「日本代表3年8ヶ月の準備」について(講演内容)

投稿者名: いいとしのグリフ
投稿日時: 2003/02/11(Tue) AM 4:15
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田嶋氏の講演は
「横浜から世界に通用する選手の正しい育成方法」というたいそうな題名だったが、
この講演の核となっていたのは途中にスライドで出てきた
「日本代表3年8ヶ月の準備」
と題されたおそらくカンファレンスでの講演内容であろうと予想された。

そして実はこの内容は言い換えると、
「トルシエとの3年8ヶ月で日本は何を得たか」
になる。というのはそこにはトルシエ以外がもたらしたものは入ってなかったから。

しかし、田嶋氏の講演の全体の結論としては、
「すべての成果のベースになっているのはナショナルトレセンを初めとして育成に力を
注いできた結果であり、今後はグローバルスタンダードを中心にさらに裾野を拡大していく」
というのが主旨になる。今回は育成の話でもあるし、まずは妥当なところではある。

ここではその中の「日本代表3年8ヶ月の準備」についてのみ紹介する。

余計なことだが、この講演の進め方だが、MSパワーポイントとビデオを効果的に
使ったものであり、こうしたことに私は少なからず驚いた。

まず初めにコンセプトが紹介された。

基本コンセプト

1.コミュニケーションの徹底
2.ウェーブ(オフ・ザ・ボールの動き)
3.勝つための姿勢
4.コンプレックスの排除
5.環境への順応

以上5項目である。

ここではこれらを枝(スレ)にし、それぞれを紹介する。
またこのコンセプトの長い説明の中に
次の3つのキーワードが現れる。

・コンパクトネス
・3mコンセプト
・オートマティズム

よってこれらも枝に説明する。


1.コミュニケーションの徹底

投稿者名: いいとしのグリフ
投稿日時: 2003/02/11(Tue) AM 4:39
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1.コミュニケーションの徹底

・声
なんのことはない、初めは声を出しコミュニケーションをとるということだ。
アジア的な習慣(=遠慮)をたつため、年上をも含め、それぞれを
呼び捨てにさせたことなどが紹介される。(有名)
トルシエは合宿などでも選手が部屋に閉じこもらずに話し合うことを薦め(強制)る。
また食事のテーブルも同じメンバーにならないようにする。
最初は嫌々突き合わされていた選手たちがいつのまにか誰彼となく話し合うように
なったという。(こういうことが当たり前だけど大事なんすよねぇ)
トルシエはピッチ上とピッチ外は別人で、選手もそのへんはよくわかっていたらしい。
あと試合中ピッチ上で耳元で指示を与える中田(ヒデ)のビデオが流れる。
(うーん、中田は事実上キャプテンだったのか。)

・アイコンタクト
オフトと同じ。(つまりオフトが去ってしばらくすると、基本を
忘れてしまうということだろうか。へたに加茂を間にはさんだせいか。)
田嶋氏も再びアイコンタクトを教えている姿に愕然としたらしい。
「はっきり言って外国人の監督は基本を教えるのがうまい。
 その点に関して日本の監督はホントヘタ(ダメ?)です。」
と、(自分も含めて?)批判していました。

・身振り手振り
ボールが欲しい方向を手で示しながら動く。
ここでは中田(ヒデ)がパスだしの方向を相手に指示しながら動く試合のビデオが
流れました。うーん、プロでも恥ずかしがらずにやってるんだな、と納得。

ついでに、実際の説明と順番は異なるが、トルシエの言う新語
 ONの状態 / OFFの状態
を紹介する。

ONの状態:パスの出し手と受け手がアイコンタクトをかわし、パス出しの準備ができたこと。
      特に受け手が良い動きをし、DFの裏やシュートポジションなどに、鋭いねらいを
      込めて、しかも前を向いてもらうことができる状態を作りつつある場面において、
      出し手との間でパスコースが成立している状態で、まさにその瞬間のことを言う。

OFFの状態:ONの逆で受け手と出し手がコミュニケーション取れていない状態。
       特に実際にはパスコースが成立していてもどちらかが感じていない場合を言う。

2.ウェーブ(Off the ball の動き)

