このコーナーは、中央競馬G1レースに1000円ずつ賭けていこうというものです。私はそれほど競馬に詳しくもなく、またそれほど夢中になっているわけでもありません。競馬というものを使ってお笑いができないかという趣旨で掲載しているものです。競馬に真剣に取り組まれている方にはごめんなさい。

March.17,2009 有馬記念

「おい、何やってんだよ。もう3月も後半じゃないか。去年の暮のレースを今頃かよ。春のG1もすでに始まっているんだぞ」
「な〜んか気が向かなくてなあ。それにどうせ外れちゃったし」
「まあそう言わずに、どんな馬券を買ったのか見せてみろよ」
「ああ」

「13は1番人気のダイワスカーレット。8が3番人気のスクリーンヒーロー。ダイワスカーレットは1着だったけれど、スクリーンヒーローは5着。2着はアドマイアモナークは14番人気だったから、当った人はそういなかったろうなあ」
「だって、有馬記念のポスター見てみろよ」

「これがどうたっていうんだ」
「バックはスカーレット色。それに佐藤浩市というスクリーンヒーロー。これは絶対だと思うじゃないか」
「だから、そんな買い方じゃ、そううまくはいかないんだって!」
「アドマイアモナークとはなあ。おれも泣ーくよ」
「それでも今期は勝ち越しだからいいじゃないか」
「そうだな。じゃあ気を取り直して、今年も春のG1始めようか」
「なんだよ、まだやる気なのかよ。おれも泣ーくよ」


January.31,2009 朝日フューチュリティ

「4番人気シェーンヴォルトの単勝。残念ながら8着だ」
「ううう、丸損かあ。金返してくれ〜! シェーン! カムバーック!」
「あのな、『シェーン』のラストシーン、実はシェーンは死んでいたという説があるのを知ってるか?」
「ええっ! 本当かい?」
「やはり映画『交渉人』の中で語られているんだけどな。シェーンはラストの決闘で撃たれているんだ。そしてラストでシェーンがいる場所は墓地。これはシェーンの死を暗示しているというんだな」
「墓地! どうりでこっちはボウズだ」
「儲けたのはJRA。坊主丸儲け」


January.19,2009 阪神ジュベナイルF

「5番人気ワンカラット、12着だ」
「ワンカラット、キラリと光るダイヤモンドだと思ったんだがな。財布の方がカラッと」
「しょーもないこと言ってるんじゃない。やっぱり1番人気のブエナビスタが1着。鉄板のレースだったな」
「ブエナビスタって映画の配給会社じゃないのか?」
「プエナビスタ・ソシアル・クラブってキューバのバンドもあったけど、スペイン語で[絶景]という意味だ」
「絶景っていえば、歌舞伎で『絶景かな、絶景かな』ってのがあるだろ」
「ああ、『桜門五三桐』で石川五右衛門が言う台詞だな」
「石川五右衛門! お〜い、オレの金返せよ、ブエナビスタと大泥棒!」


January.1,2009 ジャパンカップダート

「ティンカップチャリスの単勝。残念だな13着」
「なんで、今年の外国馬ってこんなに弱いの? ジャパンカップに続いて外国馬一頭も掲示板に載らないじゃないか」
「お前こそ、なんでそんなに外国馬に固執するんだ」
「ティンカップなんて馬がいたら買うだろ」
「なんで?」
「ケビン・コスナーの『ティンカップ』知らないのか?」
「なんだそれ?」
「挫折したプロゴルファーが、再び全米オープンに挑戦する感動の映画だよ」
「お前、そんなのばっかりな」
「ティンカップチャリスは、優勝できなかったか、ああ」
「それをいったら、このレースで優勝したカネヒキリだよ。3年まえのジャパンカップダートで優勝して、翌年フェブラリーSを勝って、世界に挑戦したまではいいんだけど、故障続きで、もう引退かと言われていたのが、今回の大復活。カネヒキリの方が感動的だろ」
「う〜ん、そういわれると返す言葉がない」
「なっ、わかったろ。競馬は駄洒落じゃないんだ。本当のドラマなんだ。返す言葉がないのは当然さ」
「でも、カネヒキリにはカネ返して欲しい」


