December.26,2001 有馬記念

「さあ、泣いても笑っても今年のオーラス、有馬記念というわけだったけれど、どうせ取れなかったんだろ?」
「ふふふふふ、これが目に入らぬか!」



「ムムムムム。こっ、これは今年の有馬で優勝したマンハッタンカフェの単勝! やったじゃないか! ええっと、7.1倍だから7100円」
「ずーっとハズレで来た秋のG1十番勝負。毎回千円づつの投資で十回で一万円。前々回の阪神ジュベナイルで5200円取ったから、今回の7100円と合わせると・・・12300円。どんなもんだい、2300円の黒字だぜ」
「よく言うよ。春のG1がボロボロだったから、まだ全体から言うと赤字だろうが!」
「まあ、過去のことはよそうじゃないの」
「そういうところがダメなんだよ! それにしても3番人気のマンハッタンカフェ、よくぞ単勝で当てたもんだな」
「うん、テイエムオペラオーもメイショウドトウも、もう時代は終わりと見たね。今年の3歳馬は強いよ。特に菊花賞を取ったマンハッタンカフェの強さは並大抵のものじゃなかったから、いけると思ったんだ」
「それにしても2着が13頭だての最低人気馬アメリカンボスとは驚いた。馬連だと48650円の超万馬券」
「馬連にしなくてよかった。馬連だったら十頭買っても届かなかったろう」
「そういえば、菊花賞はアメリカで同時テロがあったときで、ふたりで話したっけな。あのときの1着がマンハッタンカフェでワールドトレードセンターがあったマンハッタン。2着がマイネルデスポットで死を意味しているようなデス。3着がエアエミネムで航空機を意味しているようなエアが入っていたんだよな」
「ほんと、あれは偶然とはいえ、びっくりしたよな」
「今回の有馬もよく見ると、またマンハッタンカフェが1着。2着がアメリカ親分のアメリカンボス。そして3着がトゥザビクトリー、勝利に向かってって、出来すぎじゃないか?」
「ほんと、来年は何事もない平和な年になって欲しいよな」


December.22,2001 朝日フューチュリティ



「なっ、何ーっ! ヤマノブリザードの単勝だってえー! こいつは結局2着だった奴じゃないかあ。なんで複勝にしなかったんだ! もう!」
「だって2番人気馬だぜえ。複勝だと1.9倍にしかならない。1着になったのは、これまた1番人気のアドマイアドン。馬連の一点勝負でもよかったんだなあ。これだと7.6倍になった」
「アドマイアドンのお母さんは、かのベガだぜ! お兄さんにアドマイアベガ、アドマイアボス。ベガの子供を侮っちゃいけないよ」
「こういう3歳馬戦というのは、難しいんだよね。今までのレースのデーターが少なすぎて見当がつかない。結局、自分が好きだった馬の血統から買うしかないんだよね」
「それで、ヤマノブリザードかい?」
「ああ、ヤマノブリザードのお父さんは、かのタイキブリザード。強かったよなあ」
「お前の財布は寒くて、ブリザードが吹き荒れているだろ?」
「父方の血統よりも、母方の血統が勝ったとはねえ」
「母よ、あなたは強かった」


December.7,2001 阪神ジュベナイルF



「おおっ! これは1着になったタムロチェリーの複勝馬券。7番人気だったから複勝でも520円ついたよな。1000円で5200円。ついにやったじゃないか!」
「コクコク」
「何うなずいてるんだよ。何とか言ったらどうなんだよ。まさかなんでも単勝は無理だろうと思って複勝にしたわけか? 単勝で買ってたら1800円ついてたぜ。1000円買ってりゃ18000円の配当だ。惜しかったなあ」
「コクコク」
「それにしても、さすが名手ペリエ。G1三連続1着というのも凄いよな。やはり、ペリエの腕を買ってたのか?」
「コクコク」
「待てよー? チェリーと言えば、お前が飼っていて、この春に死んだ猫の名前だろう!? ははあ、やっぱり名前で買ったんだろう!」
「ブンブンブンブン」
「何、顔を横に振っているんだよ! ズボシだろ?」
「ブンブンブンブン」
「顔振ってばかりいないで、何とか言えよ!」
「ニャー」


