「・・・?!」
「ルヴァ」
「・・・・っあ、アリオス!?」
思わず身を竦めてルヴァが振り返ると綺麗な銀の髪が鼻をくすぐった。
「会いたかったぜ、ルヴァ」
「アリ・・・オス・・・・」
ルヴァの肩口に顔を埋めたアリオスはくぐもった声で声をかけた。
未だ状況が飲み込めていないのかルヴァが朧気な表情でアリオスの髪を撫でた。
ぴくりとアリオスが揺れて・・・
「ルヴァ!!」
「ふぇ!?んう゛!っんん!!」
急な行動に対処法も頭に浮かばないままルヴァはアリオスに激しく口付けられた。
「会いたかった!会いたかった!」
「あっん・・・アリオス!!私もです!!んっふぅ!」
絡めた舌は吸って吸われて、痺れてしまうほどに激しくて・・・。
本当にアリオス?と何度も目で訴えてくるルヴァの瞳。
目尻から流れる涙は呼吸もままならない口付けの激しさと一ヶ月の切なさのせいだろうか。
しかし、激しいアリオスの口付けから無理矢理逃れたルヴァ。
不審に思ったアリオスは目元に口付けながら頬に口付けながら不審を問うた。
「ルヴァ?・・・イヤか?」
「・・・私の・・・名前・・呼んでください!!」
不安な色をこめたアリオスのルヴァは首を横に振る。
そして、その後震えた声で求めた。
寂しくて仕方がなかった時間を埋めて欲しくて。
「・・・ルヴァ」
「もっと呼んで下さい」
愛を確認するようにルヴァはアリオスをそう求めた。
その声は嬉しさのあまりか、震えていた。
そっとアリオスの頬を両手で包み、ルヴァは微笑みながら潤んだ瞳で真っ直ぐに見つめる。
「ルヴァ」
「何度でも呼んで・・・アリオス・・・」
「ルヴァ、ルヴァ・・・愛してる・・・!!」
「アリオス!!」
激しい激情に流されながら再び抱き合うといとも簡単に熱が上がる。
お互いが同じように感じるもの。
それは愛し合っている同士だからだった。
アリオスは何度も愛しい名を呼び、そして、抱き締めた。
「長いこと寂しい思いさせて悪かったな」
抱き締められている腕の力を少し強くして、アリオスはルヴァの耳に囁いた。
その声の優しさに涙を零しながらルヴァは緩く首を横に振った。
ルヴァの健気な仕草にアリオスは笑みを零す。
「もうそんな思いさせねーから安心しろ」
「アリオス???」
「お前の会うために頑張ったんだけど一月もかかるとは予想外だったぜ。結構苦労して、やっとここと俺の世界が繋げたんだ。これもルヴァを想う心があったから出来たんだけどな」
「えっ?」
考えてみればここは女王のおさめる特別な場所。
そこに立ち入ることが出来るのは許されたものだけ。
なのにアリオスはやってきた。
ということはアリオスの言葉は本物なのだと驚き、戸惑いながらもルヴァはそう思った。
聖地と空間つなげるということはかなり難しい事でもの凄いことだ。
聖地から一方通行ということは出来ても他の場所から聖地につなげるということはかなりの力を持った物にしかできない事だ。
女王以外でそんな力を持っているアリオス以外は誰にも出来ないと思った。
「言っただろ?俺はお前を離さないって」
「アリオス・・・・」
「俺は一生お前を離さない。もう悲しませたり、寂しがらせたりはしない。だから・・・」
アリオスの言葉にルヴァは自らの腕を伸ばし、その背中にぎゅっとしがみついた。
「言ってくれよ。俺を愛してるって」
低く、雄を感じさせるような声でアリオスはルヴァの耳に囁いた。
まだ一度も聞いたことのない言葉を求めた。
その言葉さえあればこれから何があっても乗り越えていけると思うから。
身体だけじゃなくて、言葉だけじゃなくて、もっと確かなものが欲しくて・・・。
「愛してます・・・。一生あなたを・・・」
やっと欲しい言葉が手に入った。
その言葉だけで今までの苦労が幸せと変わった。
もう2度と離れない。
この声の聞こえない場所から・・・。
「好きです・・・・」
愛しいものの声を聞きながらアリオスは涙を静かに零した。
そして、また2人の時間は始まった。
■END■