December.25,2008 ジャパンカップ

「11番人気パープルムーンの複勝。9着。ハズレだな」
「それにしても外国馬、弱いなあ。以前には考えられなかったことだよ。このパープルムーンが外国馬では一番いい成績なんてなあ。これからは外国馬はみんな消しだな」
「でも、何でパープルムーンなんだ?」
「パープルムーンのお父さんの名前がガリレオって言うので、ちょっと引かれたってところかな」
「ガリレオ?」
「ああ、テレビの推理ドラマさ。名探偵ガリレオこと湯川教授が出てくる」
「知ってるよ。ガリレオの名文句が『全ての事象には理由がある』ってやつ」
「パープルムーンが勝てなかったのには、どんな理由があるんだ?」
「他の馬が強かったってことだけだろ!」


December.8,2008 マイルチャンピオンS

「おいおい、ほんとかよ! ブルーメンブラットの単勝。ズバリじゃないか。4番人気。単勝は1060円」
「払い戻し10600円で。今期払い戻し合計15600円。黒字決定だ」
「今年の春、去年の秋も黒字だったから、これで三期連続黒字とは信じられないなあ」
「春のヴィクトリアマイルでブルーメンブラットが3着に入って、これを取らせてもらえたから、マイル戦勝負ならいけるかなあと思って買ったんだけど、こうもうまく取れるとは思わなかったよ」
「ああ、ブルーメンブラットはドイツ語で[花びら]という意味という意味で、ヴィクトリアマイルのポスターに薔薇の花が写っていたとかってことで買ったんだったんだよな」
「というわけで、今回もポスターはオレの勝ちを予想していたかのように、ガッポーズ」

「小池徹平とお前とじゃ大違いだけどな」
「実は小池徹平、ブルーの服を着てるだろ。それでブルーメンブラットを買ったっていうのが本音なんだけどね」
「ふう〜、なんだやっぱりそんなことか」


December.1,2008 エリザベス女王杯

「1着が4番人気のリトルアマポーラ。やや荒れたレースだったけど、お前は何を買ってたんだ?」
「女王といえば当然でしょ」

「1番人気だったけど、リトロアマポーラに一馬身半の差をつけられて敗退。単勝はハズレたな」
「う〜ん、エリザベス女王杯は鬼門なのかもなあ。一昨年のエリザベス女王杯のときもカワカミプリンセスを買ってて1着に入って大喜びしたと思ったら、4コーナーで斜行したとかで12着の降着させられたしなあ」
「あのレースからだよ、カワカミプリンセスが勝てなくなったのは。それまでずーっと1着で勝ち抜いてきていたのに」
「カワカミプリンセス、いい馬だと思ってたんだけどなあ。ところでアマポーラって何?」
「スペイン語でひなげし」
「ひなげし?」
「英語だとポニー。フランス語でコクリコ」
「ひなげしというと、アグネス・チャンの『ひなげしの花』を思い出すなあ」
「ああ、デビュー曲だな」
「♪おっかの上 ひなげしーのはーなで〜 恋の花占いをする少女の歌」
「おっさんが歌うのには、あまりにもみっともないぞ。気持ち悪いからやめろよ」
「ひなげしって花びらの数、少ないんだな。こんなんで花占いするかなあ、普通。♪来る来ない帰らない帰る〜」
「おい! 気持ち悪いから歌うなって言ってるだろ!」
「ひなげしで花占いやってみればよかったなあ。5枚の花びらだったら[来る]だったろうに。♪あーいーのー おもおいーわーむーねーにー あふれそうよ」
「だから、おっさんが歌うなって! チャンとしろ」
「そ、それってアグネス・チャンっていう洒落?」


November.16,2008 天皇賞

「順当だったなあ。人気どおりの1着2着3着。それにしても、1着2着が牝馬とはなあ」
「ポスター見ろよ。蒼井優だ。天皇賞は牝馬で決まると思っていたよ」
「ほお〜、じゃあ、ウォッカの単勝勝負だったのか?」
「う〜ん、ちょっと違ったんだ」

「2着に入ったダイワスカーレットの複勝? これじゃあ配当130円。1300円じゃないか」
「う〜ん。単勝勝負とも思ったんだけどさあ。もし1着に入らなかったらパーだし。スカーレットだけに赤字はいやだしなあ。菊花賞でようやく黒になったんだもの。これで4レースで5000円。黒字を維持してるだろ」
「守りに入ったか?」
「いいじゃん。自分の金なんだもん。ダイワスカーレットは3着までに入るのは確実だったからさ。ダイワ小を兼ねる。複勝でも充分」


