遙かなる時空の中で3
〜夢での再会@〜


◆配役:♂1:♀2:計3名

春日望美(かすがのぞみ)♀:17才。白龍の神子に選ばれた女子高生。
CV:川上ともこ         源氏につき、平家と戦っている。
有川将臣(ありかわまさおみ)♂:17才?。望美の幼なじみであり、神子を守る八葉の一人。
CV:三木眞一郎          実は平家の将である還内府。
梶原朔(かじわらさく)♀:18才。黒龍の神子に選ばれた女性。
CV:桑島法子       景時の妹で、望美の親友。
               
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望美♀:
将臣♂:
朔♀:
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=京邸=

望美:今夜は満月だったんだ…。
    世界が違っても、お月様は同じなんだよね。
    ………………。
    いけない、いけない。
    こんなところで、湿っぽくなったって何にもならないんだから。
    ……早く寝ちゃおう。
   


=夢の中=

望美:…え??
    ここ…私の教室?もしかして…。
    私、元の世界に戻ってきたの!?
    私…私…帰ってきたんだ!


望美M:急いで学校の中を見て回った。
     教室、廊下、校庭、部室棟に講堂。
     ……すべて私の知っている、学校のまま。
     …でも、一つだけ違っていた。
     ここには誰も…誰一人いなかった。
     友達どころか、先生も、購買部のおばさんも…。
     それだけじゃない。
     ここには人の気配というものが全くなかった。


望美:ねぇっ!誰かいないの?
    譲くん、譲くんっ!
    …私一人で帰ってきたんだろうか…。
    それとも…。
    白龍、朔っ!?


望美M:何度呼びかけても、叫んでも…返事はなかった。
     声を上げるのに疲れ果てた頃、
     ようやくここが現実ではないと気づいた。


望美:学校に人がいないなんておかしいよね…。
    私だけ、また時空を越えたってわけでもなさそうだし…。
    これは夢なのかな…?

将臣:ん…?
    どうしたんだ、こんなところにいるなんて。

望美:将臣くん……?

将臣:俺の顔も忘れたのか?

望美:将臣くん……。
    よかった。無事だったんだ…。

将臣:当たり前だ。
    俺が簡単にくたばると思ってたのか。

望美:将臣くんは…強いんだね。

将臣:……何か、辛いことでもあるのか?

望美:えっ、どうして?

将臣:なんとなく、な。
    お前のことなら、ある程度はわかるんだよ。
    昔っからの仲だろ。

望美:将臣くん、凄いんだね。

将臣:そうか?誰だって、わかるもんだろ。
    俺には黙ってるだけ損だぜ。
    もうばれてるんだからな。
    話せることなら、話してみろよ。
    気持ちくらいは楽になるぜ。

望美:…うん。
    なんて言ったらいいのかな…。
    色々あって、頑張っているんだけどね…。
    全然上手くいかないんだ。
    やめたほうがいいって言われちゃったし…。
    私、だめなのかなぁ…なんて思ったりもして。

将臣:お前はだめじゃねぇだろ。

望美:ほんとに、そうかな…?
    全然、前に進んでる気がしないし自信ないよ。

将臣:それがどうした。
    深刻に考えすぎなんだよ。
    気が焦って不安ってことはそれだけちゃんと
    前に進んでるってことさ。

望美:そうなの…かな?

将臣:昔から俺はお前のことを知ってるその俺が言うんだ。
    少しは信じろ。

望美:……うん、将臣くんを信じるよ。

将臣:心もとねぇな…。
    そこは俺じゃなくて、自分を信じるって言うとこだろ。
    そういや…この夢の中なら、あるかもしれないな。

望美:あるかもしれないって…何が?

将臣:ちょっと待ってろよ…。
    よし、あったぜ。これだ。

望美:オルゴール…?
    懐中時計みたいだけど…。

将臣:俺んちの蔵で見つけたんだ。
    ちょっと古びてるが、味わいもある。
    ちょっとしたアンティークだろ。

望美:そうだね。

将臣:お前にやるよ。

望美:…え??

将臣:だから、お前にやるって。
    遠慮するなよ。
    元々、お前にやるつもりだったんだ。
    クリスマスが近かったからな。
    適当なもんを見繕ってさ、プレゼント用に持ってきてたんだ。
    俺、そういうの忘れっぽいからな。
    ま、準備してたんだよ。
    …あの日、あんなことがなきゃ、
    こいつを学校で渡してたはずだ。
    だから、お前のものだ。
    持っててくれよ。

望美:うん、将臣くんからのクリスマスプレゼントだもんね。
    ありがとう!

将臣:お前、素直すぎ。
    元手がただなんだぜ。
    そんなに喜ばれたら、俺が悪人みたいだろ。

望美:あっ、これは……。

将臣:そろそろ、別れの時間みてぇだな。
    なに、どうせまた会えるだろ。
    だから、あんまり深刻になりすぎるなよ。



=朝=

望美:ここは…!?
    …………。

朔 :おはよう、望美、目が覚めたみたいね。

望美:朔…。
    じゃあ、ここは京邸……。

望美:(やっぱり、さっきのは…夢だったんだ。)

朔 :大丈夫…?
   目が赤いわよ。

望美:う、うん。何でもないよ。
    ちょっと、夢が……。 
    あ…これは…。

望美:(夢でもらった懐中時計がある…。)

朔 :綺麗な音色ね…。
    あなたの?

望美:うん…。

望美:(将臣くんと会えたのは…夢?
     それとも…わからない…。
     でも……。)

朔 :…ふふ、大事な人の夢でも見ていたのかしら。
   もう少しゆっくりなさい。
   食事の用意が出来たら、また声をかけるわ。

望美:将臣くんと会った夢、譲くんにも言ったほうがいいのかな。

望美:(ううん、大事に……胸にしまっておこう。)

望美:さ〜て、長岡天満宮の怨霊を封印しなきゃ。