calling  you

15
   ZORO*SANJI

act15*海賊王の出航
 
 
 
 
 
 

船が出る。
ルフィたちの船を見送る派手な歓声。
海賊王は反権威への象徴だ。
不満を持つ人々にはヒーローなのだ。

ルフィはいつものように船首に座っていた。
まっすぐ海を見たままで。

夢が叶ったら次はどうする?
また新しい夢を見つければよい。
ルフィの夢が途切れることはない。
走り続ける。
どこまても真直ぐな麦わらの船長。
 
 
 
 
 

「止めてっ!!!」
不意にナミが大声で叫んだ。

「あァ?」
ウソップは怪訝な顔をした。

「ルフィ!!!.ルフィっっ!!」
滅多にないほどのナミのとりみだしように他の船員も集まる。
ナミが指さした先の陸には・・・。
 
 

ルフィは立ち上がった。
ウソップも立ち上がった。

「ゾローーー!!!」
「サンジーーー!!!」

ルフィの身体がゴムになって二人の所に飛んでいく。
ナミは涙が出た。

待っていた。
あたしは。
でも、知ってる?
一番待っていたのはルフィ。
ずっと。
ずっと。
アンタ達を待ってた。
一言も口にしなかったけど。

「待たせたな」
ゾロは言った。
みんな泣いていた。
ゾロはサンジを探す為に船を下りた。
勿論、流されたサンジを皆探した。
でも、サンジの生の欠片も見つからなかった。
けれど、ゾロはどうしてもあきらめなかった。
その時やっと気づいた。
ゾロとサンジの関係に。
ゾロの想いに。

「お待たせしました」
サンジを見てナミは思った。
サンジ君、変わった・・・。
なんか色香漂ってる。
背徳的で妖艶。
危ない、危ない。
でも、ゾロがいるからいいか。
ゾロはヤクザみたいな雰囲気になってるし・・・。
呆れたもんね。
でも幸せそうじゃない。
かなりイカれたカップルではあるけれど。
 
 

仲間であることに変わりはないわ。
 
 
 
 
 

ゾロ、あんたの声は通じたんだわ。
心の声が。

お互いに呼び合う声が。

神様は彼等を見捨てなかった。
愛するものがめぐり会えた。
私達は海賊王。
奇蹟が起きたってちっとも不思議じゃない。

これからも。

海の続く限り。
夢の続く限り。
愛の続く限り。

共に行こう。
どこまても。
 
 
 

*
*

end
 
 

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