このコーナーは、秋の中央競馬G1レース10回に、1レース1000円だけ賭けていこうというセコイ企画です。どちらかというと最近は真面目に賭けているというよりは、競馬をネタにした漫才のようなものになってきてしまいました。真の競馬ファンの皆様、怒らないでね。


January.3,2004 有馬記念



「おおっ! シンボリクリスエスの単勝。ズバリだな」
「某スポーツ紙では、12番枠の馬は優勝できる確率が低いなんて書かれていたけど、見事に打ち砕いたな」
「4コーナーを回ってからの末脚は何? 2着のリンカーンをぶっちぎっちゃった。あれで引退は惜しいよなあ。まだ4歳だぜ」
「いいよなあ、たった4年で引退、隠居生活なんて。年金貰えるのかなあ」
「バカ!」
「こっちは引退なんて、まだまだ先の話だもんなあ。それまでに金稼いどきゃなきゃ」
「そうそう、しっかり働けよ」
「いや、競馬で稼ぐんだ」
「何言ってんだよ。ぜんぜん儲かってないじゃないか」
「シンボリクリスエスは一番人気馬だから、260円しかつかなかったけどな、一応配当はあったぜ」
「とすると、秋のG1は、エリザベス女王杯でのタイガーテイルの複勝9100円と、有馬記念の2600円で、11800円。勝ち越しじゃないか!」
「2勝8敗。それでも1800円の勝ち越しさ。それにしてもさあ、先の某スポーツ紙だけどさあ、顔相占いなんての載せてたぜ。それによると、シンボリクリスエス、『あまり頭は良くなさそうだが、骨格がしっかりしており実に力強い』だって。[頭は良くなさそう]はないよなあ」
「お前と同じだよ。頭は良くないけど、なぜか勝ち越しなんだよなあ」


December.27.2003 朝日杯フューチュリティS

「さあ、あと2レースで秋のG1も終わりだ。取れたのか? 元気ないところみるとダメだったんだろう」
「いかんなあ」



「13番人気マイネルゼストの複勝。はい、残念でした。8着ね」
「先行逃げ切り型の1番人気メイショウボーラーに付いていって、末脚勝負とみたんだけど、仕掛けが遅すぎるよ。ふう」
「おいおい、元気出せよ。秋のG1だって、あと1レース、有馬記念が残っているじゃないか」
「ああ、でも今まで、有馬記念って1回も取れた試しがないんだよねえ」
「マイネルゼストのゼストって、どういう意味か知ってるのか?」
「知らねえ」
「ゼストってのはな、熱意、強い興味といった意味だ。がんばれよ」
「ふうん、そうなのかあ。熱意ねえ。ここんとこ、プライベートでいろいろあってねえ。こっちはマイネルゼストじゃなくて、まいるねゼスト」
「おいおい、それがオチかよ」
「勘弁してくれ。オチ込んでいるんだ」
「それもオチかあ!」


December.19,2003 阪神ジュベナイルF

「いよいよ、残り3レースだな。本当に元が取れるのかよ。阪神ジュベナイルフィーリーズは何を買ったんだ?」
「2歳馬なんてわかんないもんなあ。4番人気のマチカネエンジイロの複勝というのを買ってみたんだけどね。わからない時は、武豊騎乗馬」



「8着ね。そういえば、マチカネを冠名に持つ馬っているよな。マチカネタンホイザーとか、マチカネフクキタルとか、生まれた年によってテーマがあって、タンホイザーの年には歌劇やら、文学から名前を取っていたし、フクキタルの年には、ことわざから持ってきていたらしい」
「今年は色別なのかなあ?」
「エンジイロか? 黒味を帯びた赤。9100円まで来たお前の今の状況を象徴しているようだな」
「今年はマチカネじゃなくて、ヤマニン軍団の勝利だったな。1着が6番人気のヤマニンシュクル。2着が10番人気のヤマニンアルシオンだもんな」
「ヤマニンシュクルが16番、ヤマニンアルシオンが17番。外枠の馬が勝っちっゃたんだよね」
「3着も15番のコンコルディア(12番人気)。荒れたよなあ」
「この3連複買ってれば、なんと376760円だぜ」
「15、16、17番。みーんな外枠並び。♪15、16、17と 私の人生暗かった・・・」
「お前の十番勝負も暗くなってきたなあ」


