side SANJI
オレはいつものようにキッチンをきちんと磨いた。
今日の片づけはオワリ。
ちょっと明日の仕込みに時間かけちまった。
かなり夜も更けている。
オレはコックだし、料理は好きだから、一人だけ片づけても、苦にはならねえ。
船は静かなもんだ。
もう、みな寝ちまってるのか。
オレはキッチンの隅で酒瓶片手に眠りこけてるゾロを見つけた。
なんだ、こいつ、いつからいやがった。
おまけに、上等の酒をまるまる全部飲んでやがる!!
毎日、毎日、飲んで寝てばっかりのクセしやがって。
まあ、時々鍛えてるみたいだけど。
でも、こうやって見るとこいつってやっぱり、いい身体してる。
レディはこういうのが好きみてえ。
なんかムカツク。
近寄って腕を触ってみる。
すげえ、筋肉。
胸板だって厚い。
鍛えられた身体。
なんで女に興味もなさそうなゾロなんかが、こんないい身体なんだ。
こいつって経験あるのかな。
どんな風にやるんだろ。
「・・・」
触れていた身体がかすかに動き、ゾロが目を開けた。
何でオレが側にいるのか分からないみてえだ。
無理もねえ。
オレにだってなんでこいつの側にいるのか分からねえのに。
オレは笑った。
何か、これってオレがゾロにいけない事してるみたいじゃねえ?
ぜってーに、オレの方が、経験豊かだし、有利。
ちょっとこいつをからかってやろう。
「なあ、キモチイイコトしねえ?」
そう言うとゾロの上に乗っかった。
ゾロは変なツラしてオレを見てる。
どうしていいか分からねえみてえ。
オレはゾロの首筋に口づけた。
「それとも、てめえには、出来ねえか」
そう言って、ちょっと挑発してみる。
罪のねえ悪戯ゴコロってやつ?
ゾロがむっとしたツラをした。
いきなり身を起こし、オレはゾロに組み敷かれた形になった。
何か迷ってるみてえ。
すっげえ動揺してておもしれえ。
これってオレの一人勝ちだよな。
「やる」
急にゾロがそう言うとオレのシャツに手をかけた。
え・・・
これって・・・
オレ、やられる訳?
そりゃ男は初めてじゃねえけど・・
マジなんか・・・こいつ。
やべえんじゃねえの、コレ。
考えてる間に服が脱がされていく。
なんか、すげえ緊張してきた。
オレのハダカって見劣りするにちげえねえ。
しまった・・・。
気がついた時にはオレはすっかりハダカにされてた。
なんてこった。
ゾロがオレに触れてくる。
優しい愛撫。
こいつって、案外いい奴だな・・・。
丁寧にオレの感じる所を探してる。
「あっっ・・・」
そんなトコ触られたら、たまらねえ。
思わず声をあげた場所を執拗にゾロがなぞる。
「・・・く・・・」
キモチいい。
勃ち上がったオレのモノをゾロが握りこむ。
「!!!」
背筋を走り抜ける快感。
扱かれるとオレはあっさりとイっちまった。
ゾロの手にはオレのものがべったりとついてる。
荒い息を整える。
見るといつの間にかゾロもハダカになってた。
胸を走る鷹の目の傷跡。
よく生きてたもんだ。
ゾロの勢いよく勃ちあがったモノ。
それは解放を求めているのだろう。
力を持ったオトコの証。
オレは思わず目を反らした。
そしたら、ゾロが言いやがった。
「てめえには、出来ねえか?」
ムカツク!!
ムカツク!!
何でこんな時に。
チクショウ。
オレは一瞬ナミダが出そうになった。
「うるせえ、さっさと入れろよ」
そう言って足を開いた。
オレってバカ。
だけど、今さら引き下がれねえよ。
しばらくして、ゾロが入ってきた。
痛え。
痛え。
無理に入れるなって・・・!!
オレ、何でこんなに意地はってるんだろ。
こんなに苦しいのに。
「オイ・・・か?」
「オイ、大丈夫か?」
声がして目が覚めるとゾロがオレを覗きこんでた。
オレはちょっと気を失ってたらしい。
カッコわりい。
オレは身体を起こそうとした。
「・・・っ」
痛え。
ゾロがオレの身体を支える。
身体の中から流れ落ちる血と精液。
・・・。
なんだ。
ゾロの野郎、最後までやったのか・・・。
中出ししやがって・・・。
「中、洗いてえんだけど」
そう言うとゾロは顔を赤くした。
てめえが入れたんだろが。
泣きたいのはこっちだよ。
立てねえんだから。
オレはゾロに水を汲ませて、ソコを洗った。
他のところはゾロが拭いてくれた。
何でこんなコトしてるのか。
ゾロは無言で言う通りにしてくれる。
バカみてえ。
寝た女にはいつも親切にするんだろう。
多分、女はこいつを好きになるだろう。
誠実な剣士。
「もう寝ろよ。オレはここにもう少しいるから」
本当は動けねえんだけど、言えねえ。
オレはタバコに火をつけた。
何で、こんなことになったのか。
ゾロはその場でごろりと横になった。
ここで寝るつもりか。
勝手にしろ。
明日の朝になれば、元通りだ。
全部忘れればいい。
目を閉じると、蘇るゾロの肌。
ゾロの吐息。
オレは心まで貫かれちまったのか。
たった一度の過ち。
それも運命。