表紙
(途中部分)
その夜、めずらしくゾロは目がさめた。
何だ?
いつもとはちがう妙な気配を感じ、サンジがよく寝ているのを確認してから、近くの部屋を伺うと、
真剣な顔をした男たちが額を突き合わせていた。
フランキー、ウソップ、チョッパーが、うすぐらい部屋の中、深刻な顔をして黙り込んでいた。
月明りに横顔が照らされ、みなが重く沈みこんでいるのがわかった。
「われわれは、またしても失敗した」
チョッパーがうなった。
「ナンバーワン。あきらめてはならない‼ 成功を信じるのだ」
ウソップがチョッパーをなぐさめているようだった。
「アウ‼ 3(スリー)66(ダブルシックス)作戦について、再考する必要がありそうだ。
この点について、ナンバーエイトの意見も聞かせてもらいたい」
フランキーがウソップに何か言っているようだった。
しかし、みな口調がおかしい。
妙に芝居がかっている。
「ナンバーセブンの言う通りだ。道は険しい。だからこそ、やりがいがあるのだ‼」
何があったのだ?
何を言っているんだ?
ゾロが様子を見ていると、ゾロがいることにやっと気づいたようで、一斉にゾロの方を振り返った。
「何者だ‼」
「ゾロか。」
「われわれの極秘任務を聞かれてしまった‼」
ウソップとチョッパーは動揺しているようだった。
「いや、ゾロ君も勧誘すべきか・・・」
ウソップの言葉をフランキーがさえぎった。
「いや、ゾロは、サンジと・・・。だが、仲間になれば、これ以上頼もしい味方はいない‼」
「たしかに・・・。366作戦成功の鍵となるやもしれない」
チョッパーがうなずいた。
366作戦? 何だそりゃあ・・・。
ゾロは首をかしげた。
ウソップが咳ばらいをして語りはじめた。
「ゾロ君には、特別にわれわれの秘密を打ち明けよう。
われわれは善良な秘密結社である。
メンバーは、ここにいる3人と、ルフィだ。
われわれにはたくさんのミッションがあるが、現在の第一のミッションはジェルマ66のレイドスーツを発動させることだ。
ちなみに、われわれには、コードネームがある。
ナンバーワンはチョッパー、ナンバーセブンはフランキー、ナンバーエイトは、このウソップ様だ。
ルフィはナンバーワンハンドレッドだ。
みな、鉄の掟で結ばれている」
「レイドスーツに変身できるアイテムは、ここにあるんだ。サンジが捨てようとしたのでおれが責任を持って隠し持っている‼」
チョッパーが布切れにくるんだ3と数字を書いた缶のようなものを取り出しながら続けた。
「サンジはこんなもんで科学の力を借りて強くなりてェとは思わねェと言っていたが、違うんだ‼」
「アウ‼ 科学は立派な人の力だ‼
レイドスーツに変身したらビームが出るかもしれねェ‼」
「ナンバーワンに聞いて、このウソップさまもやってみたが、だめだった。
やっぱりおれたちじゃ、どうやっても変身できねェ‼
サンジじゃないと無理なんだ」
「そうなんだ。やって見せてくれと言ったが、やってくれなかった。
そればかりか、この貴重なアイテムを捨てようとした」
チョッパーはぶるぶる震えていた。
「そこで、我々は決意した。やるまで待ったら、いつになるか分からない。彼が、やらぬなら、われわれが動くしかない‼
夢のレイドスーツを発動させるのだ‼」
ウソップが拳を振り上げた。
「そうだ、そうだ‼ このままでは、宝のもちぐされだ‼」
「ゾロ君、君もいっしょに我々と戦おうではないか‼ 」
・・・。
おそろしいほどの熱意だった。みな目が輝き、拳には力が入っている。
そういえば、ロボとかメカとか見るたびに、こいつらは盛り上がっていた。
ジェルマは悪の秘密結社と言われているらしいから、それに対抗しているらしい・・・。
「われわれの秘密を知られた者は、生かしておけない。それが秘密結社の掟だ」
「・・・。善良な結社じゃねえのか?」
「秘密を知ったものは、結社の一員になるしかない。それに、いまなら、好きなコード番号が選べる。ちなみに、ナンバースリーは、サンジのために空けてあるから、それ以外で頼む」
ゾロは、ばかばかしくなっていた。ジェルマ66の変身アイテムを預かっていることも、変身して欲しいと思っていることも、サンジは知っているらしい。
・・・断られたのに、起動させようとしているのだ。
こいつら・・・見たいだけなのだ。自分らがやってみたいだけなのだ。
「指紋だけではだめだった」
「角膜認証だけではだめだった」
「アウ‼ さすがジェルマ66‼ 完璧なセキュリティ対策、おそるべし‼」
「ゾロ君は、ゲストメンバーでいいぞ。コードネームはナンバーイレブンだな」
ウソップがさらりとゾロを加えた。
「おい・・・」
「われわれは決してあきらめない‼」
「常にサンジ君のすきをうかがっている。チャンスは逃さない」
「秘密結社だからな。堂々とはできないのだ」
(続く)
注・こんな話ですが、ゾロサンです。