投稿者名: いいとしのグリフ
投稿日時: 2003/02/12(Wed) AM 1:35
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2.ウェーブ(オフ・ザ・ボールの動き)

Waveだからウエイヴと言うべきか。
はっきりいってこれに関しては私の認識は誤っていた。
私には代表合宿のニュースで柳澤がトルシエに引っ張り回されながら
ゴール前で膨らむ(下がって円弧を描く)動きを指示しているシーンの
イメージがあったのでずぅーっとFWの動きとばかり思っていた。

実はこの動きはフィールドプレーヤ全員に指示されたものである。
まず基本としてボールを持ったプレーヤに対し、もしくは持つであろう
プレーヤに対しスクエアなポジションを取る、という約束がある。
スクエアとはゴールラインに平行なライン上のポジションのことである。
つまり横に受け手が並び、ここから(逆)サイドに横パスで展開することになる。
このとき、全員がウエーブの動きをするのである。

動きとしては2mぐらい下がりながら円弧を描き横に(逆サイドに)3mぐらい
ずれるように前へ出て行く。

目的は
1)視野の確保
  下がって前へ出てもらうことにより、前を向いて全体を見ながら
  横パスを受けることができる。
2)スペースの確保
  自分がいたところから自分がいなくなり、かつ下がったことにより、
  そこにターゲットとしてまた、プレーのためとしてスペースが確保される。
3)時間の確保
  1)とも絡め、受け手が判断のための時間を確保できる。

練習方法
ロンドという練習を知っているだろうか。クライフが好きなやつだ。
中にDFをおいてボールを円陣で回す練習でDFに取られたら交代というものだが
練習の図やビデオを見て、私はこれに似ていると思った。
ロンド形式に中にDF数人を置くが、外のプレーヤはウェーブしながら回す。
DFはプレッシャーをかけるだけでむしろ回すスピードとか動きを体に覚えさすのが
目的のようだった。
代表は集まるとまずこれをやるというのが習慣になっていたらしい。
ちょっとしたスペースでもあればこれに興じていた、というぐらい
トルシエはこれを浸透させていたという。

実践
実践のビデオは、コンフェデのものだった。この場合も含め、この講演で技術例を示す題材としての試合は
ほとんどが対カメルーン戦だったと思う。そして余談だが実はこのアングルが素晴らしかった。
メインスタンド上、つまり真横上から全フィールドを映したものだったからである。
おそらく鹿島スタジアムならではのもので、サッカー専用スタジアムでなければ、
これほどの絵を作れなかったのではないだろうか。

それはともかく本題のウェーブだが、右サイドの自陣から左サイドに展開するシーンが
ビデオで映し出された。
奪取されたボールが右サイドのフリーな選手に戻される。その瞬間、逆サイドに振られると
予想したフラットな3バックが一斉にウェーブをしてボールを受けようとする。
当然ボールはウエーブする松田、森岡、中田(コ)と素早く回され(その間も受け手はウエーブする)、
中田(コ)が充分に回りを見て判断した上で、当然前に出ながらもらって、正確なかつ鋭い
ロングフィードをかますというシーンだ。
いや、あまりにもコンセプトが生かされ、ちょっとビューティフルなシーンでした。

今回の解説例はDF陣のウェーブだったが、もちろんDFに限ったことではなく、いたるところでの
ウェーブのシーンが次々と映し出されてました。

冒頭の柳澤が指導を受けていた記憶に戻ると、FWはスペース作る動きがより大事なため
大きなウェーブを描くことを言われていたのではないか、と思う。

また練習シーンの中でトルシエがボールを手に持ったままどんどん受け手を追いかけるシーンがあった。
私はこういう指導が日本には本当に大切であり(まだまだ)必要なのではないかと思っている。

Compactness

投稿者名: いいとしのグリフ
投稿日時: 2003/02/13(Thu) AM 4:26
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キーワード:コンパクトネス

コンパクトな陣形というと、90年代後半から言われている縦に狭い陣形、
つまりDFラインを高く上げて中盤を狭くした陣形をイメージすると思う。
セリエAなどでゴールキックを蹴る時にカメラが引いたアングルで映した時とか、
上空からのカメラの映像を見せてくれた時、ハーフェライン前後5mぐらいに
20人全員がいて、おおっという感じがするやつだ。
しかし今まで何気なく見ていたそのシーンがさらに進化しているという。

