海峡



関門海峡に行ってきた。言わずと知れた下関(本州)と門司(九州)の間に横たわる海峡だ。実は俺はこういうのに弱い。つまり「この海を挟んだ向こうは、もう本州だよ」とかの、ちょっと大きめスケールの話に感慨を覚えてしまうわけだ。

名前は忘れたが、奄美大島の北端の岬に行ったときも「目の前に広がる海の、左側は東シナ海で、右側は太平洋だよ」などと言われて「ほほう」と感動してしまった。

残念ながら経験はないが、津軽海峡でも同じような感覚を味わうだろうし、北海道に行って「これがオホーツク海だよ」などと言われたら身体が震えるかもしれない。こういう感覚はきっと俺だけではないはずだ。赤道をまたいで立って、北半球と南半球を踏んだ状態で記念写真を撮るという話はよく聞くじゃないか。

ただ俺の場合は「海」がポイントなんだ。そりゃ確かに、いざ赤道に立ったらどうなるかはわからないが、それでも地続きのポイントよりは「海で隔てられている」という感覚の方が感慨があるに違いないと思っている。なんていうか、こう、「届かない」という事に切なさと大きさを感じないか。だって、気がついたら神奈川県に入ってましたってのは締まりがないだろ。

それやこれやで、次なる感動を求めて俺はまた海に向かうのだ。

(11th May, 2002)


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