学生気分



リクルートスーツに身を包んだ学生がオフィス街を歩く頃になると、遠い昔(笑)就職活動で企業訪問していたときのことを思い出す。就職活動をやった人なら誰でも経験があると思うが、会社訪問で応対してくれる社員の5人に1人くらいの割合で「社会人になったら学生気分をなくさないとやっていけないよ。」などとしたり顔で言う奴がいる。特に入社して2〜3年の若い社員にそういう奴が多い。おそらく先輩風を吹かしたくて偉そうに語ってるんだろうが、大体俺は学生気分という言葉がよくわからない。「気分」なんて言ってるわけだから技術的な話をしているのではないだろう。人間関係や礼儀作法、仕事に取り組む心構えのことを言ってるに違いない。

ということは、こいつは自分の生まれてから就職するまで20数年間の社会経験は、就職したら企業では通用しなかった。という事を俺に告白しているのだろうか。

それってかなり恥ずべき事じゃないのか?自らの人生を否定しちゃっていいのか?きっと小学校の頃からずっと遅刻の常習犯で、宿題だってやらないろくでなしだったに違いない。高校や大学の体育会で厳しい上下関係を教えられたこともないし、アルバイトでお金を稼いで生活したこともないわけだ。よっぽど箱入り息子だったんだろうなあ。あるいは、責任感がなくてもいいバイトだったのか?友達にも信用なかったんだろうなあ。そもそも学生気分って何よ。学生は社会で生活していないのか。

少なくとも俺は、「気分」などという極めて情緒的な面では就職しても全く違和感がなかった。「学生気分」なんて言葉はまともな「学生」に失礼だぜ。てめえと一緒にするな。「だらしない自分が学生だった頃の気分」と言え。大体、自分がいつも上司から言われていることをそのまま言ってるだけだろう。俺なんかそんなことをほざく奴は「こいつは俺のライバルじゃねえ」となめちゃうね。

常々言っていることだが、ネットの世界だっておんなじだ。ネット上のコミュニケーションは難しいなんて言う奴がいる。俺に言わせりゃ「学生気分」と同じ類の話だ。実社会の常識と、誤解を招かない文章力があればネットでは通用する。文章力があれば苦労しないって?そんな奴の企画書は通らないんじゃないの。ネチケットなんて業界用語の一種だぜ。別に人生訓でもなんでもねえ。

(9th Jun,2001)


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