「ルヴァ・・・?」
日が高く昇った頃、アリオスはようやく目を覚まし、起きあがった。
その時、隣にはルヴァの姿はなかった。
ベットから起きあがり、簡単に衣服を身に纏うときょろきょろと辺りを見渡してルヴァの姿を探した。
しかし、寝室となっている部屋の中にはその姿はなかった。
「何処いったんだ?」
今日は確か休みのハズだった。
ルヴァも、アリオスも。
ルヴァがアリオスを置いて出かけることは執務以外では滅多にあり得なかった。
あったとしたらその時はちゃんと書き置きを残していくはずだった。
その書き置きさえ、部屋の中になかった。
少し心配になってアリオスは部屋を出、ルヴァの行きそうな場所へと行こうとした。
その時、
「あ〜、やっと起きたんですね。おはようございます、アリオス」
探していたルヴァが布をかぶせた割と大きな台車を引きながら部屋を後にしたばかりのアリオスにのんびりとした口調で挨拶してきた。
そんな姿を見て、アリオスは自分の起こした行動に苦笑した。
「何を笑っているんですか?」
「いや、別に何でもねーよ。それより何を持ってきたんだ?」
「ああ、これですか?え〜と、ですね〜。あ〜、部屋に戻ってからお見せします」
「そうか。じゃあ、戻るか」
はにかんだような笑みを浮かべるルヴァにそう言うとアリオスはルヴァの持ってきた台車を代わって引きはじめた。
そして、二人で部屋へと戻った。
「で、何なんだ?それは?」
部屋に戻った二人はまずかなり遅い朝食を取り始めた。
ルヴァの手料理を味わいつつもアリオスの目は先ほど部屋に運んだ台車から離れなかった。
そして、食事が終わると同時にルヴァに荷台の上に布をかけられ隠されているものが何かを問いかけた。
その言葉に食事のことで頭が一杯だったルヴァははっとして、慌てた様子で台車へと駆け寄った。
ルヴァのその行動をきょとんとした顔でアリオスは見つめた。
「あの・・・ですね・・・。これは・・・あれですよ・・・」
「あれ?」
「・・・とにかく見て下さい!」
真っ赤な顔をしてルヴァはそう言うと隠すようにかけられていた布を台車からはがした。
すると、そこから隠されていた物が姿を現した。
隠されていた物は色とりどりのラッピングされたプレゼントの山だった。
「これって・・・もしかして・・・明け方言っていたやつか?」
「はい・・・。お返しの品です・・・」
恥ずかしそうに布をぎゅっと握りしめながらルヴァはそう告げると、台車をおずおずといった感じでアリオスの処まで運んだ。
アリオスは唖然といった表情を浮かべながら座っていた椅子から立ち上がり、ルヴァが差し出してきた台車を受け止めた。
「こんなにか?」
「す、すいません・・・。あの日、あんな事言ったんですけど・・・後で考えたら私と思ってもらえるものってよく解らなくて・・・・。それで色んな人に私と思えるものを聞いて・・・・それと私自身が思い当たるものを用意したらこんなことに・・・・」
ルヴァは耳まで赤く染めながら申し訳なさそうに項垂れ、プレゼントがこんなに多くなってしまったわけをアリオスに話した。
呆れてしまうだろうか?
そんな不安を抱きながらルヴァは暫く顔を上げられずにいた。
「まったく・・・お前って・・・・」
ぼそっとアリオスが髪をガシガシと掻きながら呟いた。
その声にやっぱり呆れられたと思い、ルヴァはぎゅっと目を閉じて、身体を堅くした。
そんなルヴァにアリオスは小さく息を吐くとぎゅっと抱きしめ、頬に一つずつキスした。
柔らかな唇の感触に驚いてルヴァは目を開け、アリオスを見つめた。
「可愛すぎるんだよ。俺をこれ以上メロメロにしてどうする気なんだ」
自分を見つめてくるグレーの瞳にアリオスは幸せそうに微笑み、今度は唇にキスをした。
そして、ルヴァの不安を消し去り、微笑みを戻させた。
「アリオス・・・・」
甘さを含んだ声で名を呼び、ルヴァは自分の腕をアリオスの背へと回した。
相変わらずこういった行為をするのに慣れないルヴァが可愛いくて、愛しいとアリオスはそう思った。
健気で、不器用な恋人が殊更。
「ありがとう、ルヴァ」
愛しさを込めて、感謝を込めてそう言葉を綴った。
そして、もう一度唇を重ねた。
「大切にする。お前も、お前がくれたものも・・・・全部」
口付けた後、アリオスはルヴァの耳にそう囁いて殊更優しく抱きしめた。
その後、二人は一つずつプレゼントの箱を開けていった。
ルヴァの気持ちがぎっしり詰まった箱を・・・。
そして、その日もまた甘く熱いものになっていったのはいうまでもない・・・・。
END
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