つまりトルシエが言うコンパクトネスとは
「上下の圧縮ばかりではなく、さらに横にも詰まっている」
ということだ。
よって全体の四角形の面積は、さらにぐっと小さくなって、その中に20人存在することになる。

なぜ、コンパクトネスになったか?はっきり理由は言っていなかった気がする。
(もちろん世界のトレンドだから、では理由にならないだろうし)
これについては私の想像になってしまうが、あとに述べるメリットからわかるように、
戦う双方のディフェンス的要求が根底にあると思われる。
とはいえ、究極的にはどういう形だとゴールしやすいか、というところまで話が進んで行くと、
なんとか自分なりにその最終目標が見えてくる。
ここではそうした結論は最終に回すこととし、コンパクトネスがもたらすものを紹介する。

まずメリットだが、くどいかもしれないがメリットは守備的事情が色濃い。

・メリット
1)プレーヤー間の距離が狭いゆえ
  ・守備的アプローチがしやすくなる。
  ・プレッシャーをかけやすい。
2)相手にスペースを与えない。また、カバーリングしやすい。
3)ボール保持者に対し、数的優位を作りやすい。ボール奪取率が高くなる。

いやぁメモを見るとこれだけ、らしい。
「まさにこれらは、体力的に劣る日本向き」とは言えるが。。。なぜ世界が。。。

デメリット
1)GKとDFの間に広いスペースができる。
2)逆サイドのスペースが、がら空き。
(一つ前のU20で一発のロングでサイドチェンジされ、そのままゴールまで持って行かれましたねぇ)
3)突破されたときフリーな選手ができる。(まぁ当たり前か)

こうして見るとわかるように、デメリットは即失点に繋がるわけだから、
非常に恐い戦法なんです。伊達や酔狂ではやっていけない。
よってこの戦法を選ぶからには、確かな足元の技術はもちろんだが、それ以上に、
このデメリット群に対し万全な対策を持っていなければいけないという。

対策
・デメリット1)〜3)共通問題への対応
  長期的に3mコンセプトを徹底的に叩き込むことにより、決定的危機をもたらさない対応力、
  または未然に防ぐ守備力がつく。
・デメリット2)対応
  一時的に3バック〜4、5バックをとる。また大きなサイドチェンジ対し、
  サイドプレーヤ(MF、DF)がしっかりアプローチする。
・デメリット3)対応
  ひとりがStoppingとして急遽止めに行き、もうひとりは必ずCoveringに入るという
  シンプルな対応を行なう。

この後、ビデオを流して3mコンセプトの説明に入るのだが、ここでは一息入れ、次回にする。


3mコンセプト

投稿者名: いいとしのグリフ
投稿日時: 2003/02/15(Sat) AM 3:28
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3mコンセプトはフランスにはあるがイングランドにはない。
なぜなら、フランスはメートル法だから。< ある映画からのもじり

キーワード: 3mコンセプト

3mコンセプトとは、DFが裏を取られそうな時、つまり前線の敵がいい飛び出しをして、
ONの状態を確立した時、一斉に3m下がって裏を守ることである。

まずDFはONの状態を感知しなければならない。(ONの状態の定義は重要)
そしてONの状態を危機的状態と認識して、次に起こることを防ぐことになる。
が、意外にもここでは直接な対応を求めておらず、まず下がりなさいと言っている。
何故か。
このことに関しては、講演では説明も少なくあっさりビデオだったので私の想像になる。
以下は私の押す理由。

1)後ろ向きの守備はしたくない。(後ろ向きだと相手が絶対優位)
2)50%以下の低い確率でパスカット勝負は危ない。(失敗したら1点)
3)相手の攻めを遅らすことを一番にし、MFの戻りが間に合うように守備をする。

など。

トルシエの考えでは、ONの状態を作った時点で攻撃側の局面での勝ちであり、
このあとに続く相手の1アクションで絶対優位な場面、たとえばGKと1対1でシュート
という場面、を作られることを予想しなければならない、としている。
よってここは被害を最小にすべく、下がってまずは前を向いて防げるようにし、
多少なりとも局面を単純化しようとする。たとえばシュートまで2アクションが
必要な状況に一旦はもっていく。そしてそのあとは、田嶋氏が言うシンプルな
ディフェンスのパターン
 「1人がStoppingをし、あとの2人はCoveringに入る」
だ。

