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■ スラッシュメタル (Thrash Metal) とは? ■
1980年代初頭に米国の東西海岸部で誕生した、従来のHeavy Metalに更なる攻撃性やハードコアの要素を加えた音楽。
1970年代末から始まった英国でのHeavy Metal新勢力の巨大ムーブメント=New Wave Of British Heavy Metal (NWOBHM)
に対する"米国からの強烈なカウンターパンチ"とも表現されたその音楽性は、
それまでのHeavy Metalにはない曲スピード(原初はスピード・メタルとも呼ばれた)と
シャウト主体の(多大なアグレッションを伴いメロディ感覚の希薄な)ヴォーカルラインが大きな特徴となっている。
スラッシュ(thrash)
“thrash” [動](他) :「鞭打つ」「激しく振り回す」「圧倒する」「(船を)強い風、に逆らって進める」
[動](自):「転げ(のたうち)回る」 「手足をばたばたさせる」「打ちつける」
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- スラッシュメタラー当事者達による"グレイトな"別解 -
「流行りの軟弱なメタル (L.A. Metal,Hair Metal...) 共のケツに蹴りを入れる為に生まれた音楽。」
リードヴォーカルをとるフロントマンは別パートの楽器を兼任していることが多く、
ライヴにおいてギター,ベース等の弦楽器を携えて歌う勇姿が印象的なフロントマンが多数存在する。
ex) ジェームズ・ヘットフィールド[METALLICA] , デイヴ・ムステイン[MEGADETH] , トム・アラヤ[SLAYER] etc...
シャウト主体のヴォーカルスタイル
この種の音楽が本来持っている"怒りのメッセージ"を込める手段として体現されたスタイル。
スラッシュメタル創成期から多く見られるようになった楽曲の構造的側面から言える事として、
曲作りが "イカした破壊力あるギターリフ" 主体で進み、コード進行がある程度無調整なまま
組み立てられいくことで、耳に残るようなメロディラインをのせることが困難になった結果への
有効な対処法であったとも考えられる。いわば、
カッコいいリフが次々と激しく展開していく音楽にあって
そこに"力強く花を添える"形で存在するヴォーカル。
これが後に所謂"デス声"へと進化し、多様化するエクストリーム・メタルに対応する様々な
ヴォーカルスタイルを生む事につながってゆく。
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スラッシュメタル界においては、高い歌唱力を持つ(しっかりとメロディーラインを歌い上げる、
エモーショナルに歌いこなす)ヴォーカリストを擁する場合、「歌えるヴォーカル」などと形容される場合がある。
ex) ジョーイ・ベラドナ[ANTHRAX] , チャック・ビリー[TESTAMENT] etc...
「歌えるヴォーカル」の多くは専任ヴォーカルのスタイルをとる。
=スラッシュメタル・ギターサウンドの代名詞
米国西海岸、主にサンフランシスコにおいてスラッシュメタル創成期に活躍したバンドが放った、
バッキング・ギターサウンドとそのプレイスタイルを指す。
“80年代のスラッシュメタルサウンドを直ちに想起させる重要なキーワード” であり、時を超えて80年代型の
スラッシュメタルを実践する現代の若手バンド(=ニュー・スラッシャー)にとっての必需的模倣要素でもある。
ベイエリア・クランチ・サウンドの誕生
スラッシュメタル楽曲の大きな特徴である“高速かつ複雑なギター・リフ”。
彼らは、過密な曲の音圧の中でその深く歪んだギターサウンドの旋律の細部が埋もれてしまわ
ない様に輪郭を際立たせ抜けを良くする為、アンプやエフェクターでHighとLowをブーストさせた
独特のディストーションサウンドを形成する。これが所謂『ベイアリア・クランチ・サウンド』。
「ザクザク」とした質感を伴うリフを激しく刻むスタイルが、スラッシュメタルという音楽ジャンルの
持つイメージ、並びに楽曲を構成する部品そのものとして極めて重要な要素となっている。
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■ スラッシュメタルの誕生と拡散 ■
英国において沸き起こったNWOBHMが海を渡り北米大陸へ飛び火、
時を同じくして英国で確固たる勢いを築いていたハードコアパンクからの影響と
化学反応を起こし、スラッシュメタルは生まれた。
その後、この怒涛のスピードとアグレッションを兼ね備えたエクストリーム・ミュージックは、
地元北米のハードコアパンクとのクロスオーバーや、海を渡り別大陸への更なる拡散、増殖を続け、
一大ムーヴメントを生み出す事となる___。
Link to 「スラッシュメタル辞典_II」 鋼鉄音楽シーンにおけるスラッシュメタルの変遷
Link to 「スラッシュメタル辞典_III」 スラッシュメタル誕生と拡散の系譜〜世界の勢力図
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