メモリアル ゴール



今大会のベストゴール・・・とまではいかないが、 日本の緒戦、ベルギー戦での1点目・・・鈴木のゴール。 あれが全てだったように思う。

あれが無かったら・・・と思うと恐ろしい。

強くなったと思ってはいても、それはあくまで思い込みの世界。 ドーハのショックがあるからだろうか、 それともフランスの失望があるからだろうか。 どんなにいい試合をしていても、 どんなにボールを支配していても、不安は拭い去れなかった。 これがワールドカップで引き分けすら経験の無い国のメンタリティだろうか。 4年前も善戦したような気がしたが、終わってみれば勝ち点なし。 1勝1敗1分という根拠のない目標に踊らされた結果、 結局は3敗に終わった国の弱気だったのだろうか。

「案の定」と言うしかない、ベルギーの先制点。 日本が強くなったことは実感していながらも、 どこかで見たような光景に、忍び寄る血の凍るような恐怖とあきらめの誘惑。

でもそれを一気に振り払ったのは鈴木のゴールだった。 思い切り伸ばした彼の右足は、間違いなくゴールに一直線に伸びていた。 「執念」という言葉がありふれているのは分かっている。 でも、あのシュートをそれ以外の言葉では表現できない。

今になって考えるとベルギー戦で日本が初めての勝ち点を取ったことも ロシア戦でワールドカップ初勝利だったことも忘れている。 それくらい鈴木のゴールは日本代表とサポーターにとてつもない勇気を与えた。 あの瞬間に日本のベスト16は確定したといっても過言ではない。

あのゴール以来、日本は強豪国の仲間入りをした。

願わくば、将来そう語られるゴールであってほしい。

(3rd Jul, 2002)


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