13日記 静かなお喋り 7月10日 このコーナーの表紙に戻る |