November.28,2001 ジャパンカップ

「とうだい、ジャカンカップは取れたんだろう? 1番人気と2番人気で決まっちゃったんだから、ガチガチ本命だもんなあ」
「あ、ああ・・・」
「んっ? どうした?」
「いやー、今年の外国馬はだらしなかったなあ。やる気あったのかねえ。掲示板は1着から5着までみーんな日本の馬でしめられちゃった」
「人気だって、1番人気から5番人気までが日本の馬。それでその人気そのままで、その5頭が1着から5着までに入っちゃったんだから、やっぱり今年の外国馬はたいしたことなかったんだよなあ。ところで、お前本当に取れたのかよ!?」
「いや、まあ・・・いいじゃないか・・・日本の馬が勝ったんだから・・・ジャパンカップといえば思い出すのが92年。圧倒的に強い外国勢を迎えて、日本の馬には勝ち目がないと言われてたんだよなあ。それがさ、強豪をものともせずにトウカイテイオーが優勝した瞬間には涙が出てくるほど感動したものだ」
「ばかやろう、お前、あのとき日本馬は全部消しにして、大損こいたじゃないか! いいから今年勝買った馬券見せてみろ!!」
「あっ、ちょっと、ちょっと、いいじゃない、いまさら・・・」



「8からのワイド流し? ・・・というと、4番人気のステイゴールドからかあ? またステイゴールドからかよ。ステイゴールドは結局4着だったよな」
「ああ、ゴール直前まで3着につけていて、寸前でナリタトップロードに首差で刺された。あーあ、あのまま行ってくれていたら3着でワイドだから、配当があったのになあ」
「お前、いつも同じこと言ってないか?」
「ステイゴールドも7歳。もう歳なんだなあ。それにしては今年はドバイで優勝しているんだけどなあ。日本ではいつでも2着か3着っていう不思議な馬で、なぜか優勝できなかった。もっとも連対にするなら、こんなにおいしい馬もいなかったのになあ。買わないと来る。買うと来ない。ヘンな馬だった。これでいよいよ引退かあ」
「結局お前のところには、ゴールド(金)をステイしてくれなかったわけね」
「ふう。引退レースは有馬記念を断念して香港だって。勝って欲しいなあ、香港で」


Nonember.21,2001 マイルチャンピオンS



「ふうん、3番人気17トロットスターからの馬連流しかあ。またハズレだな」
「大外枠だったから、ちょっと無理かなあとも思ったんだけど、このところ大外枠から出て勝っちゃうケースが多かったからと思ってね。それにしてもスローな展開だったよなあ、マイル戦のくせにして。13番人気12クリスザブレイブの逃げ切りを考慮して、そこまで押さえておいたのになあ。なんでもっと思いきっていかなかったんだろう」
「1着で入った4番人気14ゼンノエルシドは考えてもみなかったのか?」
「だって、スプリンターズステークスでトロットスターの足元にも及ばなくて10着に破れた馬だぜ。いらないと思ったんだよなあ。ここはやはりトロットスターがアタマだと思ったんだけどなあ」
「2着が2番人気9エイシンプレストン」
「これは当然でしょ。毎日王冠で1着だったんだもの。ここで1着になれる馬は実力があるってことだよ。それにしてもトロットスター12着はないよな。まったくいいところがないレースだった。1番人気の13ダイタクリーヴァは押さえとして買ったおいたけれど、気持ちとしてはトロットスターとエイシンプレストンで決まると思ってたんだ」
「トロットスターねえ。ハハハハハ」
「何笑ってるんだよ」
「今気がついたんだけどね、トロットスターのおかあさんはカルメンシータ。そのおとうさんがワイズカウンセラー。お前の競馬のやりかた、一度カウンセラーに見せた方がいいんじゃないか?」
「・・・・・・・」


November.15,2001 エリザベス女王杯



「くっそー、惜しかったなあ。ゴールに3頭が同時に飛びこんできたときには『やったー!』と叫んじゃったんだけどなあ」
「ふーん、5番人気のティコティコタックから、1番人気の1テイエムオーシャン、2番人気の2ローズバド、3番人気の11レディパステル、4番人気の13トゥザビクトリー、10番人気の15ヤマカツスズランへ馬連で流したわけかあ。逃げ馬のヤマカツスズランまで押さえておいたのがお前らしいな」
「ああ、4コーナーまではハナ切ってたけど、あんなものだろう。だけど今年は他の馬のレベルが高すぎたよ」
「結局、ローズバド、ティコティコタック、トゥザビクトリーがほぼ同時にゴールしたんだよな」
「写真判定が出るまでの長かったこと。1着がトゥザビクトリーで、2着がローズバド、3着がティコティコタックで、これがみんな鼻差。悔しいなあ」
「どうしてワイドにしなかったんだよ。もしワイドなら7−13も2−7も的中しててダブルで取ってたんだぞ!」
「あー、本当だあ! ワイドにすれば良かったんだ!」
「ほんとうに、お前という奴は、競馬にヨワイド」