実は講演では簡単な説明のあとすぐビデオだった。そしてビデオでは、
3mコンセプトの練習シーンを映した後、試合での実践例となったのだが、
私はこの実践例に思わず見とれてしまい、同時に行われていた田嶋氏の
説明を聞き損ったのだった。

というのもこの試合での守備の映像では解説どおりに3m下がってのディフェンスで
うまくボールを奪ったあと、ものすごく速くラインをあげたシーンが映されていたからだ。
この一斉にあがっていくスピードは私の予想を超えていた。あっという間に、
先にDFラインを突破した功労者の相手FWは、無用の邪魔物になっている。
もしかりにDFからの前線へのパスが相手にカットされたとしても、
相手が前に蹴った瞬間オフサイドになる。なるほど、いやはや、3mバックより私は、
この組織されたラインコントロールの素早い切り替えに痺れた。そして同時に
このプロフェッショナルな美しさというか洗練された鋭さに感心してしまったのだった。

そしておまけとして、このあとのシーンにはなんと髪の短い松田が真ん中のCBで登場。
「おぉ若い」という声が回りであがる。オリンピック予選の頃だろうか。
が、なんとこの松田、下がるまではよかったんだが一斉にラインをあげるシーンで
ひとりだけ3mほど遅れているではないか。
「松田は、まだ理解してませんね」
田嶋氏の一言で場内は爆笑だった。

攻撃について(オートマティズムの重要性)

投稿者名: いいとしのグリフ
投稿日時: 2003/02/18(Tue) AM 3:23
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いよいよというか、やっとというか、攻撃について。

実は田嶋氏の話は時間軸がよく飛んでいるので説明するのが難しい。
というのも、W杯総括の意をこめたフットボールカンファレンスのレポートと、
3年8ヶ月の代表の歩みとの説明が入り交じっているためで、なぜそれが
ややっこしいことになるかというと、そのレポートによってトルシエの
目指していたものが、世界的にトレンドな技術とほぼ同等として示されたからである。
(つまりトルシエはより早くグローバルな技術を(戦術を)日本に取り入れようとしたことになる)
で、まぁこの講演時点では結果論と過程の評価がどうしてもごっちゃになってしまうのだ。

と、そんなことがわかったとしても何の利益にもならないので、説明を続ける。

攻撃について、田嶋氏は第一に統計的なことを示した。
・7本以上パスをつなぐとシュートに至らない。(ことが圧倒的に多い)
・10秒以上ボールをキープしたら点にはならない。(ことが圧倒的に多い)

*( )内は私。

さらに数字が続く
・ゴールの1/4はカウンタ・アタック

1/4は結構不思議な数字で、確かセットプレーからのゴールも1/4だったと思う。
ただし、この数字をトルシエが言ったのか、実際の昨年の統計なのかは忘れました。

とにかく、これらのことからトルシエは、一番速い(早い)道でゴールへ向かうことを指示し続けたという。
(このへんが時間軸がおかしくなるところ)

そして、まず高い位置でボールを奪うためにコンパクトネスに対応する技術を身につけさせた。
高い位置でブレークできると(ブレーク=攻守の切り替え)、2、3本のパスでシュートにもって行ける。
つまりコンパクトネスは防御のため、かつ、一番効率よく攻めるための戦法なのである。

トルシエはコンパクトネスの導入に関して、
「日本は、的確に判断すること、それを実行する技術(力)については、すでに世界的なレベルにある」
と判断し(おそらくポテンシャルのことだと思う)、付け加えて

・スクエアパスの徹底
・オートマティックにスペースを作り、そこに入っていく動き

に重点を置いた。
そしてその2つを実現するものとしてオートマティズムという概念を徹底して教え込んだ。
ここでオートマティズムと言う言葉が現れてくる。

キーワード:オートマティズム

オートマティズムとは決して型にはめることではない。(いわゆる無個性化とか機械化ではない)
”スペースを作り、そこに入っていく動き”を習慣化し、自動的に無意識にプレーできるようにすることである。
よってこれに個性や状況での閃きを加えることでイマジネーションある攻撃がスピードを持って
生かされることになる。(最後の2行は私の脚色あり)

