20110213

RIHABIRI

 
 ゾロサン

R18
 A5    P28    200円

         
 表紙

裏表紙



2年後

ダメになったサンジとリハビリをまかされたゾロの話


冒頭部分

 麦わらの一味はシャボンディ諸島で無事に再会を果たし、魚人島に向かった。
 世界は謎に満ちている。
海の底には魚人たちの住む場所があり、広大で不思議な海底世界が広がっていた。
 新たなる冒険の日々が始まっていた。
 二年前に全世界を騒がせた白ひげ海賊団の最期に、モンキー・D・ルフィの名は不可欠なものであった。
Dの血を受け継ぐものは、エースとともに海に沈んでしまったと誰もが思った。
 しかし、ルフィは生きていた。
死んだと思われていた麦わら海賊団が生きていて再び動き始めたというニュースは、全世界を駆け巡った。
海軍と正面衝突したはずの麦わらのルフィが生きていたということは驚きであり、
海軍としては面目を潰された形となり、一刻も早く撲滅しないといけない海賊であった。
麦わら海賊団は海軍への反目の象徴として語られた。
現在の麦わらの一味は、もう誰もが知る海賊であった。

 二年間の修業を終えたルフィは間違いなく力をつけ、一にらみで海獣を制することができるほどになっていた。
すでにその辺の雑魚どもとは海賊の格が違っていた。
 離れていた二年間、誰もが死にものぐるいでがんばった。
自分の力を知り、目標の高さを知り、それでもそこから先に進むことを選んだ。
再び麦わら海賊団の仲間として集まり、
 今度こそ頂上をめざして一緒に戦っていくのだと誓った。
 ルフィは悲しみを乗り越えて前に進んで行く事を選んだ。
海賊王になるのだ。
白ひげやエースの叶えられなかった夢も叶えるために。
願わなければ夢は叶わない。
動かなければ、何一つ手に入るものはない。
 ならば、仲間はその夢とともに進んでいくだけなのだ。
麦わらの一味の心は一つになっていた。
 外見は少し変わっている者もいたが、みんな元気そうだった。
再会を喜び、すべては順調で、前向きな生活が送れるものと思っていた。

 しかし、その中でただ一人、やることなすこと全てうまくいっていない男がいた。
 チョッパーは、大量に繋がれた点滴の管を見て、ため息をついた。
 どうしてこんなことになってしまったのか。
 みんなが離ればなれになっていた二年間に、サンジの身に何が起きたのか。
 二年前でも、サンジの病気は治せないと思った。
ダメに効く薬は作れないと思った。
 でも、二年前のは病気と言えるほどのものでもなかった。
今は、重症だ。
二年の間に、何があったのか、サンジは絶対に言おうとしない。
きっと、よほど恐ろしい目にあったんだろうけど、聞こうとしただけで蒼ざめてぶるぶる震え出す。
生身の女を目の前にしただけでダメだなんて、ひどすぎる。
前はそんなことなかったのに、今は写真を見ているだけでにやにやして、いつまでもうっとりしている。
考え方は恐ろしくネガティブになっていて、まったく元気がない。
 生身の女を前にしたら、記憶を飛ばすほどテンションがあがる。
テンションが上がりすぎて鼻血が出過ぎて、もう少しで死ぬところだった。
 サンジはこの島に来て本望らしいけど、このままでは、また危険なことになりかねない。
ここには女子の人魚がいっぱいいるからな。
 おれ、二年間がんばって勉強したのに。
こんな例は初めてだ。
 とにかく、「刺激物」からは隔離して、少しずつリハビリしていかないと・・・。
こんなことで死んでしまうなんてあんまりだよ・・・。
サンジの血液型はめずらしいから輸血もなかなか難しいし。
・・・おれ、がんばるよ!!
 チョッパーはつきっきりで看病していたが、点滴も終わりサンジの状態が安定したので、ほっとした。
用事もあり、寝ているサンジをそのままにしてベッドの横を離れた。

 サンジは目を開けた時、見なれない部屋に寝ていることに気づいた。
  カマバッカ島から生き延び、無事に麦わらの一味と再会したのは覚えている。
その後、魚人島に来て、夢だった人魚たちを見た。
 そして人魚に抱きしめられたりして、いろいろ幸せなことがあった。
 念願叶って、おれはもう死ぬのかもしれねえ。
 サンジの目からは涙があふれた。
 あんな地獄で死ぬより、天国で死にたい。
 サンジは、ポケットを探り、チョッパーやウソップが準備してくれたナミやロビンの写真を取り出した。
 見た瞬間に目はハートになり、鼻の下が伸びた。
つらいことも悲しいことも忌わしい記憶も忘れ、サンジはずーっとそれを眺め続けた。

 飽く事なく写真を眺め続けているサンジの様子を見て、ウソップとチョッパーは目頭を押さえた。
 みなそれなりに成長し、たくましくなって船に集まったというのに、サンジだけは変なままだ。
どうみてもダメになっている。
人としての未来は限りなく暗い。
 
(続く)




いや、こんな話ですが、ゾロサンです。
サンジ、ダメすぎです。

入稿した後、印刷所から、表紙のグレー部分は出ないので、すべて白になるという連絡が。汗。
中間色をパソコン出力してプリントしていたら無理と言われました。
それでなんだか紫と白な感じに。
表紙までダメでした。
しょぼーーーん。
しかし、今、サンジよりダメなものが世の中に存在しているのかどうか疑問なくらいです。



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