WJ29 415話「ヒートアップ」扉絵より
LES TROIS MOUSQUETAIRES
「それで、このゲームに生き残れば、仲間は返してもらえるんだな」
銃を手にしたルフィが案内係の巨大なゴリラに言った。
「そうだ。それがこの島のルールだ。
お前達は何も知らずにこの島に来て食い物を盗んだ。
この試練に打ち勝てば、生きてここを出られるだろう」
「とにかく撃って撃って撃ちまくればいいんだろう。
ししし、問題ねえ!!!」
「観客はこのステージの上空のどこかから見ている。
もちろん、お前達の仲間も」
ゴリラが言った途端、
サンジの目がハートに変った。
「ナミさーーーん、ロビンちゃーーーん、見ててくれるんだね!!!
惚れ直すこと間違いなしさあ♥」
くねくねしながら銃をくるくるとまわすサンジを見て、ゾロは渋い顔になった。
「お前らが失敗したら、責任はあの女2人と鼻の男とシカにとってもらう」
サンジは射殺しそうな目でゴリラを睨んだ。
「そんなことはありえねえ」
サンジが言うと、ルフィもうなずいた。
それから、手にしていた銃をじっと見てから、ゴリラに聞いた。
「ここ引きゃいいんだろ」
明らかにわくわくしているが、どうみても銃の扱い方を知っているようには見えない。
「・・・おい・・・ルフィ・・・銃使ったことあるよな?」
「ねえ!!!」
きっぱり答えるルフィを汗を流しながら見た後、
ゾロの様子もなんだか妙なことに気がついた。
銃を三つ持ってはいるものの、
やけにむずかしい顔をして遠くの方に目測をつけてかざしたりしている。
・・・おい・・・まさか・・・。
「おい、まりも君、てめえもか・・・?」
ゾロはすぐには答えなかったが、ぼそりと言った。
「持ちづれえな」
持ちにくい上に標的はとてつもなく遠い。
どうみても性に合わない武器だった。
「ししし、ゾロ、あんまり当たりそうもないな。
サンジは慣れてんのか?」
「ああ、おれはバラティエの時から持たされてたからな」
あっさり答えるサンジに、
ゾロの眉間のしわはますます深くなった。
持たされてた、だと?
どこまで箱入りに育てられてんだ。
そう思うと、なんだかむかむかした。
だいたい、どんだけおあずけされてたと思ってるんだ。
やっとこの島にたどりついて、
食料不足の問題も解消されて、
さあこれからって時にこんなくだらねえゲームをするとはな。
「あちらが会場です」
赤い格子の不思議な空間を見て、
ルフィが大喜びで駆け出していった。
「・・・おい」
サンジは不機嫌きわまりないゾロに声をかけた。
「銃は、観察力とじっと待つ忍耐力と失敗を恐れる慎重さも必要だ。
てめえ向きじゃねえけど・・・」
言い終わらないうちに、サンジの身体はつよくひっぱられ、強引に唇を重ねられた。
「・・・っ・・・てめえ!!! こんな時に何しやがる!!!」
「終わったら、ヤらせろ」
ゾロは凶悪な顔でサンジを睨むと、
はだけたままにしていたサンジの上着のジッパーを上げた。
「あ・・・? え・・・?」
チームの印として着るように言われた上着をルフィもゾロもはだけたまま着ていた。
だから、サンジもはだけていたのだが・・・。
「誰にでも見せるな」
サンジの視線に気づいたゾロがきっぱりと言った。
これはおれのだ。
それをくだらねえ「観客」とやらに見せてやる必要はねえ。
ゾロの本気を感じとったサンジはだんだんと顔が赤らんでいった。
「な・・・何・・・恥ずかしいこと言ってんだよ!!!」
あわててタバコをとりだして、
火をつけると激しくふかせたが明らかに動揺していた。
食料危機が続き、サンジがまともな精神状態でなかったこともあって
しばらくゾロはサンジに近寄ってこなかった。
あまのじゃくなサンジは自分からゾロの方に近寄っていくことはできなかった。
サンジからちょっかいを出すのは酔った時ぐらいだったが、
最近はそういうこともなかったから、
なんとなく離れたままだった。
サンジはもうゾロは自分には興味がなくなったと思いはじめていたが
どうもそうではなかったらしい。
「忍耐力とかへんな慎重さはてめえのせいで身につけさせられたみてえだ。
そのつもりで銃を撃つ」
サンジはますます赤くなった。
ゾロの性格ではおよそ不向きな銃がうまく撃てたなら、
それは自分のおかげだというのか。
それは、こそばゆくて恥ずかしくて、
でも嬉しいことだ。
「行くぞ」
ゾロはサンジをひっぱるようにして戦いの場所に向かった。
もう待ちくたびれた。
さっさと戦って、こいつをおれだけのものにしてえ。
「遅いぞ、ゾロ、サンジ、何やってんだよ!!!」
待ちくたびれたルフィが2人を手招きしていた。
頭上では大勢の人の気配がしている。
ゾロとサンジの表情も引き締まった。
「レディーーーー、ゴー!!!」
合図とともに3人はフィールドに散った。
その後の彼らはの活躍は「三銃士」として、その島ではのちのちまで語り継がれることになった。
サンジはどれだけゾロが忍耐していたかを身を持って体験することになった。
(ラブおち)
(こういう絵だと思うんですが・・・)
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