December.10,2003 ジャパンカップ

「ほら、お前に頼まれた馬券、買っておいてやったぞ。案の定、ハズレだけどな」



「ジャパンカップの日は朝から大掃除で忙しくてな。代わりに買いに行ってくれてありがとう。1番人気シンボリクリスエスの単勝。いけると思ってたんだけどなあ。来れば3倍見当にはなったし・・・。結局3着。複勝にしておけばよかったかなあ」
「バカ言え、シンボリクリスエスの複勝は110円だったぞ。1100円じゃあ、元が取れただけじゃないか」
「エリザベス女王杯でタイガーテイル複勝9100円の払い戻しがあったから、ここで1100円入れば、合計10200円。今回の秋のG1は逃げ切りになったはずなんだ」
「せこいやつだなあ。逃げ切りといえば、優勝したのはタップダンスシチー。他にこれといった先行馬がいなかったとはいえ、一人旅で先行逃げ切り。驚いたよなあ。他の馬が追い込みをかけても9馬身差のブッチギリだったものなあ」
「今年のジャパンカップは、外国勢がだらしなかったよな。5着までぜーんぶ日本の馬が占めちゃったし」
「お前のことだから、エリザベス女王杯で儲けたから、またタイガーテイルの複勝を買うのかと思ってたよ」
「残念でした。いかになんでもここでは無理だと思ったから買わなかったよ。柳の下にドジョウは2匹いない。椰子の木の下に虎は2匹いない」
「ちびくろサンボでは、虎は4匹。ところで、立て替えておいた1000円、払ってもらおうか」
「すまん、今、金、無いんだ。今度払うから」
「おーい、ちょっと待てー! くそう、こういうときは逃げ足の早いやつだ。あっという間に9馬身。
「9馬身だって? 金無くてさ、とりあえず急場、しんのばせておくれな」


December.4,2003 マイルチャンピオンS



「サイドワインダーの単勝ね。伸びなかったなあ。いい位置に付けてたんだけど直線で失速。8着というのは信じられない」
「空対空ミサイル、サイドワインダー。その名の通り典型的な差し馬だと思うんだけど、敵機に届かなかった」
「サイドワインダーは本来はガラガラヘビのこと。ジャズ・トランペッターのリー・モーガンにも『サイドワインダー』っていう名曲がある。さては、最近このコーナーのために何かオチがつけられるような名前の馬を捜して買ったな」
「めっそうもない。サイドワインダーは、1番人気の馬だよ。可能性大でしょ」
「本当かなあ。まっ、どっちにしろハズレ馬券なんだから捨ててしまおう」
「ちょっと待て。勝手に捨てるなよ。それはワイのだから」
「何? 今、なんで大阪弁らしきものが入ったんだ? もう一度言ってみろ」
「勝手に捨てるな。ワイんだあ」
「なっ、何!?」
「再度言うぞ、ワイんだあ。再度ワインダー。サイドワインダー」
「それがやりたかったのか!!」


November.24,2003 エリザベス女王杯

「結局、秋華賞の1、2着が今回もそのままで決着したという感じだなあ。秋華賞1着のスティルインラブが今回2着。同じく2着のアドマイアグルーブが今回1着。それも鼻差。やっぱりこの2頭が強いんだなあ。人気だって1、2番人気で決まったわけだし、馬連で530円。これなら取れたろう」
「取ったよ。でも、ちょっと違うんだなあ」
「えっ!」
「ほら、これ」



「タイガーテイルの複勝。粘って3着に入ったフランスの馬かあ。ちょっと待てよ。タイガーテイルは15頭立ての今回のレースで10番人気・・・・・おおっ、複勝で910円ついたのかあ。1000円で9100円!」
「これで、どうやら秋のG1は黒字になりそうな感じになってきたな」
「もう一回何か取れたらな。しかし、何だってタイガーテイルの複勝なんて買ってたんだ?」
「そりゃあ、今年は阪神タイガースがリーグ優勝だもん。日本シリーズではダイエーホークスに負けたから、まあ複勝がいいとこかなってとこで、タイガーテイル。尻尾をつかんでおいて正解だったろ」
「おい、お前、あいかわらず、そんな買い方を!」
「いいじゃない。取れたんだからさ。それよりも、ボクがこの馬券を持っているところを記念写真として撮りたいんだけど、カメラのシャッターを押してくれないか?」
「しょーがねえなあ。はいよ」
「バター」
「何、しょーもないギャグかましてるんだよ。それは『男はつらいよ』で笠智衆が記念写真を撮るシーンでチーズとバターを間違えたという、有名な使い古されたギャグじゃねえか」
「いいの、いいの。『ちびくろサンボ』っていう童話知らないの?」
「ええっ!」
「4匹の虎がお互いの尻尾を噛んで、椰子の木の周りをグルグル回っているうちに、バターになっちゃったというのがラスト。だから、タイガーテイルで、バター!」


November.23,2003 天皇賞



「ああっ! こいつだこいつ! 先行逃げ切りなんて無謀なこと考えたらしくて、1000メートル通過56秒9は明らかに飛ばしすぎだろうが。いかに4コーナーまで、ぶっちぎりのトップを走っていたって、このペースは無茶だよ」
「ああ、オレも、このままゴールに行っちゃったら面白いだろうなあと思って見ていたんだけど、そうは甘くなかったなあ。失速して、あとから来た馬にどんどん抜かれちゃったもんなあ」
「結局13着だろ。惨敗と言っていいね」
「2番人気馬の単勝。いけると思ったのになあ。フランス遠征帰りで、成長したって聞いていたしさ」
「なんで、フランス遠征だったんだろう?」
「さあ・・・・・。どういう意味?」
「ローエングリンといえば、ドイツの作曲家ワグナーのオペラだろう。中世を舞台にした謎の騎士の物語」
「ああ、あの4時間もかかる超大作! 最初から飛ばしたら疲れちゃうわけだ」


