20130512

場所を変えなきゃ見えねえ景色もある
R18

 
 ゾロサン


 A5  コピー本・本文P12    100円

     

 表紙
 


チョッパーに頼まれてゾロとサンジのダメをなんとかしようとするロー


冒頭部分


 世は大海賊時代。
白ひげの死から二年が経ち、海賊たちの勢力図は大きく塗り代えられた。
 二年前にルーキーと呼ばれていた海賊たちは着実に力をつけ、勢力の一角を担うほどになっていた。
 ルーキーでしかなかったトラファルガー・ローは王下七武海の一員となった。
ローにとって王下七武海は目標達成のための単なるステップでしかなかった。
力を手に入れ、過去から抜け出るために必要なものだった。
 ローはハートの海賊団の船長だ。
仲間もいる。
ローのためなら彼らはともに戦ってくれるだろうが、個人的な目標のために、仲間の命を危険にさらすわけにはいけない。
だから、パンクハザードには一人で乗り込んだ。
マッドサイエンティストのシーザーは、ジョーカーにとって重要な男だ。
 一人でどう戦うものか策を練っている時に、麦わら海賊団がやってきた。
 船長の麦わらのルフィはほぼ話を聞かず、ほかの一味もそれぞれが好きなようにやっていた。
 なりゆきで一緒に戦ううちに、信用できる連中だと分かってきた。
 やつらは簡単にローを船に乗せた。
 サウザンドサニー号という名の船は、船大工のフランキーが作ったものだという。
海賊王ゴールド・ロジャーの船をったトムさんの弟子なのだと自慢げに言っていた。
フランキー自身も自分で改造したとかで、ほぼロボットだ。
しかも奇想天外なしかけだらけだ。
ふざけているとしか思えないしかけもたくさんあるが、船大工としての能力が超一流なのは分かる。
 悪魔の子ニコ・ロビンは伝説のポーネグリフが読めるという。
それで世界政府に追われていたこともあるらしい。
 泥棒猫ナミの航海士としての能力は驚くべきものだし、
なぜいるのか分からないように見えた狙撃手ウソップは、ロビン救出の時に世界政府の旗を打ち抜いた腕前だという。
 全くそうは見えないが、麦わらの一味はみな優れた能力を持っているらしいのだ。
 ただのペットにしか見えないチョッパーは医者だ。
とてもそうは見えないのだが、その医務室を見たら、真面目で研究熱心な医者であることがよく分かる。
この小さなトナカイは仲間のどんな病気やケガも治せるよう、あらゆる医学書を集め、薬も準備してある。
 実はローは少し動物が好きだ。
 麦わらの一味とかかわるつもりはなく、馴れ合うつもりもなかったのだが、
ローのまわりをちょこまかと動き、必死で医学の話をしてくるチョッパーを見たら、邪険にできず、つい相手をしてしまっていた。
 ローは死の外科医と言われるほどの能力者だ。
ローの能力エリアに入ったものの身体は好きに切り刻むことができる。
 それなのに麦わらの一味は気にせずどんどんロー近づいてくる。
特にチョッパーは世間知らずのようで、警戒心がまったくない。
 化け物と忌み嫌われていたチョッパーを人の生きる世界に連れてきたのは麦わらのルフィだ。
チョッパーは心の底からルフィを信じていた。
仲間を信じていた。
 海に出てしまい、サウザンドサニー号が順調に航海を続ければチョッパーにも研究の時間がやってくる。
「ロー、こういうケガの時はどうしたらいいんだ?」
チョッパーは医学書を差し出し、治療法を聞いてくる。
「先に切開し、それから骨を治してから縫合する。順序を間違えるな」
「じゃあ、こんな時はどうするんだ?」
チョッパーは疑問に思う事をどんどん聞いた。
 ローは最初、恐いと思ったが、聞くといろいろ教えてくれた。
ルフィの命の恩人だというのに、それで偉ぶったりもしない。
ほぼ無表情でとっつきにくいけど、いいやつだ。
 医学書を読んだだけでは分からなかったことを何でも教えてくれる。
 何でも教えてくれるんだ。
「すごいな、お前。何でも知ってるんだな!!」 
チョッパーのきらきらした目で見られると、ついいろいろ教えてしまうのだ。
「おれ、今度誰かがケガしたらうまくできるようにするよ」
にこにこしていたチョッパーだったが、一瞬表情が曇った。
「でも、おれにはどうしても治せない病気があるんだ・・・・。どんな医学書を見ても、症例が載ってなくて・・・」
 仲間を救いたい。
 なんとかしたい。
 いつもそう思っているチョッパーは、言うべきかどうか迷ったが、もしかしてローなら治療法を知っているかもしれないと考えた。
「ゾロとサンジのことだけど・・・」
 ローはすこし離れたところで昼寝をしているロロノア・ゾロをちらりと見た。
 サウザンドサニー号に乗ってもう一ヶ月近く経つが、ロロノア・ゾロと話をしたことはあまりない。
 他の連中と違い、ゾロは明らかにローを警戒していて、見張っているぞというスタンスを崩さない。
 当然だと思う。
 他のやつらの方がすぐに馴染んでしまい、どうにかしていると思うほど緊張感がない。
 この男がいるのといないのでは大違いだ。
何もしていなくても迫力があり、ここで下手なことはできないということが分かる。
剣士としての実力は知れ渡っている。
麦わらの一味を有名にした原因の一つでもある。
 そのロロノア・ゾロに何か持病でもあるのだろうか?
「ダメに効く薬を作ろうとしたけどできなかったんだ」
 意味が分からない。
「ゾロは認めないけど、この前もこの船で迷っていた。
以前には、三分で着く場所のはずなのに、一ヶ月行方不明になったことがあった」
「迷うのか」
思わずローは言った。
 そう言えば、コックのサンジがよく「迷子男」とか「まりも」とか言っていると思ったが・・・迷うのか。
「いつもなんだ。それなのにゾロは気づかない。薬で治るかな?」
 ローは無言のままだった。
 そんな病気、見たことも聞いたこともない。
「ゾロはまだいい。いなくなるだけだから。
サンジはもっとひどい。女にはからきしダメだ。
これでもだいぶよくなったんだ。
魚人島では人魚を見ただけで、鼻血を吹いた。
もうすこしで鼻血を流しすぎて死ぬところだった。
あの時は死を覚悟したよ」
ローは何も答えられなかった。
 何を言っているんだ? 
 確かに、コックのサンジは仲間のナミやロビンにメロメロのようで、奇妙な動きをしたり目をハートにしてくるくる回る姿は何度も見た。
 ・・・何で、そんなことで命が?
 ばかばかしすぎて話にならない。
「今は元のおかしなサンジに戻っているけど、だんだんダメになっているのは間違いないんだ。
お前、何かいい薬とか治す方法を知らないか?」
 そう言えば、ゾロがサンジのことを「鼻血男」とか言っていた。その時は意味が分からなかったが・・・。
 無言のままのローを見て、チョッパーはうなだれた。
 意味が分からん・・・何の事なのか・・・。
 ローは汗を流した。
「おれが、もっとがんばらなきゃいけないのに・・・。
なぜあんなになるのかどうしても分からないんだ。
まず原因をつきとめないと、処方もできない。
もっともっと勉強しなくちゃ。お前に頼るのは間違ってるけど、どうにかしたいんだ」
 真剣そのもののチョッパーについ答えてしまった。
「気にとめておく」
「エッエッエッ、ありがとう!!」


(続く)




いちおう18禁です


本文は12ページ。うすいのでコピー本です。

というかローの災難本かも・・・。


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