November.1,2001 天皇賞



「馬連の2−6。やっぱりメイショウドドウとテイエムオペラオーの一点勝負か。しかしこれ、もし来てても2.9倍にしかならなかったぜ」
「うーん。どう考えても現在最強のこの組み合わせ。去年からの遺恨のレース。どっちが勝ってもおかしくなく、他につけいる馬がいるとは思えなかったけどなあ。まさかゴール直前でアグネスデジタルが外から飛んでくるとは思いもよらなかった。2着3着だったら、ワイドにしておけばよかった」
「だからあ、競馬にタラもレバもオケもないの! 第一、ワイドで取れたとしても1.8倍だぜ!」
「今回の秋のG1、まだひとつも取れていないんだぜ。なんとか1.8倍でもいいから一勝がしたいなあ」
「やっぱりアグネスデジタルは強かったなあ。4番人気なんてウソみたいだ」
「アグネスデジタルは頭になかったなあ。3番人気のステイゴールドは外国で勝って、しかも武豊に乗り変わって、ちょっと気になってはいたんだけど・・・。アグネスデジタルはなあ」
「ところでお前、場外馬券売り場では自動券売機で買ってるのか? それとも穴場に行ってるのか?」
「穴場って?」
「女性の販売員がいる窓口のことだよ」
「ああ、あの窓口のこと、穴場っていうのか。そりゃあ、穴場の方だね。綺麗なオネーチャンが座ってる窓口を選んで行くんだ」
「あそこは、オバチャンばっかりだぞ!」
「そうでもないんだな。100円単位の穴場はオバチャンばっかりなんだけど、1000円単位の穴場は結構若い娘がいるんだよ」
「ほんとうかあ? ほんとは自動券売機の使い方知らないんだろ!」
「ドキッ!」
「ほおら、顔色が変わった。やっぱりお前はデジタルには向かない」


October.25,2001 菊華賞



「何やってんだよ。エアエミネムは3着だったじゃないか。単勝なんて狙わないで複勝を買えばアタリだったのに」
「うん、でも三番人気だもんなあ、来ても230円しかつかない。ここは単勝で十分に勝算ありと思ったんだけどねえ。このところずーっと負けなしの1着つづき、1番人気や2番人気のジャングルポケット、ダンツフレームよりは上と見てたんだ」
「うん、実際にジャングルポケットは4着、ダンツフレームは5着だもんなあ。実際に1着に飛び込んできたのは、あっと驚くマンハッタンカフェ(6番人気)。2着に至っては何とまあ11番人気のマイネルデスポット。馬連で46210円の大穴になっちゃった」
「なんだか貿易センタービルに乗っ取った飛行機で突っ込まれくらいの衝撃」
「大げさなやつだなあ」
「でも出来すぎてないか、これ。1着が貿易センタービルのあったマンハッタン。2着が死を意味しているようなデス。そして3着が飛行機を意味しているようなエア」
「考えすぎだと思うけれどなあ」
「まあ、ニューヨークのマンハッタンには早く立ち直って欲しいところだから、マンハッタンカフェの1着にはエールを送りたいね」
「しかし、荒れたよなあ、菊華賞。荒れるのは競馬の世界だけのことにして欲しい。世界情勢だけは荒れないで欲しいと思うよね」
「今年のこのコーナー、なんかいつもと違うね」


