トラップ編



そもそも、ボールってのは弾むようにできてんだよ。ぽーん、ぽーんって。それを止めようってんだから、俺にしゃべるなっていうくらい難しい。

トラップは大体2種類あって、ボールが当たる瞬間スッと足を引いて衝撃を吸収するやり方と、ボールがバウンドする瞬間の上がりっぱなを上から押さえるやり方。基本は自分が次のプレーをしやすい場所にボールを落とすこと。

おやじがいうように今はコンパクトサッカーの時代。5年位前にトヨタカップ見に行ったとき、国立競技場のコートを横に3等分したとしたら、真ん中3分の1に20人入ってた。

ということは、人口密度が高いってことで弱いパスだと敵に取られちゃう。だから、至近距離でもかなり強いパスが必要。したがって、それを止めるトラップ技術がさらに重要。今度ペルージャの選手見てごらん。パス弱いよ〜。トラップへただよ〜。

そこでフランスW杯のオーウェンのプレー。アルゼンチン戦だっけ?素晴らしいドリブルシュート!でも決め手は最初のトラップ。後ろからのパスをトラップしながら、DFをかわした。しかも次の瞬間トップスピード。一連の流れの中で(ついでに?)トラップをやっていた。

同じく、フランスW杯の日本VSクロアチアの決定的チャンス!中田からの素晴らしいパスを中山がトラップ。ボールを止めるという意味ではほぼ完璧。でも足を伸ばしてトラップした分、恐らく体重が後ろにかかり、ほんの一瞬スピードが落ちてシュートが遅れた。結果はご承知のとおり。

俺は日本と世界のサッカーの違いは、「ここ一番の」トラップだと思う。

(18th Nov,1998)


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