・注・
この話は大人な関係の2人が前提ですので、
そういう設定可の方だけ読んでください。
 
 
 
 
 
 

0302

ZORO  SANJI
 

SANJI   BIRTHDAY
 
 

OFF  LINE「0302」番外編
side  ZORO
 
 
 
 
 
 
 

ロロノア・ゾロはいつものように寝腐れていた。
春を感じさせる日射しが、顔を照らすが、
ものともせずにゾロは眠り続けていた。
船が島についたのは夜中近く。
夜もあけ、ゴーイングメリー号のクルーはだんだんと街に向かっていった。
にぎやかな船がすっかりしずかになっても、
ゾロは眠り続けていた。

充分に眠り、
ゾロが目覚めた時、
もうすでに日は高く上がっていた。
「んあ、誰もいねえのか?」

「ごゆっくりね」
パラソルの下、優雅に読書をするニコ・ロビンの姿を見て、ゾロは不機嫌な顔をした。
「ふふふ。嫌われたものね。
 この雑誌、見ておいた方がいいわよ」
この女、なんでオレの様子をうかがうようなことを・・・?

ゾロは何かがおかしいと思いながらもその本を手にとった。
 印がつけられているところには、
今月が誕生日の人は『誕生日にエッチする人が運命の相手になるでしょう』
と書いてあった。
「なんだ、こりゃ?」
ロビンはにっこり笑った。
「まさか、あなたコックさんの誕生日、忘れているわけないわよね」
言われてゾロは考えた。

 確か、名前と同じ・・・。
 うおっ、今日じゃねえか!!!

 もちろん、ゾロは忘れていた・・・。
確か自分の誕生日には、
あのアホコックは「まりも記念日」とか言って、
盛大にごちそうとかを作ってたよな。

ここ最近のサンジは妙で、
急に忙しくして、オレを遠ざけはじめた。
だから、ムカついて、
ひでえ抱き方をしちまった。
・・・それ以来、
あいつはオレに近寄ろうともしねえ。
ヤってる間はいい気分だったが、
すげえ後味が悪くて、
ムカムカした気分になって・・・。
それでオレはここのところ修業ばかりしていた。
サンジを見るとイライラして、
ムラムラしちまうからだ。

「それでね、航海士さんが、企画をしたのよ」
ニコ・ロビンは冷静に言うと、
ゾロにナミが作った客よせのビラを渡した。

『3月2日限定・運命の相手募集・
 お相手します・1時間1万ベリーから・
 競争相手多き場合は相場制・当方金髪碧眼美青年』

運命の相手のビラを見て、ゾロは唖然とした。
・・・・。
 何だこりゃあ?

何考えてやがる、ナミのやつ。
だいたいサンジもサンジだ・・・。
アホらしい。
運命の相手だと・・・?
オレをさしおいて、どういうことだ?

「サウスバードホテル・1001号室よ。
 もうお昼だし、運命の相手は見つかっているかも」
ゾロの神経を逆なでするようなロビンの言葉。

もし、あのアホが誰かを気にいったら?
そんなことはありえねえ。
「ふざけんな。こんなもの誰が信用するんだ」

「コックさんを泣かせるあなたより、いい人が見つかるかも」

そんなことはねえ。
だけど、あいつはアホだし、女にはからきし弱いし、
隙だらけでいつもふらふらしてやがるし・・・。
冗談じゃねえ・・・。
あいつはオレのもんじゃねえのか?