October.20,2001 秋華賞

「おい、何やってんだよ。ちょっとそのゴミ箱に入れたものを見せてみろよ。秋華賞のハズレ馬券じゃないだろうな?」
「近いけど違うなあ。春に買ったドリームジャンボ宝くじ。残念ながらハズレちゃった」
「また、そんなものやって! おまえ、いい加減に地道に稼ごうという気はないのか?」
「だって、一等3億円だぜ。買わなきゃ当たらないじゃないか」
「そんなものなあ、そうそう当たるもんじゃないの!」
「そうかなあ、結構当って家を買ったなんて人がいるって第一勧銀が言ってるよ」
「バカだなあ。そんなのもっと買わせようという胴元のPRに決まっているじゃないか! 宝くじの購入者への払い戻し率なんて半分以下だってことが分かんねえかなあ。それが一等に3億円出しちっゃたら、当たる確率なんてほとんどないということは、ちょっと考えれば分かりそうなものだよ」
「そうかなあ、100円で3億円が手に入るんだせ。競馬の万馬券出すよりも美味しいぜ」
「しょーがねえ奴だなあ。競馬の方がまだ払い戻し率がいいんだぜ。それより競馬の話だ。お前が風邪引いてこのコーナーの更新をやらないから、ずいぶんと遅くなっちまった。さあ秋華賞だ。やはり固かったなあ。一番人気テイエムオーシャン、二番人気ローズバド、三番人気レディパステルと人気通りの着順で決まったものなあ。で、お前は取ったんだろうな、こんな簡単な競馬。馬券見せてみな!」
「これ」



「なにぃ、14番からのワイドだってえ? 14番の馬って何だったっけ?」
「ドリームカムカム」
「ドリームカムカム? 18頭だて五番人気で12着。まったくいいとこなしだったやつな」
「このところ上り調子で、いけると思ったんだけどなあ。第一名前がいいじゃない。夢がカムカム」
「このう、お前の話を聞いていると、ドリームカムカムじゃなくてドリームムカムカしてきたなあ! そのハズレ馬券も、さっさとゴミ箱に捨てちまいな!」
「そんなこと言うなよ。人間、夢を捨てたらおしまいだよ」
「・・・・・・・・・・」


October.13,2001 スプリンターズS

「さあ、いよいよ秋のG1の開幕だ。今度こそ大儲けするぞー!」
「おいおい、今年の春のG1なんて、お前大損だったじゃないか! もういいかげんに止めろよ。こんなコーナー読んでいる人なんていやしないんだから」
「そんなこと言うなよ。情報では、お前との漫才を楽しみにしている人がいるって言うぜ」
「このおー! オレは漫才やっているつもりはないからな!」
「まあ、そんなこと言わずに付き合ってくれよ」
「・・・・・・・・・・あのなあ、世の中、今どうなっているか分かってるのかあ? アメリカ同時多発テロ。そして、ついにアフガニスタンでは報復空爆が始まってしまったんだぞ! お前のバカな競馬話に付き合ってられるかよ!」
「憂慮すべき世界情勢のことは分かってるさ。だからまずスプリンターズSには、世界平和の祈りを込めたんだ」
「何言ってるんださっぱり分かんねえよ! で、何買ったんだ?」
「これ」


「ジョンカラノテガミの単勝だとお! 12頭だての10番人気。こんなのの単勝買うか、普通! おまえ、まだ大穴狙いが治ってないな!? このレースはどう考えたってゼンノエルシド、ダイタクヤマト、メジロダーリング、トロットスターの4頭の闘いだろう。他はいらないって! 現に1着がトロットスター、2着がメジロダーリング。割と硬く決まったじゃないか!」
「ジョンカラノテガミは4コーナーまで最後尾。その上、右回りはヘタクソなのかなあ、不器用な回り方してたね。ところが直線に入ってグーッと伸びてきて・・・」
「5着じゃないか」
「惜しかったなあ。ほとんど並んでたもんなあ。もう少し距離があれば前の4頭抜いていたかも知れない」
「そりゃあ、結果論だよ。それにしても何だってこんな馬の単勝を買ったんだ?」
「ジョンカラノテガミ。ジョンからの手紙。天国のジョン・レノンがメッセージを送っているように思ったんだよ。―――想像してごらん 天国なんてないだと そんなに難しいことじゃない 殺したり死んだりする理由もなく 宗教さえもない・・・・・・・ ジョンの名曲『イマジン』 みんなに思い出して欲しいんだよ。ジョンカラノテガミが優勝すれば、奇跡が起きて戦争が終わるような気がしたんだ。そんな願いを込めた馬券だったんだけどねえ」
「なんだか今シーズンはシンミリしたオープニングになったなあ」


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