November.7,2003 菊花賞

「何観てんだよ? DVDか?」
「あっ、これ? 『オレたちひょうきん族』のDVD。懐かしいだろ? ビートたけし、明石家さんま、片岡鶴太郎、山田邦子、コント赤信号、ヒップアップ、みんな若いなあ。たけしのタケちゃんマンに、明石家さんまのブラックデビルの可笑しな対決、毎週観ていたものだよ」
「そんなのはどうでもいいの! ここは競馬のコーナーなんだからさ、早いとこ菊花賞の馬券を見せろよ」
「もう、そんなのどうでもいいじゃない。はい、これ。こんなのより『オレたちひょうきん族』のタケちゃんマンの方が面白いのに」



「3番人気のサクラプレジデントの単勝だと? ぜんぜんいいとこ無しの9着だったな。なにせ4コーナーで最後方。まるで走る気が無い感じだったよな」
「どうも右回りが苦手らしいなんて、あとから聞かされてもなあ。このレース、1番人気がネオユニヴァースで、騎手がデムーロ、2番人気がゼンノロブロイで、騎手がペリエ。このふたりで決まっちゃ、菊花賞が泣くからさ。何せ菊は日本の国花。もうひとつの国花である桜が向かえ撃つたなきゃ。それでサクラプレジデントにしたんだけど、この日本のプレジデント、さっぱりだった。名騎手タケ(武豊)といえども、あの馬の状態じゃあなあ」
「1着が5番人気ザッツザプレンティ、2着は何と4番人気リンカーン! アメリカの昔のプレジデントにも負けちゃったな。ところで、『オレたちひょうきん族』といえば、今、JRA(日本中央競馬会)のG1レースのテレビCM、明石家さんまと武豊の対談シリーズなんだよな」
「なっ、何!? タケとさんま? タケちゃんマンとブラックデビルじゃ、折り合いがつかないわけだ」 


October.26,2003 秋花賞

「やっぱりサンデーサイレンス産駒は強いなあ。一着になったスティルインラブも二着になったアドマイヤグルーブもサンデーサイレンス産駒だもんなあ。下馬評でもこの二頭は他を引き離しての人気だったから、この二頭の馬連にすれば濡れ手で粟。これで450円はいい配当だろう。これは取れたろう?」
「・・・・・・・・・・」



「なっ、なんだこりゃあ! 5番人気ベストアルパムの単勝だってえ! この馬、結局18頭だてのこのレースで17着だろうが!」
「ベストアルバムだぜ。いい曲ばっかりセレクトしたアルバムだぜ。これは買いだろうが!」
「そういう問題じゃない!」
「おっかしいなあ、なんで取れなかったんだろう」
「サンデーサイレンス産駒軍団に負けたってことだよ」
「サイレンス・・・・・そうか、それでベストアルバムなのに音が鳴らなかった」


October.13,2003 スプリンターズS

「ついこの間、春のG1が終わってホッとしたと思ったら、もう秋のG1シリーズ開幕かよ。またおまえと付き合うのかと思うとうんざりだなあ」
「そう言わずに付き合ってくれよ」
「とか言って、最近おまえ、珍しく忙しいんだってそうじゃないか?」
「ああ、金が儲かっているわけじゃないのだけど、身辺が慌しくてな。仕事が増えたのと、プロードバンドを光ファイバーにした上に、パソコンを買い換えたんで、まあ、いろいろとな」
「そんな状態じゃ、競馬どころじゃないだろ? スプリンターズ・ステークスを買っている余裕は無かっただろ」
「へへへへへ。ちゃんと買ったもんね。新しいパソコン代をなんとか競馬で稼がなきゃな」
「バカ! で、スプリンターズ・ステークスは何を買ったんだ?」
「これ」



「テンシノキセキの単勝? 4番人気だったなあ。でも着順は5着・・・」
「先行策が裏目だったかなあ。4コーナーまではハナを切っていたんだけどなあ。ほかの馬に差し切られた。天使の奇跡は無かったかあ」
「で、結局1着になったのが、5番人気のデュランダル」
「いやな予感がしたんだよ。デュランダル騎乗の池添騎手の勝負服が黄色に黒のストライプ。馬も同じ柄のマスクをしていた。これって今年の奇跡の優勝阪神タイガース・カラーじゃん。そうとわかっていたら、デュランダルの単勝を買ってたのになあ」
「ところでおまえ、デュランダルって何のことか知っているのか?」
「さあ・・・」
「中世のヨーロッパにローランという騎士がいたのさ。その英雄が持っていた剣がデュランダル。斬れ味鋭い、岩をも砕く剣だったという伝説だ」
「うーん、テンシノキセキもデュランダルに斬られたというわけか」
「しかもだ、よく聞けよ。ローランはこのデュランダルを天使から貰ったということなんだよ」
「うわああああ、テンシノキセキは、スプリンターズステークスをデュランダルにあげちゃったんだあ!」


このコーナーの表紙に戻る

ふりだしに戻る