November.9,2008 菊花賞

「大荒れだった秋華賞に較べると、菊花賞は2着以下にやや波乱があったけども1番人気のオウケンブルースリが1着。文句ない勝ち方だったな」
「ああ、当然だろうな」

「単勝370円。払い戻し3700円。3レースやって、ようやく取り返したというところか」
「なにしろ名前がブルース・リー。強いに決まってるじゃん」
「お前、『燃えよドラゴン』好きだったものなあ。今までに何回観た?」
「封切りのときに3回観て、そのあと名画座で何回か。テレビ放映があるとまた観てたし。さすがにビデオまでは買わなかったけどさ」
「だからってオウケンブルースリかよ」
「直感かなあ。『燃えよドラゴン』でのブルース・リーの台詞、憶えているか? Don’t Think. Feel. 競馬なんて考えたってだめ。感じなきゃ」
「お前は何も考えてないだろ!」


November.1,2008 秋華賞

「荒れたなあ。1着が11番人気のブラックエンブレム、2着が8番人気のムードインディゴ、3着が16番人気のプロヴィナージュ、4着が13番人気のブライティアパルス。1番人気のトールポピーは10着、2番人気のレジネッタは8着って、なんだったんだ、このレース」
「ポスターにも書いてあるように、女心と秋の空ってね。3歳牝馬なんて、走らせてみないとわからないってことだよね」
「で、お前は何を買ったんだ」
「これ」

「4番人気オディールの単勝。9着。人気馬がみんな外枠で苦戦していた中でもオディールは18番、最も外っ側。不運だったことも影響したかなあ」
「オディールのお父さんはクロフネ。グラビア界の黒船リア・ディゾンの結婚・妊娠会見があったばかりだから、これっきゃないと思っていたんだけどなあ」
「オディールって何のことかわかっているか? 『白鳥の湖』に出てくる黒鳥だぞ」
「そのくらい知ってるさ。オレはバレリーナを目指してたくらいだから」
「うそつけ!」
「それも先日、足の親指を骨折したためにバレリーナ生命を断念せざるを得なかったんだけどね」
「バカ!」


October.12,2008 スプリンターズS

「お前、7月に左足を骨折したんだって?」
「ああ」
「なんで骨折なんて」
「寝ぼけて階段で足を踏み外してさ。医者行ったら、くるぶしと親指が折れてるって」
「仕事はどうしたんだ?」
「したよ。ギブスしたまま。腕だったらアウトだったけど、足だから、オレの仕事はなんとかなったんだ」
「競走馬だったら、下手すると安楽死だぜ。もういいのか?」
「ああ。ちょっとぎこちないけど一応歩けるようになった。走るのはまだちょっと無理だけど。馬券もちゃんと買いに行けるようになったよ」
「いっそのこと、G1シーズンに骨折してりゃあよかったのに。そうすればお前なんかとこんなコーナーを続けなくてもよかったものを」
「そういうなよ」
「しょーがねえなあ。スプリンターズSは何を買ったんだ?」
「これ」

「キンシャサノキセキの単勝。残念だな、2着だ。2番人気な。1着は1番人気のスリープレスナイト。まずは順当だったってことだ」
「あのさ、キンシャサノキセキって言いにくくない? オレ、早口で言うとキンチャチャノキセキになっちゃう。アナウンサーがゴール前でキンシャサノキセキって連呼して舌噛まないかなあと思ってたんだけど、さすがにプロはすごいね。ちゃんとキンシャサノキセキって発音してた」
「当たり前だろ」
「それにしてもゴール前凄かったな。スリープレスナイトにあと少しだった」
「一馬身は離されていたぞ。それよりも3着に入ったビービーガルダンとは首差。もう少しで3着になるところだった」
「うん、僅差差の奇跡」
「お前、それが言いたかったんだろ。キンシャサの奇跡って何のことかわかっているのか? モハメド・アリが大方の予想で圧倒的優位のジョージ・フォアマンにKO勝ちした試合だ」
「ああ、あの試合はテレビで観た記憶がある。確かアフリカでやったんだよな」
「ザイール。今のコンゴ」
「まっ、今回ははずれたけれど、コンゴに期待してください」
「そんなんばっかな。それより下のポスターの写真、上の方が切れてるぞ」
「僅差差で切れてしまった」


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