ここで田嶋氏は、
「オートマティズムはよく反対の意味として取られ、マスコミなどの
メディアを通して批判の対象とされているが、これらはオートマティズム解釈のまったくの
間違いである」
と指摘した。
(このときマスコミの皆さんがいましたらごめんなさい、と言っていた。
 このことからJFAとマスコミの関係が垣間知らされるのだった)

ここでオートマティズムの練習の要点が説明された。田嶋氏はこの練習には
だいぶ驚かされたようなことを言っていた。
で、オートマティズムの練習での特異な点だが
1)対人プレーはしない
2)動きの練習を重視
3)ボランチを起点として始める

ここで練習ビデオが映される。
その内容だが、まずボランチがボールを出すところからスタートする。
無人の相手陣で各自がいろいろな敵(ディフェンス)の動きを想定し、
フェイントしたり、ワンツーしたり、後ろに戻しサイドチェンジしたりと
ダイレクトパスを中心にボールを超素早く回しに回す。もちろん動きも非常に速い。
わざと単純にシュートまで持っていかず、各自が相手(敵)を想定し、こういう風に
ディフェンスをされたらという仮定を入れて、ちょこまかパスやフェイクをいれる、
そして、回りはうまくそれに(各自のイメージに)シンクロしてある時は受け手になり、
ある時はウエーブするなどのオフザボールの動きでスペースを作り出したりする。
そして10秒以内にそれらしいONの状態を作り出し&ラストパスを出し、GKひとりが
守るゴールにシュートを叩き込む。

いやぁこれを見たかったんだよね、私。噂に違わず「いいじゃん、これ」、と思いました。

そしてここまでで一通りの氏の技術論は終わりになり、数分間のビデオ鑑賞になった。
それは青のユニフォーム(サポータ)がぞくぞく集まる埼玉スタジアムのシーンから
始まるもので、もちろんBGMは例のアンセム、長〜くしつこく様々なサポータたちの
表情を流したあと、ベルギー戦、ロシア戦、チュニジア戦の素晴らしい攻撃シーンが
立て続けに映し出されて、ジーンとするものだった。

3.勝つための姿勢 4.コンプレックスの排除 5.環境への順応

投稿者名: いいとしのグリフ
投稿日時: 2003/02/22(Sat) PM11:56
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3.勝つための姿勢 4.コンプレックスの排除 5.環境への順応

最後の3つはまとめて。
実は、どう記憶を探っても3.4.5のテーマはどう語られてたか詳細には記憶にない。
(すんません、断片はあるんすが)
言い訳じゃないけど、なんか一塊(ひとかたまり)に説明されてた気がするんす。
ということで、とにかくここからはオリジナル色をかなり強くしながら行く。
(なんとかこのシリーズ終わらなきゃ、ほか書けないからにゃー)

え〜と、実際ここからは題見てわかるようにメンタル面での強化の話になる。

3.勝つための姿勢
誰でも知ってるように、このテーマの本質”勝ちにこだわる”を日本に植え付けようとしたのは
トルシエだけではない。そう、リッティ、ドゥンガ、ホン・ミョンボなどを初めとする、
海外からきてくれたJの助っ人たちだ。
彼らのように優秀な助っ人ほど、必ずこの精神を日本に注入してくれた。おそらく
何を置いても日本に欠けているもの が、これだからである。
だからトルシエもそれにこだわる、そして彼のしたことは、彼なりの強烈な味付けだった。

参考ビデオは、1対1の練習シーンだ。
私にとってはポピュラーなシーンで、ニュースなどでおなじみのシーン、トルシエが
ディフェンスのお手本を示すところだ。
つまり、押すわ、ユニフォームを引っ張るわ、ひじはあげるわ?、手を掴むわ、の手本。
これすべて反則である。
もちろん、オブストラクションまがいの”体入れ”は”ざら”というか基本である。
ついでに言うと、あの巨漢でスライディングすると選手は完全に前からつまり頭から
転がることもなぜかわかったりする。