「行くなら航海士さんが、あなたのために正装を準備しているわ」
ロビンはそう言って、
ナミから渡されていた貸し衣裳の袋をゾロに手渡した。

「・・・んあ、なんだこの服ァ・・・!!??」

「あら、コックさんはイベント好きでしょ。
格好からコックさん好みにしなきゃ。
運命の相手に名のりをあげるっていうなら、
キメていかないと駄目だって言ってたわ」

ゾロは差し出された服をじっと見た。
・・・着物だ。
しかも、紋付袴。

ここ数日のサンジに対するかすかな罪悪感。
こんな服まで着てあほくさいという気持ちと、
それ以上にどうしても手放せないという気持ち。

このまま放っとくのか?
サンジが誰かのものになるかもしれねえのに。
あのアホのことだ。
すぐに誰にでもなびいちまう。

それはダメだ。
行かねえと。
行って、あいつが文句を言ったら無理にでも連れて帰る。
でもって、オレのもんにする。

「あと、コックさんは、お花とか贈るの好きでしょ。
これも航海士さんが準備したのよ」

ロビンが差し出したのは、
抱えきれないほどの豪華な真紅のバラの花束。

くだらねえ。
だが、
・・・あのアホなら、
喜ぶかもしれねえ。
いつもつまらねえものにヘンに力入れてるからな。

ゾロの脳裏をそんな考えがよぎる。

なにか納得できないものを感じながら、
ゾロはナミの借用書にきたない字で名前を書き込み、
その準備された服を着て、
豪華な薔薇の花束を抱えた。

今はまだ昼間だ。
そのホテルとやらにも簡単につけるだろう。

着いたら、
あのアホに文句を言って、
あいつが誰のものかを自覚させてやる。

てめえはオレに抱かれた瞬間からオレのものだってことを思い知らせてやる。

運命の相手だと?
まだ昼だから、
時間はたっぷりある。
てめえはオレのもんだって、
他のヤツにふらふらしねえように、
きっちり誓わせてやる。

ゾロは船を降りて陸に上がった。
それらしい道を歩いたが、
せまい路地が迷路のように入りまじった街で、
どこを歩いているかよく分からなかった。

・・・クソ、
よく分からん・・・。

勢いだけはやたらとあり、
ゾロはずんずんと歩き続けたが、
それらしいホテルはいっこうに見つからなかった。
 
 
 

「・・・あの薔薇の兄さん、ここを何度通ってるんだ?」
「・・・10回は通ってるぞ・・・」
「あんな目立つ格好で・・・誰かに花でも届けるんじゃねえのか・・・?」
「・・・こええ・・・目がすわってる・・・声かけられねえよ・・・」
ひそひそとした声がいたる所で交わされるが、
ゾロはまったく気づかず、
休まず歩き続けていた。
 
 
 

そのうちに、
あたりは暗くなって来た。

うおっ・・・、
日が暮れるじゃねえか!!!
見かけと違って、
えれえ広い街だな。
こうしている間にもサンジのやつは誰かを相手にしているかもしれねえ。
そう思うと、
はらわたが煮えくり返るような思いがした。

早くいかねえと。

サンジはどこにいる?
サウスバードホテルはどこだ?

サンジを失うのではないかという焦燥感。
それはゾロが今までに感じたことのないものだった。

・・・クソ、
イライラする。
これもみなあのアホコックのせいだ。

てめえが、
見つからねえせいだ。
オレの前で、
あのクソ生意気な笑顔を見せねえからだ。
 
 
 

あいつにとっては今日は特別な日らしい。
3月2日。
サンジが生まれた日。
それが、今日だ。
オレはサンジの誕生日にやるものが何もねえ。
何もねえが、
絶対にたどり着いてみせる。
 
 
 
 
 

ゾロは迷路のような街を歩きつづけた。
歩いて、
歩いて、
捜し続けたが、目ざすホテルは存在していないかのようだった。
 
 
 

捜し続けたが、
いっこうに見つからない。
 
 
 
 

夜になっても、
ホテルは見つからなかった。

ゾロはだんだんとイライラしはじめていた。
なんでねえ。
サンジのやつ、どこにいやがるんだ。

イライラしつつも、
止まらずに歩き続けた。
道ゆく人々は、
ゾロの異様な雰囲気におそれをなし、
道をあけた。
 
 

やがて、
人の数がだんだんと減っていったが、
それでもゾロは歩き続けた。
 
 
 
 

いつの間にか、
道行く時計の針は、23時をまわっていた。
 
 
 
 

3月2日はあと1時間たらず。
 
 
 

サンジの誕生日は終わろうとしていた。
 
 
 
 
 
 

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