なぜ、こんなことを教えるのだろうか。普通に考えると邪道だ。
すなわちこのねらいは、「世の中反則覚悟じゃなきゃ止まらない」ということだ。
よい子のみなさん、勝負とはそういうもんなんです。
(大人のみなさん、こういうことを教えなければならないトルシエの気持ちを考えると、
 辛いすねぇ。キャプテン川渕はん、あんさんは理解できますか)

4.コンプレックスの排除
5.環境への対応

これらは、同時でなければどうしても語れない。
(だろうと思う、はっきり言ってなんで分けるんだコンセプトを?田嶋さん)

まず4に関しては、選手のみんな海外へ行って、セリエでもプレミアでもリーガでも
ブンデスでも...どこでもいい、
一流どころと”その地で”やってきんさい。
そしてレギュラー争いして苦しんだり、パスをもらえなかったり、メディアにたたかれたり、
商業主義とか言われたりしながらも結果をだし、かつ、ヨーロッパの常識というか
”アウェイでやって勝ってなんぼ”の世界を知れ、ということになる。

5に関しては、
適地に入らずんば適地に慣れよ、だ。
それまで、代表は(つまりフランス98では)日本のコックを連れて、まるでホームのように
戦うことでアウェイのハンデを消すとかやってたんですねぇ、日本は。
この間のデンマークのレポート見ましたよね。つまりかつての日本はアホでした。
で、さらにアホな方は言うんでしょうね、こんどは(2002年)はホームじゃないかと。
なんでアウェイで鍛えるかと。

ぬくぬくしてたんじゃ、精神なんかひとつも鍛えられないんす。
適地でも僻地でも宇宙でもホームのような気持ちでできる図太さは、どこででも順応して
いける強さが無くては身に付かない。言葉の知らない、行ったことがなかったところに
入っても、現地に触れ、文化、環境を知ることにより、なんらかの精神的プラス面を得ることが
できる。それが必ず試合に出てくる。という考えでしょうか。
かつて西野監督も偶然だが予算が無いせいで、海外遠征ではぎりぎりの費用で、なるべく環境に
合わせて暮らしながら戦うしかなかった。それが、アトランタ世代の強さに結びついたと思う。
トルシエはさらに過激なやり方で、ナイジェリアのユースというチャンスで実践した。
これはアフリカを理解させることの他に、かつての自分の経験を知らせることや、集団で苦しんだり、
楽しんだりしながら、よりコミュニケーションを深めることなどの深〜いねらいがあったと思う。
こうした経験がどう結果を出したか。

ここんとこ日本は先制されてもなんとか追いつく試合、ひっくり返す試合が多くなった。
過去、強豪や対等ぐらいのチームに先制されると、ガンバっても何しても追いつけない
ひっくり返せないという試合をうんとこさ見せられてきた私には、非常に嬉しい変化である。
ベルギー戦でも、先制されたとたん「終わったな」と一瞬思ったぐらいだ。
あれをひっくり返して引き離す(イナの幻のゴール)なんて、あぁなんて強くなったんだろう。

こういう強さは実は4、5でメンタルを鍛えたからに違いないと思ういいとしです。


終わり

投稿者名: いいとしのグリフ
投稿日時: 2003/02/24(Mon) PM 1:20
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↑以上で「日本代表3年8ヶ月の準備」についての私からの報告は終了す。
まとめがなくてちょっと尻切れぎみだけど。

実は最初に書こうと思ったときは1,2日で片付けるつもりでして、長文一発書けばいいや、
と思って始めたんすが、約3週間もこれに関わることになってしまった。
そのうち記憶も薄れ、メモの字も何を書いてるのか判別できず、いろいろな情報が交錯し、
とまぁ結果的におしまいに行くにつれ、かなり私的な内容になってると思う。

あらためてメモを見るとまだ残っていて書き忘れた部分も少々ある。
けど、まぁカンファレンスの内容をスカパが放映してくれるというファインプレーで、
視聴者のみなさんには正確な情報が伝わることで許してくらはい。
私も、付け加えたり、訂正しなければならないと判断したことは、ここにまた、
加筆させていただくことにする。

最後にこんな貧な内容でも期待して最後まで読んでくれた方に感謝します。
特にレスをいれてくれた、shootさん、ケッツさん、vavaうさん、兄ぃ、大いに励みになりました。